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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 10月 20日

撰時抄愚記 上十三  後悔先に立たず。如かず、本尊に向かって南無妙法蓮華経と唱えんには


一 末法の初め冥利(みょうり)無きにあらず

()(しょう)()一・十六に此の文を釈して云く「末法の時に至って(けん)(やく)無しと雖も、冥利は(すなわ)ち有り」文。今「冥利」と云うは下種益を指すなり。是れ則ち(じゅく)(だつ)の現に顕るに同じからざるが故なり。

故に教行証抄二十・五に云く「正像に(やく)を得し人人は顕益なるべし、在世結縁(けちえん)の熟せる故なり。今末法には初めて下種す(みょう)(やく)なるべし(乃至)妙楽の釈の如くんば、冥益なれば人是を知らず見ざるなり」文。

例せば不軽(ふきょう)品の如し。記の十・三十一に云く「(あるい)は冥、或は顕」云云。輔記(ふき)十・九に云く「或は冥とは、(きしゃ)(ただ)冥益を得るのみ。或は顕とは、信者は現に六根清浄(しょうじょう)を得る故なり」と文。毀者は(ただ)下種益を()、故に冥益と云うなり。

教行証抄二十・五に云く「過去の威音(いおん)王仏(のうぶつ)の像法に(乃至)二十四字を聞きし者は一人も無く(また)不軽大士に()って(やく)を得たり、是れ(すなわ)(さき)(もん)(ぽう)を下種とせし故なり」文。

不軽は現に六根清浄を得たり、故に顕益と云う。然るに朝抄に順逆二縁を以て冥顕に配す。是れ(はなは)だ不可なり。末法は順逆(とも)に下種益なり。故に並びに是れ冥益なり。何ぞ順縁を以て顕益とせんや。(けだ)し不軽品の意は、能化の不軽を名づけて信者と()し、現に六根清浄を得るが故に顕益と云う。何ぞ所化(しょけ)の中の順縁に混ぜんや。况や今時、順縁の所化(いま)だ六根清浄を得るを現ぜず。何ぞ顕益とすることを()んや。

一 伝教(でんぎょう)大師云く

守護章上の下四十一の文なり。「又云く」とは、秀句(しゅうく)下八の文なり。

「正像(やや)過ぎ已って末法(はなは)だ近きに有り」とは、顕仏未来記に云く「正像稍過ぎ已って末法太だ近きに有りの釈は心有るかな」等云云。

取要抄に云く「『末法太有近』の五字は我が世は法華経流布(るふ)の世に非ずと云う釈なり」云云。
 また顕仏未来記に云く「末法の始を
願楽(がんぎょう)するの言なり」と云云。

一 ()を語れば則ち像の終り末の()

顕仏未来記に云く「此の伝教大師の筆跡は()の時に当るに似たれども意は当時を指すなり」と云云。

「当時」は即ち是れ末法なり。(しか)れば則ち末法の初めは三()の秘法広宣流布し、一切衆生仏種を()うるの時なり。故に天台・妙楽・伝教は(あお)いで「(のち)の五百歳」の(ほう)(しょう)を信じ、伏して「悪世末法」の初めを()えり。

(しか)るに権経権門の諸宗の(やから)は、(ただ)信ぜざるのみに非ず(あまつさ)誹謗(ひぼう)()す。(あに)()し人信ぜずして()の経を毀謗(きぼう)」するに非ずや。何ぞ「()の人(みょう)(じゅう)して阿鼻獄(あびごく)に入る」を(まぬか)れんや。

加之(しかのみならず)()る一流の(やから)は、本門三箇の秘法の正義を(しりぞ)けて本迹一致の邪法を弘め、(まさ)に広宣流布の根を断ぜんとし、遠沾(おんでん)(みょう)(どう)(みなもと)(ふさ)がんと欲す。()逆路(ぎゃくろ)伽耶陀(がやだ)に非ずんば、定めて是れ天魔()(じゅん)らん。破せずんばあるべからず、(おそ)れずんばあるべからず云云。

(すで)に天台・伝教は先に生れ給えり。所以(ゆえ)に末法の始めを恋う。我等は(のち)に生れたり。(かえ)って末法の始めを忍ぶ。忍ぶと(いえど)(かえ)ることなし、如何(いかん)がせん。

四条金吾抄十七・四十二に云く「今は時(すで)に後の五百歳・末法の始めなり。日には五月十五日、月には八月十五夜に似たり。天台・伝教は(さき)に生れ給えり。今より後は又後悔(のちぐえ)なり。大陣(すで)に破れぬ、余党(よとう)は物の数ならず。今こそ仏の記し置き給いし後の五百歳、末法の初め、况滅(きょうめつ)度後(どご)の時に当って候」文。

後悔先に立たず。()かず、本尊に向って南無妙法蓮華経と唱えんには。

宗祖の云く「此の本尊()く能く信じ給うべし。日蓮が(たましい)を墨に()めて書きて候ぞ」(取意)文。

若し(しか)らば、本尊を信じ奉れば(すなわ)ち是れ蓮祖に()い奉るなり云云。


 つづく

撰時抄愚記上 目次


by johsei1129 | 2015-10-20 22:43 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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