2015年 05月 29日
第十五段 本迹相対して判ず
一 二には教主釈尊文。 この下は大段の第二、本迹相対なり。当に知るべし、この中の本迹は即ち已今・本迹に約するなり。ゆえに爾前迹門は通じてこれ迹なり。籖七・三に云く「第六の已今は、已は即ち是れ迹なり。即ち迹門及び諸の迹の教を指すなり。今は即ち是れ本なり。即ち本門を指すなり。本門已前は皆名づけて已と為す。涌出已後を方に名づけて今と為す」と文。 この本迹相対の文、分ちて三と為す。初めに能説の教主、次に「世尊・始め寂滅」の下は所説相違、三に「日蓮案じて云く」二十五の下は難信の相を示す。啓蒙中の一義に云く、此に二重の問答あり。「二には教主」の下は問、「教主釈尊此等」の下は答なり。また「日蓮案じて云く」の下は問、「かう法華経は信じがたき」の下は答なりと云云。この義疎遠なり。また健抄の二字消釈は迂回せり云云。 一 住劫・第九の減文。 弘決第九、統紀三十一・五、註の所引の如し。通じて釈尊出世の時に両説あり。一には住劫第九の減、二には住劫第一の減、文私の二・八の如し云云。 一 師子頰王文。 大論第三・二十九、註の所引の如し。 一 浄飯王には嫡子文。 増韻に云く「正室を嫡と曰う。嫡より出ずるを嫡子と曰い、妾より出ずるを庶子と曰う」と文。 一 悉達太子乃至菩薩文。 これは梵漢の二名を兼ね挙ぐるなり。西域第七、註の所引云云。 一 御年十九の御出家等文。 問う、出家成道は異説紛紜たり。所謂、十九にして出家、二十四にして成道、或は二十五にして出家三十にして成道、或は二十九にして出家、三十五にして成道、或は十九にして出家、三十にして成道なり。爾るに何ぞ古来より多く十九、三十の説を用うるや。 答う、これは経説の多分に従う故なり。珠林十八・四に云く「諸経に多く十九にして出家するを以て応に正と為すべし」と云云。また十九紙に云く「今多きに従いて定と為す。十九にして出家、三十にして成道の此の文、応に允んずべし」と云云。 一 世尊・始め寂滅等文。 この下は次に所説の相違、また分ちて三と為す。初めには正しく明かし、二には「華厳・乃至」の下は今師の能判、三に「かうて・かへりみれば」の下は諸宗の迷乱なり。初めの正しく明かすにまた二あり。初めには已迹始成、次に「されば弥勒」の下は今本久遠なり。初めの已迹始成にまた二あり。初めに爾前、次に「此等は言うに」の下は迹門。初めの爾前にまた二あり。初めに華厳、次に「阿含・方等」の下は三味。初めの華厳にまた二あり。初めに経の円融を歎じ、次に「此等程」の下は正しく始成を明かす。 一 実報華王の儀式を示現して文。 実報華王世界は甫註九・三十二に云云。「示現」とは、真の報土の儀式を示現するは即ちこれ影現の義なり。寂光に報土を示現と謂うには非ず云云。 「十玄」とは、 第一は同時具足相応門 海の一滴に百川の味を具するが如し。 第二は広狭自在無礙門 径尺の鏡に千里の影を具するが如し。 第三は一多相容不同門 一室の千灯は光々として相渉る。 第四は諸法相即自在門 金と色との二つ相離れざるが如し。 第五は秘密穏顕倶成門 片月の空に澄み晦明の相並ぶ。(注:晦明。暗いと明るい。昼と夜の意) 第六は微細相容安立門 瑠璃の瓶に多くの芥子を盛るが如し。 第七は因陀羅網境界門 両つの鏡は互に照し伝えて輝き相写す。 第八は託事顕法生解門 立像堅臂の触目、皆道なり。 第九は十世隔法異成門 一夕の夢に百年を翺翔す。(注:翺翔。飛びまわること) 第十は主伴円明具徳門 北辰の居す所、衆星もこれに拱く。(注:北辰。北極星のこと) 「六相」とは、 第一は総相 一に一切を含む。譬えば一舎の如し。 第二は別相 多徳は一に非ず。譬えば椽等の如し。 第三は同相 別して総に依止す。椽等の舎に依るが如し。 第四は異相 多義にして各異る故に、椽等の一一不同なるが如し。 第五は成相 この諸義に依って縁起成ずるが故に、椽等のその舎を成ずるが如し。 第六は壊相 諸義、自法に住して移らず。椽等の各自体に住して本より作らざるが如し等云云。 また啓蒙五・六十四、法蔵伝の下を見合すべきなり。
by johsei1129
| 2015-05-29 23:11
| 日寛上人 御書文段
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