日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 07月 01日

法華経の行者を軽しめし人人、千劫阿鼻地獄に入る、と説いた【松野殿御返事】

【松野殿御返事】
■出筆時期:建治四年(西暦1278)二月十三日 五十七歳。
■出筆場所:身延山中 草庵にて。
■出筆の経緯:本抄は、松野入道が使いの者にご供養の品々を持たせ、大聖人に届けた事に対する返書で「雪の中ふみ分けて御訪い候事、御志定めて法華経十羅刹も知し食し候らん」とその志を称えられております。
またこの当時日本は飢饉が蔓延し大聖人は本抄で「日本国数年の間打ち続きけかちゆきて衣食たへ、畜るひをば食いつくし、結句人をくらう者出来して・・・」とその悲惨な窮状を記しております。さらに文末では法華経不軽品第二十を引き「(法華経の)行者を軽しめし人人、千劫阿鼻地獄に入ると説き給へり」と断じております。
■ご真筆: 大阪府清普寺・京都市本能寺、断簡所蔵。
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[大阪府清普寺:三行断簡]
(断簡箇所:けかちゆきて衣食たへ、畜るひをば食いつくし、結句人をくらう)

[松野殿御返事 本文]

 種種の物送り給い候畢ぬ。山中のすまゐ思遣せ給うて、雪の中ふみ分けて御訪い候事、御志定めて法華経十羅刹も知し食し候らん。さては涅槃経に云く「人命の停らざることは山水にも過ぎたり今日存すと雖も明日保ち難し」、摩耶経に云く「譬えば旃陀羅の羊を駈て屠家に至るが如く人命も亦是くの如く歩歩死地に近く」、法華経に云く「三界は安きこと無し猶火宅の如し衆苦充満して甚だ怖畏すべし」等云云。此れ等の経文は我等が慈父・大覚世尊・末代の凡夫をいさめ給い、いとけなき子どもをさし驚かし給へる経文なり。然りと雖も須臾も驚く心なく刹那も道心を発さず、野辺に捨てられなば一夜の中にはだかになるべき身をかざらんがために、いとまを入れ、衣を重ねんとはげむ。命終りなば三日の内に水と成りて流れ塵と成りて地にまじはり、煙と成りて天にのぼりあともみえず、なるべき身を養はんとて多くの財をたくはふ。此のことはりは事ふり候ぬ。

但し当世の体こそ哀れに候へ。日本国数年の間打ち続きけかちゆきて衣食たへ、畜るひをば食いつくし、結句人をくらう者出来して、或は死人、或は小児、或は病人等の肉を裂取て、魚鹿等に加へて売りしかば、人是を買いくへり。此の国存の外に大悪鬼となれり。又去年の春より今年の二月中旬まで疫病国に充満す。十家に五家・百家に五十家皆やみ死し、或は身はやまねども心は大苦に値へりやむ者よりも怖し。たまたま生残たれども或は影の如くそいし子もなく、眼の如く面をならべし夫婦もなく、天地の如く憑し父母もをはせず生きても何にかせん、心あらん人人争か世を厭はざらん。三界無安とは仏説き給て候へども、法に過ぎて見え候。

 然るに予は凡夫にて候へども、かかるべき事を仏兼て説きをかせ給いて候を、国王に申しきかせ進らせ候ぬ。其れにつけて御用は無くして弥怨をなせしかば、力及ばず此の国既に謗法と成りぬ。法華経の敵に成り候へば、三世十方の仏神の敵と成れり、御心にも推せさせ給い候へ。日蓮何なる大科有りとも法華経の行者なるべし。南無阿弥陀仏と申さば何なる大科有りとも念仏者にて無しとは申しがたし。南無妙法蓮華経と我が口にも唱へ候故に罵られ打ちはられ流され命に及びしかども、勧め申せば法華経の行者ならずや。法華経には行者を怨む者は阿鼻地獄の人と定む。四の巻には仏を一中劫罵るよりも末代の法華経の行者を悪む罪、深しと説かれたり。七の巻には行者を軽しめし人人、千劫阿鼻地獄に入ると説き給へり。五の巻には我が末世末法に入つて法華経の行者有るべし、其の時其の国に持戒、破戒等の無量無辺の僧等、集りて国主に讒言して流し失ふべしと説かれたり。然るにかかる経文かたがた符合し候畢んぬ、未来に仏に成り候はん事疑いなく覚え候。委細は見参の時申すべし。

建治四年戊寅二月十三日            日 蓮  花押
松野殿御返事

【妙法蓮華経不軽品第二十】
彼時四衆。比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷。以瞋恚意。軽賎我故。
二百億劫。常不値仏。不聞法。不見僧。千劫於阿鼻地獄。受大苦悩。
[和訳]
彼の時、比丘(僧)・比丘尼(尼)・優婆塞(在家男)・優婆夷(在家女)の四衆は、瞋恚の心をもって我を軽賎する故に、二百億劫の長きに渡り仏に会えず、法を聞くこともなく、僧を見ることもなく、千劫の間阿鼻地獄において大苦悩を受ける。

by johsei1129 | 2015-07-01 20:40 | 弟子・信徒その他への消息 | Trackback | Comments(0)
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