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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 05月 15日

開目抄愚記 上十

第十段 権迹(ごんしゃく)相対して判ず


一 (ここ)()愚見を等

  この下は大意に(じゅん)ずれば(すなわ)(ただ)これ権迹相対、迹門真実なり。()しその文を(わか)たばこの下は難信を以て真実を(あらわ)す文なり。(わか)ちて三と()す。初めに(ひょう)、次に「法華」の下は(しゃく)、三に「されば法相(ほっそう)宗」の下は(びゅう)()を挙げて難信を結す云云。

一 二乗(にじょう)作仏(さぶつ)久遠(くおん)(じつ)(じょう )

 此に至って標章なり。(おのずか)ら二義を標す云云。天台(てんだい)大師の文八・十五に云く「二門(ことごと)く昔と反すれば信じ難く、()し難し。(ほこさき)に当るの難事なり」と云云。

 蓮祖、本尊抄八・三に云く「其の教門の難信難解とは一仏の所説に(おい)()(ぜん)の諸経には二乗闡提(せんだい)・未来に永く成仏せず、教主釈尊始めて正覚を成じ、法華経迹本二門の来至(らいし)し給い彼の二説を(やぶ)る、一仏二言水火なり誰人(だれびと)(これ)を信ぜん」等云云。
 (まさ)に知るべし、難信難解とは(もと)法師(ほっし)・宝塔の二文に出でたり。

 故に本尊抄八・十二に云く「経に云く『()(こん)(とう)(せつ)最も()れ信じ難く解し難し』と。次下の『六難()()(これ)なり」(取意)と云云。

 これ(すなわ)ち三説超過(ちょうか)の一箇の難信難解を開して六難と立て、三説の諸経の易信易解を開して九易と立つるなり。故に知んぬ、法師・宝塔の二文は、(ただ)これ開合の異なることを。故に、(ただ)法華経を指して難信難解と名づくるなり。序品の二聖問答の時、文殊(もんじゅ)四答を(かま)うる中の第二の略曽(りゃくぞう)(けん)(とう)の下に云く「一切世間の難信の法」と云云。これもまた法華を指すなり。安楽行品に()()に約す時「此の難信の(たま)、久遠の髻中(けいちゅう)」と云云。法体(ほったい)に約す時「一切世間に(あだ)多くして信じ難し」と云云。並びに法華を指すなり。

  問う、(なん)ぞ法華を以て難信難解と名づくるや。

  答う、竜樹(りゅうじゅ)菩薩の大論一百・十七に云く「(たと)えば大薬師の()く毒を以て薬と為すが如し」等云云。天台大師云く「二門(ことごと)く昔と反すれば信じ難く、()し難し」等云云。宗祖云く「一仏二言水火なり誰人か(これ)を信ぜん」等云云。伝教大師の秀句下八に云く「この法華経は最も()れ難信難解なり。(ずい)自意(じい)の故に」と文。

  随自意とは、若し(けん)()愚子(ぐし)の意に随うが如きはこれ(ずい)他意(たい)なり。故に下地(げじ)(いえど)も、信じ易く解し易し。若し愚子の賢父の意に随うが如きはこれ随自意なり。故に下地に於て信じ難く解し難きなり云云。これ宗祖の(たとえ)の意なり。

  問う、難信難解の法門は但法華に限るや。(はた)一代に通ずるや。

  答う、法華に限るなり。(しか)りと(いえど)も、(およ)そ一義を(しょう)するに皆一代を(きわ)む。その始末(しまつ)の故に(あるい)は一代に通じてこれを(しゃく)し、以て法華の難信難解を(あらわ)すなり。 

  故に難信難解抄十七・三十五に云く「日蓮読んで云く外道の経は()(しん)易解・小乗経は難信難解・小乗経は易信易解・大日経等は難信難解・大日経等は易信易解・般若(はんにゃ)経は難信難解なり・般若と華厳(けごん)と・華厳と涅槃(ねはん)と・涅槃と法華と・迹門と本門と・重重の難易あり」等云云。

  問う、()(しか)らば蓮師の意は(きわ)めてこれを論ずれば、(ただ)本門を以て難信難解と為すや。

  答う、実に所問の如し。故に本尊抄八・十九に云く「又迹門並びに(ぜん)四味(しみ)・無量義経・涅槃経等の三説は(ことごと)く随他意の易信易解・本門は三説の外の難信難解・随自意なり」と云云。

  問う、重々の難易を知って(いか)なる(せん)ありや。

  答う、(ぶつ)()に随順して以て宗旨を立て、深法を信行して仏果を()すること等、この法門に過ぎざる故なり。

  秀句(しゅうく)下二十四に云く「浅きは(やす)く深きは難しとは、釈迦の所判(しょはん)なり。浅きを去って深きに()くは丈夫(じょうぶ)の心なり。天台大師は釈迦に信順して法華宗を助く」等云云。

  難信難解抄に云く「生死(しょうじ)長夜(ちょうや)を照す大燈(だいとう)元品(がんぽん)無明(むみょう)を切る利剣は此の法門に()ぎざるか」等云云。まさに知るべし、今二乗にじょう作仏さぶつというはこれ迹門の難信を標し、久遠くおんじつじょうというはこれ本門の難信を標するなり。


つづく


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by johsei1129 | 2015-05-15 22:17 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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