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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 11月 07日

念仏信仰の親を法華経に導いた池上宗長の志を称えた書【兵衛志殿御返事】

【兵衛志殿御返事】
■出筆時期:弘安元年(西暦1278)五月 五十七歳御作。
■出筆場所:身延山中 草庵にて。
■出筆の経緯:本抄は池上兄弟の弟、池上宗長に対して与えられた消息文です。冒頭の一部は欠損していますが、宗長が身延の草庵にご供養の品々を運ぶのに、馬と人夫を提供したことに対し「たといかまくらにいかなる物を人にたびて候とも、夫(ふ)と馬となくばいかでか日蓮が命はたすかり候べき<中略>此の歩馬はこんでいこま(金泥駒)となり」と記し、悉達太子(釈尊の幼名)が、出家し王宮を出たときに乗った白馬にも匹敵すると宗長の志を称えられております。さらに、兄宗仲が二度も父から勘当されながらも、兄弟ともに大聖人に帰依し続け、ついに父を法華経に導いた事を「かしこき上、欲なき身と生まれて三人ともに仏になり給ひ、ちゝかた・はゝかたのるいをもすくい給ふ人となり候ぬ<略>此の事は一代聖教をも引きて百千まいにかくとも、つくべしとはをもわねども・・・」と賛嘆されておられます。

■ご真筆: 京都市妙覚寺 所蔵
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[兵衛志殿御返事 本文]

 御ふみにかゝれて候上、大に(弐)のあざり(阿闍梨)のかたり候は、ぜに十余れん(連)並びにやうやうの物ども候ひしかども、たうじはのうどき(農時)にて□□□□人もひきたらぬよし□□□も及び候はざりけ□□□□兵衛志殿の御との□□□□御夫馬(ふま)にても□□□□て候よし申候。
  
 夫(それ)百済国より日本国に仏法のわたり候ひしは、大船にのせて此をわたす。今のよど(淀)河より・あをみ(近江)の水海につけて候ものは、車にて洛陽へははこび候。それがごとく、たとい・かまくらにいかなる物を人にたびて候とも、夫(ふ)と馬となくばいかでか□□(日蓮)が命はたすかり候べき。□□□(徳勝)童子は土の餅を仏に□□□□□阿育大王と□□□□□□□□□くやう(供養)しまいらせ候ひしゆへに、阿育大王の第一の大臣羅提吉(らだいきち)となりて一閻浮提の御うしろ(後)め、所謂ををい(大臣)殿の御時の権大夫殿のごとし。
  
 此は彼等には・にるべくもなき大功徳。此の歩馬はこんでいこま(金泥馬)となり、此の御との人はしゃのく(車匿)・とねり(舎人)となりて、仏になり給ふべしとをぼしめすべし。抑(そもそも)すぎし事なれども、あまりに・たうとく・うれしき事なれば申す。
 
  昔、波羅奈国に摩訶羅王と申す大王をはしき。彼の大王に二(ふたり)の太子あり。所謂善友(ぜんう)太子、悪友(あくう)太子なり。

 善友太子の如意宝珠を持ちてをはせしかば、此をとら(盗)むがために・をと(弟)の悪友太子は兄の善友太子の眼をひき給ひき。昔の大王は今の浄飯王、善友太子は今の釈迦仏、悪友太子は今の提婆達多・此なり。兄弟なれども・たからをあらそいて世々生々にかたきとなりて・一人は仏となり、一人は無間地獄にあり。此は過去の事、他国の事なり。我が朝には一院・さぬきの院の兄弟なりしかども位をあらそいて、ついにかたきとなり給ひて・今に地獄にやをはすらむ。当世め(眼)にあたりて此の代のあやを(危)きも・兄弟のあらそいよりをこる。大将殿と申せし賢人も九郎判官等の舎弟等をほろぼし給ひて、かへりて我が子ども皆所従等に失はれ給ふは眼前の事ぞかし。
  
 とのばら二人は上下こそありとも、とのだにもよくふかく・心まがり・道理をだにもしらせ給はずば、ゑもん(衛門)の大夫志(さかん)殿はいかなる事ありとも・をやのかんだうゆ(許)るべからず。ゑもんのたいうは法華経を信じて仏になるとも、をやは法華経の行者なる子をかんだうして地獄に堕つべし。とのは・あにと・をやをそん(損)ずる人になりて、提婆達多がやうに・をはすべかりしが、末代なれども・かしこき上、欲なき身と生まれて三人ともに仏になり給ひ、ちゝかた(父方)・はゝかたのるいをも・すくい給ふ人となり候ぬ。又とのゝ御子息等もすへの代はさかうべしとをぼしめせ。

 此の事は一代聖教をも引きて百千まいにか(書)くとも、つくべしとはをもわねども、やせやまいと申し・身もくるしく候へば・事々申さず。あわれあわれ、いつかげざん(見参)に入りて申し候はん。又むかいまいらせ候ひぬれば、あまりのうれしさに・かたられ候はず候へば・あらあら申す。よろずは心にすい(推)し・はか(量)らせ給へ。

 女房の御事・同じくよろこぶと申させ給へ。恐々謹言。
 
 


by johsei1129 | 2019-11-07 21:20 | 池上兄弟 | Trackback | Comments(0)


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