2015年 07月 08日
この下は釈、また二と為す。初めに略釈、次に「但し世間の疑」の下三十六は広く疑を挙げて以て釈す。初めの略釈、また四と為す。初めに略示、次に「法華経の第四」の下は文を引いて旨を釈し、三に「されば日蓮」の下は功を顕して疑を立て、広釈の本と為し、四に「而るに法華経」の下は身に当てて釈成す云云。初めの略示とは、略して大難を忍ぶを以てこれ法華経の行者なることを示すが故なり。 一 大事の難・四度文。 一義に云く、第一に康元年中の夜討ちの難、御年三十九歳の比なり。具に下山抄二十六・三十六、法尼抄十三・四十二の如し。 第二に弘長元年の伊東の難、御年四十歳、具に一谷抄三十五二・十六、四恩抄四十四の如し。 第三に文永元年の東条の難、御年四十三歳、南条抄二十二・十五の如し云云。 第四に文永八年の佐州の難、御年五十なり。竜口の御難は佐州の難に属するなりと。 一義に云く、夜討の難は没して佐州・竜口を開いて二難と為す云云。この義、諸文の意に違うなり。故に諸義の如きは最も然るべきなり。 一 二度は・しばらく・をく文。 夜討、東条はこれ王難に非ず。故に且くこれを置くなり。 一 王難すでに二度文 これ諸文の如く両度の流罪なり。 問う、両度の流罪は正しく鎌倉の下知に拠る、これ国主の下知に非ず、何ぞ王難というや。 答う、一義に云く、これ深重の難なる故なり。一義に云く、勅を受け罪に処する故なりと。一義に云く、親王・将軍の故なり云。 今謂く、並びに宗祖の意に非ず。若し宗祖の意は、但義勢を以て「王難」というなり。謂く、時頼等を正しく国主と名づく。故に佐渡御勘気抄十四五に云く「此の鎌倉の御一門の御繁盛は義盛と隠岐法皇ましまさずんば争か日本の主となり給うべき」と云云。兵衛志御返事三十九二十七に云く「守殿は日本国の主にてをはするが」と云云。既にこれ日本国の主なり。故に義も又国王に同じ、故に或る処にも亦国王と名づくるなり。頼基陳状二十九・八に云く「国王の勘気は両度」と云云。王舎城抄三十四・四十五に「これは国王已にやけぬ」等云云。此等の文意は、時頼等は日本国の主なるが故に、義も亦国王に同じきなり。故に「王難」というなり。所以に次上の文に云く「父母・兄弟・師匠に国主の王難」と云云。これを思い見るべし。 一 今度は既に吾が身命に及ぶ文 一義に云く、是れ竜口を指すと。一義に云く、佐州を指すと云云。並びに是れ辺なり。「今度」の言は、広く竜口及び佐州を収むべきなり。諸文の意も爾なり。 妙法尼抄十三・四十三に云く「国主より御勘気二度なり、二度めは外には遠流と聞こへしかども内には頸を切るべしとて、鎌倉竜の口と申す処に九月十二日の丑の時に頸の座に引きすへられて候いき(乃至)其の夜の頸はのがれぬ、又佐渡の国にて・きらんとす」と文。 報恩抄下二十二に云く「文永八年辛未九月十二日の夜はのびてさどの国までゆく、今日切る明日切るといひしほどに四箇年と云うにゆりぬ」(略抄)と。 一 其の上弟子といひ檀那といひ等文。 若し妙法尼抄十三・四十八の意は、建長已後御一代の間の弟子・檀那の大難なり。若し今文の意は、別して九月十二日已後に約するか云云。精師云く「九月十二日の時は有合せたる人人皆難に値い、或は籠に入り、或は流罪等なり。但し註画讃に日朗・日真、俗四人の者は未だ明拠を見ず。次に日朗への御書の事、録外一・二十三、註画讃に出でたり。此の書若し真書ならば、日朗在俗の時なり。既に彼の文に云く『あわれ殿は法華経一部を色心の二法にあそばしたるか』と云云。既に殿という、正しく是れ在俗なり。若し日朗出家已後ならば、恐らく是れ彼の書は応に是れ偽書なるべし。出家を殿と云う事、諸抄の中に都て之れ無きが故なり」(取意)。 佐渡御勘気抄十四・二に云く「依智にして二十余日・其の間鎌倉に或は火をつくる事・七八度・或は人をころす事ひまなし、讒言の者共の云く日蓮が弟子共の火をつくるなりと、さもあるらんとて日蓮が弟子等を鎌倉に置くべからずとて二百六十余人しるさる、皆遠島へ遣わすべし、ろうにある弟子共をば頸をはねらるべし」等云云。 この中に「籠にある弟子」とは九月十二日の籠者なるべし。彼の火を付け、人を殺すは念仏宗等の所行なり。怖しき巧にあらずや。 又、十一に云く「武蔵前司殿(乃至)先ず国中のもの日蓮房につくならば或は国をおひ、或はろうに入れよと私の下知を下す、又下文下る。かくの如く三度其の間の事申さざるに心をもて計りぬべし、或は其の前をとをれりと云うて・ろうに入れ或は其の御房に物をまいらせけりと云うて国をおひ或は妻子をとる」等云云。 此等の文を以て今の意を知るべし云云。
by johsei1129
| 2015-07-08 22:52
| 日寛上人 御書文段
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