2015年 10月 18日
八月十三日
第五段 経文を引いて証す
一 問うて云く其の証文如何文。 此の下は第三に引証、亦二あり。初めに経、次に釈なり。経中、亦二あり。初めに正しく引いて十文有り。分ちて五意と為す。 第一には、大集経の白法隠没の時は即ち今経の広宣流布の時なることを顕す。即ち是れ今経第七の薬王品の文なり。「後の五百歳」とは最後の五百なるが故なり。 問う、今時は已に如来の滅後二千六百余年なり。「後の五百歳」の時已に過ぎたり。然るに爾前の諸経未だ隠没せず、仍諸国に盛んなり。法華の三箇未だ流布せず、但吾が一門のみなり。如来の玄鑑虚しきが如し。無虚妄の説徒なるに似たり、如何。 答う、利生の有無を以て隠没・流布を知るべきなり。何ぞ必ずしも多少に拘らんや。 初心成仏抄二十二・十一に云く「大集経の白法隠没と双観経の経道滅尽とは但一つ心なり。経道滅尽と云うは経の利生の滅すと云うことなり。色の経巻のあるにはよるべからず。此の時は但法華経のみ利生得益あるべし。後の五百歳中広宣流布は是なり」取意。 况や当流漸々に流布す。一葉落つる時は皆秋を知る。一華開ける日は天下の春なり。豈広宣流布に非ずや。况や逆縁に約せば日本国中広宣流布なり。况や如来の金言は大海の塩の時を差えざるが如し。春の後に夏の来るが如く秋毫も差うことなし。若し爾らば終には上一人より下万民に至るまで、一同に他事を捨てて皆南無妙法蓮華経と唱うべし。順縁広布、何ぞ須く之を疑うべけんや。時を待つべきのみ云云。 第二には、後の五百歳末法の始めに地涌の菩薩出現すべきことを顕す。即ち是れ今経の第六巻分別功徳品の「悪世末法の時」等の文是れなり。而して「悪世末法」の言は万年に通ずべし。故に「法滅せんと欲する時」の文を引いて、是れ末法の始めなることを助証するなり。 第三には、此の末法の始め、地涌の弘経に応に怨嫉多かるべきことを顕す。即ち是れ第四、第五、第七の巻の三文是れなり。 第四には怨嫉に由って応に闘諍の起るべきことを顕す。即ち是れ大集経の「闘諍言訟」の文是れなり。 第五に、其の怨嫉の人は是れ「悪鬼入其身」の大僧なることを顕す。即ち是れ今経第五の持品の三文是れなり。 一 文の意は第五等文。 次に所引の文の意を釈するなり。亦五意と為す。次第は所引に同じからず云云。 初めに「第五の五百歳」の下は持品の三文の意を釈するなり。持品の中に「悪世」とは即ち是れ第五の五百歳の時なり。例せば分別功徳品の「悪世末法」の如し。 二に「其時に智者一人出現せん」とは、即ち「悪世末法の時能く是の経を持つ者」の文を釈するなり。「智者」は即ち是れ地涌の大菩薩の御事なり。 三に「彼の悪鬼の入れる大僧」とは「猶多怨嫉」等の三文の意を釈するなり。 「はく」は帛なり、幣帛なり。ヌサの事なり。昔は進物を遣すに、ヌサとて花や葉など色能く造り添えて遣すなり。 四に「時、釈迦・多宝」の下は大集経の「闘諍言訟」の文の意を釈するなり。「国主等・其のいさめを用いずば」等とは、或は謂く、「一の小僧」の諌を用いざるなり。建仁寺の天誉の詩に云く「曽て日蓮師の諌に違うに依って、永々の英将跡を継がず」と云云。或は云く、天変地夭、即ち是れ天の諌なり。白虎通の二・二十五に云く「天に災変有る所以は何。人君に譴告して其の行を覚悟し過を悔い徳を修めて思慮を深からしめんと欲する所以なり」。説苑に云く「楚の荘王、天に夭を見さず、地に孼を出さざるを見て、則ち山川に祈って曰く『天其れ余を忘るるか』と。此れ能く過を天に求め諌に逆わざらんとなり」文。後の義可なり。下巻二十一紙の如し。 「隣国におほせ付け」等とは大集経に云く「常に隣国の侵嬈する所と為る」等云云。蒙古皇帝の漢土三百六十余国、日本国の壱岐・対馬等を破るが如し。 五に「其の時・日月所照」の下は正に「後の五百歳中広宣流布」の文の意を釈するなり。「一四天下」と云うは、言は総、意は別なり。別は是れ南閻浮提なり。経に「閻浮提」といい、今「八万の大王」と云う是れなり。金光明経の護国品に云く「此の膽部州八万四千の城邑聚楽に八万四千の諸の人王等あり」云云。 「一の小僧を信じ」等とは、即ち是れ本化の上首・末法の法華経の行者・倶体倶用の無作三身・本門寿量の当体の蓮華仏・本因妙の教主・日蓮大聖人の御事なり。故に知んぬ、一切衆生皆本因妙の教主日蓮大聖人を信じて、本門深秘の大法・本因下種の南無妙法蓮華経と唱え奉るを広宣流布と云うなり。
by johsei1129
| 2015-10-18 18:03
| 日寛上人 御書文段
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