2015年 08月 30日
「子の時」は、鎌倉を引き出し奉る時なり。 種々御振舞抄二十三・四十六に云く「さては十二日の夜・武蔵守殿のあづかりにて夜半に及び頚を切らんがために鎌倉をいでしに」と云云。夜半は即ち子の時なり。「丑の時」は正しく頚の座に引き居え奉るなり。 妙法尼抄十三四十三に云く「鎌倉竜の口と申す処に九月十二日の丑の時に頚の座に引きすへられて候いき」と文。 今「子丑」というは、是れ始終を挙ぐるなり。「頚はねられぬ」とは、只是の義は頚を刎ねらるるに当るなり。例せば「普明、頚を刎ねらる」の文の如し。是れ則ち「及加刀杖」の文に合するなり。「魂魄・佐渡の国にいたりて」とは「数数見擯出」の文に合するなり。故に蓮師は「不愛身命、但惜無上道」の法華経の行者なること、誰か之を疑うべけんや。仍是れ付文の辺なり。 問う、元意の辺は如何。 答う、云云。 重ねて問う、如何。 答う、是れ第一の秘事なりと雖も、略して之を示さん。汝伏して之を信ずべし。当に知るべし、此の文の元意は、蓮祖大聖は名字凡夫の御身の当体、全く是れ久遠元初の自受用身と成り給い、内証真身の成道を唱え、末法下種の本仏と顕れたもう明文なり。 問う、其の謂れ如何。 答う、凡そ丑寅の時とは陰の終り、陽の始め、即ち是れ陰陽の中間なり。亦是れ死の終り、生の始め、即ち是れ生死の中間なり。古徳の云く「丑は是れ大陰の指帰、寅は是れ小陽の萌動なり。生生の始め、死死の終りなり」と云云。 宗祖の外の五・七に云く「相かまえて相かまえて自他の生死はしらねども御臨終のきざみ生死の中間に日蓮かならず・むかいにまいり候べし、三世の諸仏の成道はねうしのをわり・とらのきざみの成道なり、仏法の住処は鬼門の方に三国ともにたつなり此等は相承の法門なるべし」等云云。 故に知んぬ「子丑の時」は末法の蓮祖、名字凡身の死の終りなり。故に「頚はねられぬ」と云うなり。寅の時は久遠元初の自受用身の生の始めなり。故に「魂魄」等と云うなり。 房州日我の本尊抄見聞に云く「開目抄に、魂魄佐渡の国にいたりてとは、是れ凡夫の魂魄に非ず。久遠名字の本仏の魂魄なり」と云云。 経王抄二十二・十四に云く「此の曼荼羅能く能く信ぜさせ給うべし乃至日蓮がたましひをすみにそめながして・かきて候ぞ信じさせ給え、仏の御意は法華経なり日蓮が・たましひは南無妙法蓮華経に・すぎたるはなし」と云云。 明星直見の口伝に云く「即ち明星池を望みたまえば、日蓮が影は即ち今の大曼荼羅なり」(新定二七二二)と云云。 大曼荼羅とは、即ち是れ一念三千即自受用身なり云云。釈尊は、二月八日の明星の出ずる時、霍燃と大悟し給うを成道の相と名づくるなり。明星の出ずる時は、即ち是れ寅の刻なり。吾が祖亦爾なり。名字凡夫の当体、全く是れ久遠元初の自受用身と顕れ、内証真身の成道を唱えたもうなり。故に佐渡已後に正しく本懐を顕すなり。 当に知るべし、鬼門は即ち丑寅の方なり。霊鷲山は王舎城の鬼門なり、天台山は漢陽宮の鬼門なり、比叡山は平安城の鬼門なり。類聚第一巻の如し。富士山も亦王城の鬼門なり。義楚六帖の二十一巻の如し。録外第五・七、啓運抄三・二十九の如し。往いて見よ。 亦復当に知るべし、当山の勤行は、往古より今に至るまで正しく是れ丑寅の時なり。之を思え、之を思え。
by johsei1129
| 2015-08-30 17:01
| 日寛上人 御書文段
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