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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 07月 25日

開目抄愚記 下四  開近顕遠は文底秘沈の三箇の秘法を顕わす

一 虚空(こくう)霊山(りょうぜん)諸菩薩(諸大菩薩)

  問う、虚空(こくう)の諸菩薩とは(まさ)に是れ「諸の大衆(だいしゅ)を接して、皆虚空に()きたまう」の諸菩薩なるべし。霊山(りょうぜん)の諸菩薩とは是れ(いか)なる菩薩ぞや。

  答えて云く、応に是れ宝塔(ほうとう)品に来集(らいじゅう)せる分身(ふんじん)侍者(じしゃ)なるべし。

  問う、五百問論の下十八に「分身の侍者は(くう)()す」と云えり。今何ぞ霊山の諸菩薩と云わんや。

  答う、分身(すで)に霊山に在り。侍者(あに)虚空に住せんや。(いわん)(また)下の品に涌出の菩薩を見て(おのおの)()の仏を問うに、(あに)空より地に向かって是れを問うべけんや。故に知んぬ、分身の侍者は(なお)霊山に居するなり。ただし五百問論の意は、分身はすでに高座有り、侍者はすなわち高座無し、故に分身の高座のかずに等しくじゅんの空に居すべしとなり。故に空に居すと云うなり。しかりといえども、諸の大衆を接して皆虚空にかんことを望む。なお是れ霊山なり。故に今は霊山の諸菩薩というなり。まさに知るべし、此の一句は総じて比校ひきょうなり。

一 十六の大菩薩

  問う、前後(みな)四数を()げて比校す。今何ぞ(しか)らずや。

 答う、今文も亦是れ四数なり。(いわ)く、東方の四菩薩、南方の四菩薩、西方の四菩薩、北方の四菩薩なるが故なり。文は(ただ)是れ略して十六というのみ。

一 海人(あま)が皇帝に(むか)い奉る等

 「海人」は卑賤(ひせん)(ごく)、「皇帝」は(そん)()の極なる故なり。

一 商山(しょうざん)()(こう)文。

  「四皓」の事、(つぶさ)に註(およ)び啓蒙の如し。又啓蒙三十一・六十三。

一 弥勒(みろく)菩薩・心に(ねん)(ごん)

 此の下は疑問、亦二あり、初めに疑念、次に「あまりの不審さに」の下は発問なり。(まさ)に言に発すべき事を、()ず心中に是れを念ず、故に「念言」というか。

一 雨の(たけ)を見て等

  文九・五に云く「雨の猛きを見て竜の大なるを知り、(はな)(さか)んなるを見て池の深きを知る。(おう)虚空(こくう)に満つるを見れば、(すなわ)ち真の法界に()つるを知るなり」と文。此の本文の意は、菩薩のまさ多きを見れば仏の真身の久しく満つることを知るなり。みょうらくの云う「成仏すでに久しければ化迹けしゃく必ず多し」云云とは即ち此の意なり。し当文の意は、諸菩薩のそんなるを見て師の仏のなおまさに尊貴なるべきを知るなり。故に転用するにたり。

一 あまりの不審(いぶかし)さに等

  此の下は次に発問なり。

一 仏力(ぶつりき)にや有りけん等

  問う、経文に仏加の相を見ず、如何(いかん)

  答う、大論五十三・二十六に云く「弥勒(みろく)等の諸菩薩・梵天(ぼんてん)(のう)等、(ぶつ)()()けざれば(なお)(とい)を得る(あた)わず。何ぞ(いわん)(しゅ)菩提(ぼだい)をや」等云云。故に知んぬ、諸の菩薩の発問は通じて皆仏力に()るなり。(いわん)(また)今経は如来出世の大事なり。仏力に由らずして()んぞ問うことを得べけんや。例せば(だい)楽説(ぎょうせつ)の如し。文の八・三十八に云く「楽説、仏の神力をくるとは、塔を開かんと欲せばすべからく仏を集むべし。仏を集むれば即ち付属せんとす。付属するには即ち下方を召す。下方ずるときまさごんを開しておんを顕すべし。此れは是れ大事の由なり、あに仏の神力の之を問わしむるにあらずや」と云云。楽説すでしかなり、弥勒みろくも亦しかなり。遠由おんゆなおしかなり、況やごんをや。いかに況やかいごんけんのんすなわち文底秘沈の三箇の秘法、亦まさに之を顕すべし、あに大事の中の大事に非ずや。いずくんぞ仏力ぶつりきに非ずして是れを問うことを得べけんや。故にいま「仏力」というなり。

一 無量千万億等

  是れ師主の住処・因縁(いんねん)を問う。其の文見るべし。

一 「智人は()を知る蛇は自ら蛇を()る」等

  記の九本二十の文なり。()し本文に在っては、是れ徴起の文なり。妙楽、此の下に不知の義を答出せり。(しか)りと雖も、宗祖の意は此の徴起の文の裏を以て直ちに迹化の不知の義を(あらわ)すなり。文意に云く、智人は()を知り、蛇は自ら蛇を()る。迹化の愚人(ぐにん)(あに)本化を知らんや等云云。(つぶさ)撰時抄下二十三に今文の意を(しゃく)するが如し。啓蒙(けいもう)の義は不可なり。

つづく


開目抄愚記下 目次



by johsei1129 | 2015-07-25 16:00 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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