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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 09月 26日

富木常忍の九十歳になる母の大聖人への思いを称えた書【富木殿御返事】

【富木殿御返事】
■出筆時期:文永十二年(1275年)二月七日 五十四歳御作
■出筆場所:身延山中の草庵にて。
■出筆の経緯:本抄は富木常忍が九十歳になる母が作った夏に向けての帷(かたびら:裏地がない一重の上着)を供養されたことへの返書となっております。

大聖人は釈尊と比丘(男の僧)との袈裟に纏わる話を引いて、生みの母の恩を報ずることの大切さを示されておられます。
文末では「帷は一なれども十方の諸天此れをしり給うべし、露を大海によせ土を大地に加るがごとし生生に失せじ世世にくちざらむかし」と記し、この常忍の母の手による帷は決して朽ちることはないと常忍の母の大聖人への思いを讃えられておられます。
■ご真筆:中山法華経寺所蔵。
[富木殿御返事 本文]

夫れ仏弟子の中比丘一人はんべり、飢饉の世に仏の御時事かけて候いければ比丘袈裟をうて其のあたいを仏に奉る、仏其の由来を問い給いければしかじかとありのままに申しけり、仏云く「袈裟はこれ三世の諸仏解脱の法衣なり、このあたひをば我ほうじがたし」と辞退しましまししかば、此の比丘申すは「この袈裟あたひをばいかんがせん」と申しければ、仏の云く「汝悲母有りや不や」答えて云く「有り」仏云く「此の袈裟をば汝母に供養すべし」此の比丘仏の云く「仏は此れ三界の中の第一の特尊なり一切衆生の眼目にてをはす、設い十方世界を覆う衣なりとも大地にしく袈裟なりとも能く報じ給うべし、我が母は無智なる事牛のごとし羊よりもはかなしいかでか袈裟の信施をほうぜん」と云云。

仏返して告げて云く「汝が身をば誰か生みしぞや汝が母これを生む此の袈裟の恩報じぬべし」等云云、此れは又齢九旬にいたれる悲母の愛子にこれをまいらせさせ給える我と両眼をしぼり身命を尽くせり、我が子の身として此の帷の恩かたしとをぼしてつかわせるか日蓮又ほうじがたし、しかれども又返すべきにあらず、此の帷をきて日天の御前にして此の子細を申し上げば定めて釈梵諸天しろしめすべし。

帷は一なれども十方の諸天此れをしり給うべし、露を大海によせ土を大地に加るがごとし生生に失せじ世世にくちざらむかし、恐恐謹言。

二月七日                     日 蓮  花押


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[室町時代の大帷  by東京国立博物館]

by johsei1129 | 2015-09-26 21:40 | 富木常忍・尼御前 | Trackback | Comments(0)
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