2015年 10月 20日
八月十五日
第六段 釈の文を引いて証す
一 問うて云く経文は分明に候等文。 此の下は引証の第二、釈を引いて証するなり。亦云云。 一 経は遠し釈は近し文。 経は是れ幽玄なり。故に義意を得ること遠し。故に「経は遠し」と云う。釈は是れ経を解す。故に義意を得ること近し。故に「釈は近し」と云うなり。啓蒙の義、未だ美からず。 一 後の五百歳遠く妙道に沾わん文。 今引用の意を示さば「後の五百歳」とは末法の初めなり。「遠」は謂く、万年の外を指すなり。「沾」は即ち流布の義なり。「妙道」は是れ文底秘沈の大法なり。此の法は是れ妙中の妙なり。故に「妙」と云うなり。「道」は即ち三大秘法なり。故に文の意に云く、末法の初めに広宣流布して万年の外、未来永々まで文底深秘の三大秘法を流布すべしとなり。 問う、道の字、何ぞ是れ三大秘法なりや。 答う、此れは是れ内鑒冷然の奥旨、当流深秘の法門なり。今略して文理を示さん。所謂道に三義あり、即ち是れ三箇の秘法なり。 第一に虚通の義、即ち是れ本門の本尊なり。文の二・三十六に云く「中理虚通、之を名づけて道と為す」文。中は謂く、中道即ち妙法蓮華経なり。理は謂く、実相即ち是れ一念三千なり。凡そ妙法の三千は法界に周遍して更に壅ぐる所無し。故に虚通と云うは即ち是れ本門の本尊、事の一念三千の南無妙法蓮華経なり。 故に日女抄外二十三・十三に云く「是全く日蓮が自作にあらず、多宝塔中の大牟尼世尊・分身の諸仏のすりかたぎたる本尊なり、されば首題の五字は中央にかかり(乃至)釈迦・多宝・本化の四菩薩肩を並べ、普賢・文殊等・舎利弗・目連等坐を屈し・乃至此等の仏菩薩(乃至)此の御本尊の中に住し給い妙法五字の光明にてらされて本有の尊形となる是を本尊とは申すなり。経に諸法実相と云うは是なり、妙楽云く『実相は必ず諸法・諸法は必ず十如乃至十界は必ず身土』云云、又云く『実相の深理、本有の妙法蓮華経』等と云云(乃至)此の故に未曾有の大曼荼羅とは名付け奉るなり」文。 第二に所践の義、即ち是れ本門の戒壇なり。 輔記の四・十四に云く「道は是れ智の所践なるが故に」文。信を以て慧に代う、故に智は是れ信なり。凡そ戒壇とは信者の践む所なり。故に所践の義は即ち本門の戒壇なり。 故に秘法抄十五・三十一に云く「王臣一同に本門の三秘密の法を持ちて有徳王・覚徳比丘の其の乃往を末法濁悪の未来に移さん時、勅宣並びに御教書を申し下して霊山浄土に似たらん最勝の地を尋ねて戒壇を建立す可き者か。時を待つ可きのみ、事の戒法と申すは是なり、三国並びに一閻浮提の人・懺悔滅罪の戒法のみならず大梵天王・帝釈等も来下して踏み給うべき戒壇なり」文。「踏」は即ち「践」なり。 第三に能通の義、即ち是れ本門の題目なり。 法界次第の中二十に云く「道は能通を以て義となす」文。本門の題目は凡そ二意を具す。一は是れ信、二は是れ行なり。此の二相扶けて能く通じ寂光に到る。故に能通の義は是れ本門の題目なり。天台の所謂「智目行足、清涼池に到る」は是れなり。 行者当に知るべし、信心有りと雖も、唱題の行無くんば、譬えば盲しずして跛たるが如し。唱題有りと雖も、若し信心無くんば、譬えば跛ならずとも盲たるが如し。若し信行具足するは猶二つながら全きが如し。百論の「盲跛の譬」之を思い見るべし。故に能く信心の目を開き、唱題修行の足を運ぶべし。若し爾らば能く通じて寂光清涼地に到らんこと、何ぞ之を疑うべけんや。 然れば則ち能通・所践・虚通の三義は、即ち是れ三箇の秘法なることその義必せり。故に妙道は是れ文底秘沈の大法なり。 報恩抄に云く「一には本門の本尊、二には本門の戒壇、三には日本乃至漢土・月氏・一閻浮提に人ごとに有智無智を嫌わず一同に他事をすてて南無妙法蓮華経と唱うべし。日蓮が慈悲曠大ならば南無妙法蓮華経は万年の外・未来までもながるべし」(取意)等云云。之を思い合すべし。
by johsei1129
| 2015-10-20 20:26
| 日寛上人 御書文段
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