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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 11月 10日

池上兄弟の篤信を称えた書【兵衛志殿御返事】

【兵衛志殿御返事】英語版
■出筆時期:弘安元年(西暦1278)十一月二十九日 五十七歳 御作。
■出筆場所:身延山中 館にて。
■出筆の経緯:本抄は池上兄弟の弟、兵衛志宗長に与えられた書です。大聖人は池上兄弟が供養した白厚綿小袖について「兄弟二人のふたつの小袖、わた四十両をきて候が、なつの・かたびら(帷子)の・やうにかろく候ぞ。<中略>此の二つの・こそで・なくば今年はこごへしに候なん」と記し、兄弟の真心のご供養の精神を称えられております。また身延の館の様子について「人はなき時は四十人ある時は六十人。<中略>心にはしずかに、あじち(庵室)・むすびて小法師と我が身計り御経よみまいらせんとこそ存じて候に、かかる・わづらはしき事候はず、又としあけ候わば、いづくへもにげんと存じ候ぞ」と記し、弟子とその身内が集い活況を呈していることを、面白く記されている貴重な書となっております。
■ご真筆:京都市 立本寺、他四箇所に断簡所蔵。
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[兵衛志殿御返事 本文]


 銭六貫文の内 一貫次郎よりの分 白厚綿(あつわた)小袖一領。四季にわたりて財(たから)を三宝に供養し給う。いづれも、いづれも功徳にならざるはなし。但し時に随いて勝劣・浅深わかれて候。う(飢)へたる人には衣をあたへたるよりも、食をあたへて候はいますこし功徳まさる。こごへたる人には食をあたへて候よりも衣は又まさる。春夏に小袖をあたへて候よりも、秋冬にあたへぬれば又功徳一倍なり。これをもつて一切はしりぬべし。ただし此の事にをいては四季を論ぜず、日月をたださず、ぜに、こめ、かたびら(帷子)、きぬこそで(衣・小袖)、日日、月月にひまなし。例せばびんばしやらわう(頻婆娑羅王)の教主釈尊に日日に五百輛の車ををくり、阿育(あそか)大王の十億の沙金を鶏頭摩寺(けいずまじ)にせ(施)せしがごとし。大小ことなれども志は彼にもすぐれたり。

 其の上・今年は子細候。ふゆと申すふゆ・いづれのふゆか・さむからざる。なつと申すなつ・いづれのなつか・あつからざる。ただし今年は余国はいかんが候らん、この・はきゐ(波木井)は法にすぎてかん(寒)じ候。ふるき・をきな(老)どもにとひ候へば、八十・九十・一百になる者の物語り候は、すべて・いにしへ・これほどさむき事候はず。此のあんじち(庵室)より四方の山の外、十町・二十町、人かよう事候はねば・しり候はず。きんぺん一町のほどは、ゆき(雪)一丈二丈五尺等なり。このうるう(閏)十月卅日ゆきすこしふりて候しが・やがて・きへ候ひぬ。この月の十一日たつ(辰)の時より十四日まで大雪ふりて候しに、両三日へだてて・すこし雨ふりてゆき・かた(堅)くなる事金剛のごとし。いまにきゆる事なし。ひるも・よるも・さむくつめたく候事・法にすぎて候。さけは・こを(凍)りて石のごとく、あぶらは金ににたり。なべかま(鍋釜)は小(すこ)し水あれば・こおりてわれ、かん(寒)いよいよ・かさなり候へば、きものうすく食ともしくして・さしいづるものもなし。

 坊ははんさく(半作)にて・かぜゆき(風雪)たまらず。しきものはなし。木はさしいづるものもなければ火もたかず。ふるきあか(垢)づきなんどして候こそで(小袖)一つなんどき(著)たるものは、其の身のいろ紅蓮・大紅蓮のごとし。こへ(声)は・はは(波波)・大ばば(婆婆)地獄にことならず。手足かんじて・きれさけ、人死ぬことかぎりなし。俗のひげ(鬚)をみればやうらく(瓔珞)をかけたり。僧のはな(鼻)をみればすず(鈴)をつらぬきかけて候。

 かかるふしぎ候はず候に、去年(こぞ)の十二月の卅日より・はらのけ(下痢)の候しが春夏やむことなし。あき(秋)すぎて十月のころ大事になりて候しが、すこして平愈つかまつりて候へども、ややもすれば・を(発)こり候に、兄弟二人のふたつの小袖、わた(綿)四十両をきて候が・なつ(夏)のかたびら(帷子)のやうにかろく候ぞ。まして・わたうすく、ただぬのもの(布物)ばかりのもの・をもひやらせ給へ。此の二つのこそでなくば今年はこごへし(凍死)に候なん。

 其の上・兄弟と申し右近の尉の事と申し・食もあいついて候。人はなき時は四十人・ある時は六十人。いかにせ(塞)き候へども・これにある人人のあに(兄)とて出来し、舎弟とてさしいで、しきゐ(来居)候ぬれば・かかはやさに・いかにとも申しへず。心には・しずかにあじち(庵室)むすびて小法師と我が身計り御経よみまいらせんとこそ存じて候に、かかるわづらは(煩)しき事候はず。又とし(年)あけ候わば・いづくへもにげんと存じ候ぞ。かかる・わづらわしき事候はず。又又申すべく候。
 なによりも・えもん(衛門)の大夫志(たゆう・さかん)と・とのとの御事、ちち(父)の御中と申し・上のをぼへと申し、面(めん)にあらずば申しつくしがたし。恐恐謹言。

 十一月廿九日        日 蓮  花 押

 兵衛志殿御返事




by johsei1129 | 2019-11-10 10:44 | 池上兄弟 | Trackback | Comments(0)


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