2015年 07月 31日
【四条金吾女房御書】 ■出筆時期:文永八年(1271)五月七日 五十歳御作。
■出筆場所:鎌倉 松葉ケ谷の館にて。 ■出筆の経緯:本書は四条金吾の妻日眼女が初産の時期が迫りながら、恐らく伸び伸びとなり不安が募ったのだろうと思われるが、大聖人に符(ふ・法華経の文を書き記した紙を燃やして灰にしたもの)を願いでた事への返書となっております。 大聖人は「薬なりとも毒を入れぬれば薬の用すくなし、つるぎなれども、わるびれたる人のためには何かせん。就中(なかんずく)夫婦共に法華の持者なり、法華経流布あるべきたねをつぐ所の玉の子出で生れん、目出度(めでたく)覚え候ぞ」と、あくまで法華経への強い信仰が大事であることを諭されております。そして符のことについて「口伝相承の事は此の弁公にくはしく申しふくめて候、則(すなわち)如来の使なるべし。返す返すも信心候べし」と記し、弁公(日昭上人)に符を持たせるので符の意味についてよく聞くように指導されておられます。 大聖人はその日のうちに同じ鎌倉に住む四条金吾夫妻のもとへ符を届けさせたと思われ、日眼女は翌日八日に無事女の子を出産、大聖人は月満(つきまろ)御前と命名されておられます。 尚、大聖人が符を信徒に与えた事例は極めて少なく、御書を見る限り日眼女の初産の時と南条時光が瀕死に陥ったときの二つが確認できます。この符の効用は、現代医学におけるプラシーボ効果に近いものがあり、日眼女・南条時光の妻の事例でも、符を飲むことで本人の精神力が高まり「自然治癒力」を増大した結果良い効果が得られたと考えられます。 ■ご真筆:現存していない。 [四条金吾女房御書 本文] 懐胎(かいたい)のよし・承り候い畢んぬ。それについては符の事仰せ候。日蓮相承の中より撰(えら)み出して候・能く能く信心あるべく候。 たとへば秘薬なりとも毒を入れぬれば薬の用すくなし、つるぎなれども・わるびれたる人のためには何かせん。 就中(なかんずく)夫婦共に法華の持者なり。法華経流布あるべきたねをつぐ所の玉の子出で生れん、目出度覚え候ぞ。色心二法をつぐ人なり、争(いかで)か・をそなはり候べき、とくとくこそ・うまれ候はむずれ。 此の薬をのませ給はば疑いなかるべきなり。闇なれども灯入りぬれば明かなり、濁水にも月入りぬればすめり。明かなる事・日月にすぎんや、浄き事・蓮華にまさるべきや。法華経は日月と蓮華となり、故に妙法蓮華経と名く。日蓮又日月と蓮華との如くなり。信心の水すまば利生の月・必ず応を垂れ守護し給うべし。とくとくうまれ候べし。法華経に云く「如是妙法」又云く「安楽産福子」云云。 口伝相承の事は此の弁公にくはしく申しふくめて候、則ち如来の使なるべし。返す返すも信心候べし。 天照太神は玉を・そさのをのみこと(素盞雄尊)にさづけて玉の如くの子をまふけたり。然る間、日の神・我が子となづけたり。さてこそ正哉吾勝(まさや・あかつ)とは名けたれ。 日蓮うまるべき種をさづけて候へば争か我が子にをとるべき。「有一宝珠・価直三千(けじき・さんぜん)」等。「無上宝聚・不求自得(ほうじゅ・ふぐじとく)・釈迦如来・皆是吾子」等云云。 日蓮あに此の義にかはるべきや、幸(さち)なり幸なり・めでたしめでたし。又又申すべく候。あなかしこ・あなかしこ。 文永八年五月七日 日 蓮 花押 四条金吾殿女房御返事 【妙法蓮華経 法師功徳品 第十九】 若有懐妊者 未弁其男女 無根及非人 聞香悉能知 以聞香力故 知其初懐妊 成就不成就 安楽産福子 [和訳] 若し懐妊する者有りて、未だその子が男か女か 生きているか否か弁えずとも、香を聞いて悉く能知る。 香を聞く力を以て、其の初めて懐妊することをを知り、 それが成就するか否か、安楽に福子を生むことを知る。
by johsei1129
| 2015-07-31 20:10
| 四条金吾・日眼女
|
Trackback
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
全体 御書 INDEX・略歴 WRITING OF NICHIREN 観心本尊抄(御書五大部) 開目抄(御書五大部) 撰時抄(御書五大部) 報恩抄(御書五大部) 立正安国論(御書五大部) 御書十大部(五大部除く) 日蓮正宗総本山大石寺 重要法門(十大部除く) 血脈・相伝・講義 短文御書修正版 御義口伝 日興上人 日寛上人 六巻抄 日寛上人 御書文段 小説 日蓮の生涯 上 小説 日蓮の生涯 中 小説 日蓮の生涯 下 LIFE OF NICHIREN 日蓮正宗関連リンク 南条時光(上野殿) 阿仏房・千日尼 曾谷入道 妙法比丘尼 大田乗明・尼御前 四条金吾・日眼女 富木常忍・尼御前 池上兄弟 弟子・信徒その他への消息 釈尊・鳩摩羅什・日蓮大聖人 日蓮正宗 宗門史 創価破析 草稿 富士宗学要集 法華経28品 並開結 重要御書修正版 検索
以前の記事
2024年 10月 2024年 09月 2024年 08月 2024年 07月 2024年 06月 2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 01月 お気に入りブログ
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
タグ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||