九月二日
第八段 正法の後の五百年の弘経
一 正法の後六百年等文。
此の下は第二の禅定堅固なり。
一 闍夜那尊者。
統紀云云。餓鬼の修因は御書の十六、十法界因果抄に云云。
一 始には外道の家に入り等文。
此の下は内外・大小・権実・本迹の四種の相対あり。見るべし。「設い勝劣」の下は本迹相対なり。「本迹の十妙」の下に六句あり云云。
「本迹の十妙」とは是れ一句を以て本迹を顕すなり。「二乗作仏」は迹門なり。「久遠実成」は本門なり。是れ二句を以て本迹を顕すなり。「已今当の妙」とはまた一句を以て本迹を顕すなり。迹の意は知るべし。
本門の意は本尊抄に云く「迹門並びに前四味・無量義経・涅槃経等の三説は悉く随他意・易信易解、本門は三説の外の難信難解・随自意なり」云云、此の意なり。故に「已今当妙」の四字に本迹の二義分明なり。
次に「百界千如」は迹門なり。「一念三千」は本門なり。本尊抄の如し云云。或る時「迹門の一念三千」と云うは、是れ理を以て与えて論ずるが故なり。
所謂、正有らんには必ず依有り。故に妙楽は「略して界如を挙ぐるに具に三千を摂す」と云うなり。之を思え。別に之を書するが如し。
九月三日
第九段 像法の初めの五百年の弘経
一 正法一千年の後は月氏に仏法等文。
此の下は第三の読誦多聞堅固、又二あり。初めに月氏の仏法の衰減、二に「正法」の下は漢土流伝、二あり。初めに流伝、始めは権実を分たず。次に「其の後」の下は権実を分って教を判ず、亦二あり。初めに南北の判教、次に「漢」の下は天台の判教なり云云。
一 二宗の大乗等文。
「二宗」は応に「二種」に作るべし。謂く、有相の大乗・無相の大乗なり。玄の十・九。
一 南北の邪義をやぶりて文。
天台の事は統紀の六の如し。南北を破るの相は報恩抄上巻の如し。
つづく
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