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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 10月 24日

仏滅後二千二百二十余年(略)日蓮なくば仏語既に絶えなん、と説いた【単衣(ひとえぎぬ)抄】

【単衣抄】
■出筆時期:建治元年(1275)八月十九日 五十四歳御作。
■出筆場所:身延山中 草庵にて。
■出筆の経緯:本抄は単衣(ひとえぎぬ)一領を供養された婦人におくられたご消息文です。この婦人は「未だ見参にも入らぬ人の膚を隠す衣を送り給候こそ何とも存じがたく候へ」と記されておられるので、まだ大聖人とはお会いになられていない信徒と思われます。また「此の衣を給て候わば夫妻二人ともに此の仏御尋ね坐して我が檀那なりと守らせ給うらん」とも記されておられますので、夫妻で大聖人に帰依されておられます。

追伸で「此の文は藤四郎殿女房と常により合いて御覧あるべく候」と記されおられますが、この藤四郎殿女房も詳細は不明ですが、本書を書かれた六年前の文永九年に四条金吾の妻日眼女に送られた「同生同名御書」にも、同様に「藤四郎殿女房と常により合いて御覧あるべく候」と追伸されておられるので、四条金吾夫妻と同じく鎌倉に在住していたと思われます。

本書で大聖人は法華経に予言されている「如来の現在にすら猶怨嫉多し」「一切世間怨多くして信じ難し」の門を引いて「日蓮なくば仏語既に絶えなん」と断じられておられます。
また文末では「此の帷(とばり)をきて仏前に詣でて法華経を読み奉り候いなば、御経の文字は六万九千三百八十四字、一一の文字は皆金色の仏なり、衣は一つなれども六万九千三百八十四仏に一一にきせまいらせ給へるなり」と、まだ見ぬ婦人の大聖人に帰依する志を強く讃嘆されておられます。
■ご真筆:現存していない。

[単衣抄 本文]

単衣(ひとえ)一領送り給い候い畢んぬ。
棄老国には老者をすて・日本国には今法華経の行者をすつ、抑此の国開闢より天神七代・地神五代・人王百代あり、神武より已後九十代欽明より仏法始まりて六十代・七百余年に及べり、其の中に父母を殺す者・朝敵となる者・山賊・海賊・数を知らざれども・いまだきかず法華経の故に日蓮程・人に悪まれたる者はなし、或は王に悪まれたれども民には悪まれず、或は僧は悪めば俗はもれ、男は悪めば女はもれ、或は愚人は悪めば智人はもれたり。

此れは王よりは民・男女よりは僧尼・愚人よりは智人悪む・悪人よりは善人悪む、前代未聞の身なり後代にも有るべしともおぼえす。

故に生年三十二より今年五十四に至るまで二十余年の間・或は寺を追い出され、或は処をおわれ・或は親類を煩(わずら)はされ・或は夜打ちにあひ・或は合戦にあひ・或は悪口数をしらず・或は打たれ或は手を負う・或は弟子を殺され或は頚を切られんとし・或は流罪両度に及べり、二十余年が間・一時片時も心安き事なし。頼朝の七年の合戦もひまやありけん、頼義が十二年の闘諍も争か是にはすぐべき。

法華経の第四に云く「如来の現在にすら猶怨嫉多し」等云云。第五に云く「一切世間怨多くして信じ難し」等云云。天台大師も恐らくはいまだ此の経文をばよみ給はず、一切世間皆信受せし故なり、伝教大師も及び給うべからず、況滅度後の経文に符合せざるが故に。
日蓮・日本国に出現せずば如来の金言も虚くなり、多宝の証明も・なにかせん、十方の諸仏の御語(みことば)も妄語となりなん。仏滅後二千二百二十余年・月氏・漢土・日本に一切世間多怨難信の人なし、日蓮なくば仏語既に絶えなん。


かかる身なれば蘇武が如く雪を食として命を継ぎ・李陵が如く簑をきて世をすごす、山林に交つて果(このみ)なき時は空くして両三日を過ぐ・鹿の皮破ぬれば裸にして三四月に及べり。

かかる者をば何としてか哀(あわれ)とおぼしけん、未だ見参にも入らぬ人の膚(はだえ)を隠す衣を送り給(たび)候こそ何(いかに)とも存じがたく候へ。
此の帷(とばり)をきて仏前に詣でて法華経を読み奉り候いなば・御経の文字は六万九千三百八十四字・一一の文字は皆金色の仏なり、衣は一つなれども六万九千三百八十四仏に一一にきせまいらせ給へるなり。

されば此の衣を給(たび)て候わば夫妻二人ともに此の仏御尋ね坐(ましま)して我が檀那なりと守らせ給うらん。今生には祈りとなり財となり・御臨終の時は月となり・日となり・道となり・橋となり・父となり・母となり・牛馬となり・輿となり・車となり・蓮華となり・山となり・二人を霊山浄土へ迎え取りまいらせ給うべし。南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経。

建治元年乙亥八月                  日 蓮 花 押
此の文は藤四郎殿女房と常により合いて御覧あるべく候。




by johsei1129 | 2019-10-24 21:49 | 弟子・信徒その他への消息 | Trackback | Comments(0)
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