2015年 05月 23日
一 華厳経には、前(先)後の経なければ等文。 問う、後経已にあり、何ぞ前後の経なからんや。 答う、一義に云く、言は総、意は別なりと云云。一義に云く、加えて四菩薩の説、前後になき故なりと。一義に云く、法華の如く前後を望んで三説の超過を論ずるの義これなきなりと云云。一義に云く、既に初成道の故に前後なきことを知るべしと云云。第四の義、文に臨むればこれ分明なりと雖も、大旨に准ずれば則ち仍これ不可なり。 今謂く、文の大旨に云く、華厳経の時は前後相違なし。何に由ってか大疑出来すべきと云云。故に知んぬ、これ前後相違の前後にして華厳の前後には非ざることを。意に云く、若し前経あらば華厳は後経なるべし。既に前経なき故に華厳も後経に非ざるなり。これ法華に望む故にこの言あるなりと云云。 一 大集経乃至二乗を弾呵せんがために等文。 これ宗祖の発明にして、諸家の学者の知る所に非ざるなり。 当体義抄に「菩薩処処得入と釈すれども二乗を斥うの時一往得入の名を与うるなり」といえるも即ちこの例なり。 一 十方に浄土をとき等文。 二乗弾呵には即ち二意を含むなり。謂く、一には土に約す。謂く、十方に浄土を説いて凡夫・菩薩をして欣募せしめ、二乗の人を煩わす。即ちこれ弾呵なり。二には仏に約す。謂く、十方に仏を明かし、小乗の十方唯有一仏の想を破る。またこれ弾呵なり。啓蒙の中に一意と為すは却って穏やかならざるか。健抄の二義は少しく濫にするに似たり云云。 一 或は十方に仏現じ等文。 この下は六箇の「或」の字あり。初めの二は即ちこれ華厳。第三は上にこれを出さざるも、経文に准ずるに即ち華厳・般若に当るなり。文八・三十九に云く「華厳も亦十方の仏の同じく華厳を説くことを説く。大品も亦千仏の同じく般若を説くと云う」等云云。第四は即ちこれ大集経なり。第五は般若の舌相なり。第六は弥陀経なり。 一 諸仏の舌をいだす・よしをとかせ給う文。 これ弥陀経の証誠は会座の大衆の見聞に非ざることを顕すなり。学者応に知るべし。 問う、選択伝弘五・三十に云く「問う、夫れ誠証とは此の衆をして他仏の証を聞いて信心を発起せしめんが為に、本国に於て誠実の語を説く。証誠するに足らず。答う、群疑論二に云く、不虚誑の舌相を現じて誠諦の真言を発し、衆生をして相を観、言を聴き、疑を除き、信を生ぜしむと已上。此の会衆既に舌相を見、言説を聞くを許す、故に証誠の義を成ずるなり」と已上伝弘。この義如何。 答う、弥陀経四紙一巻の中に都て相を観、言を聴くの事なし。何ぞ懐感の推度を用いんや。今、文を引いてこれを示さん。弥陀経に云く「舎利弗、我今、阿弥陀仏の不可思議の功徳を讃歎するが如く、東方にも亦阿閦鞞仏・須弥相仏等の恒河沙数の諸仏有って、各其の国に於て広長舌相を出し、遍く三千大千世界を覆って誠実の言を説く。汝等衆生、当に是の不可思議の功徳を称讃し、一切諸仏の護念する所の経を信ずべし。南西北方の三の下も亦爾なり」云云。今経文を見るに、但釈尊の説のみにしてこの会の見聞に非ざること、宛も白日の如し。故に聞持記に云く「蓋し諸仏各各国に於て釈迦を称讃すと雖も、此の土の衆生に知る者有ること無し」と云云。 一 此ひとえに諸小乗経等文。 問う、正しく十方唯有一仏を破す。応に方等・般若の時に在るべし。何ぞ華厳を挙ぐるや。 答う、通じて始終を談ずるか。 一 前後の諸大乗経等文。 「前」とは即ち四十余年の諸経、「後」とは即ち八年の法華経なり。法華経の前後と謂うに非ず、これ則ち前後相違の前後なるのみ。若し爾らずんば何ぞ後の涅槃経に望んで「将に魔の仏と作るに非ずや」の想を生ぜんや。 一 而るを華厳・法相等文。 この下は三に権実雑乱を破するなり。
by johsei1129
| 2015-05-23 15:20
| 日寛上人 御書文段
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