2015年 10月 12日
七月十五日
第二段 仏教は時によるを明かす
一 寂滅道場の砌文。 此の下は、仏教は機に依らずして専ら時に依ることを明かす、三あり。初めに正釈、次に「問うて云く、機」の下は料簡、三に「初成道」の下は結なり。料簡に又二あり。初めに機教の相違、二に経説の相違云云。正釈の大意に云く、仏既に善人の為には大法を説かずして、悪人の為に大法を説く。故に知んぬ、仏教は機に依らずして専ら時に依るなり。開目抄上二十一。 一 生身得忍等文。 健抄に云く「観智未熟なれば初住に登ると雖も、尚我が身は父母所生の肉身なりと思う。是れ生身得忍なり。若し利根は観解能熟する故に、苦道即法身と開くを法身の大士と云うなり」と云云。 今難じて云く、住上には差降なし。何ぞ利鈍に約すと是れを判ずるや。文の四に云く「真修の体顕るれば則ち差降無し」等と云云。如何に况や生身・法身の釈、妙楽の指南に違するをや。籖の一に云く「地前・住前を生身と為し、登地・登住を生身得忍と為す。謂く、生身の中に能く無明を破して無生忍を得ればなり。法身と言うは、登地・登住に無明を破し、生身を捨てて実報土に居するを名づけて法身と為す」文。文の意は、父母所生の肉身に於て中道無生忍を証するを生身得忍と名づく。父母所生の肉身を捨て、実報土に生れて法性身を得るを法身と名づくるなり云云。 一 二乗作仏・久遠実成等文。 此れは是れ名と義と影略互顕なり。実には二乗作仏・久遠実成並びに名義倶に之を隠し、即身成仏・一念三千並びに名義倶に宣べたまわざるなり。弘の六末六に云く「遍く法華已前の諸経を尋ぬるに、実に二乗作仏の文及び如来久成の本を明かすこと無し」云云。秀句に云く「他宗所依の経には、都て即身入無し」等云云。金錍論に云く「妙境を指的するは法華より出ず」と云云。 一 此等は偏に是れ機は有りしかども等云云。 上には正しく善人の為には大法を説かざることを釈し、此の下は結するなり。 愚案三・二十一の意に「今機と言うは一機一縁なり。時来るとは万機純熟の時なり。然るに華厳の時は一機一縁有りと雖も、万機純熟の時来らざれば宣べたまわず」と云云。 今謂く、既に華厳一会の儀式を挙ぐ。何ぞ「一機一縁」と云うべきや。 安心録三十に云く「時至るとは前権後実の時なり。華厳時の如き、解脱月等は発起・影響にて当機には非ざるなり。自余の人の類も皆是れ権機にて一実の機には非ず。此等は有りと雖も此の機に依らず、後一の時を待つ。故に爾判ずるなり」云云。 今謂く、現文には分明に「機あれども時来らず」と云う。何ぞ権機にして一実の機には非ずと云わんや。若し爾らば直ちに「応に機なき故に、時来れざれば宣べず」と云うべし。何ぞ宗祖、機有りと云いたもうや。 問う、若し爾らばその義如何。 答う、今は現相に約す。謂く、華厳の衆は是れ既に善人なるが故に大法を聞くべきの機なり。然りと雖も、時来らざれば宣べたまわざるなり。若し闍王・達多等は既に是れ悪人なり。故に大法を聞くべからざるの機なり。然りと雖も、時来るが故に大法を説くなり。啓蒙の意も多くは此の義に違わざるなり。意は、此れを以て末法今時の弘通を顕すに在るのみ。 一 閻浮第一の不孝の人たりし等文。 今経の列衆中に韋提希の子、阿闍世王と云う云云。文二に云く「法華を説く時、清浄衆に預る」等と云云。御書の十五・九。 一 一代謗法の提婆文。 一義に云く、釈尊一代の仏教を謗ずる故に「一代謗法」と云うなりと。一義に云く、提婆一代の間、恒に仏教を謗ず、故に「一代謗法」と云うなりと。 問う、調達、今経の座に在りとやせん。 答う、是れ定判し難し。且く一意に准ずるに、或は座に在るなり。呵責謗法罪滅抄十六・二十四に云く「提婆達多は仏の御敵・四十余年の経経にて捨てられ、臨終悪くして大法破れて無間地獄に行きしかども法華経にて召し還して天王如来と記せらる」文。 又啓蒙の八・四十に、四釈に約して達多在座の義を明かすなり云云。又日我の提婆品下に「私に云く、彼の達多が阿鼻の淵底より召出されしは偏に末法の手本なり」云云。
by johsei1129
| 2015-10-12 09:49
| 日寛上人 御書文段
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