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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 11月 10日

法華経はよきつるぎなれども使う人によりて物をきり候か、と説いた【石虎将軍御書】

【四条金吾殿御返事(石虎将軍御書)】
■出筆時期:弘安元年(1278)十月二十二日 五十七歳御作
■出筆場所:身延山中 草案にて。
■出筆の経緯:本書は四条金吾が身延の草庵に見参し、病状の大聖人を見舞った後に送られたご消息文です。                                            
 この時金吾は一年半前に蒙った主君江間氏の御勘気が解け、所領も再度賜るなど一時の苦境を乗り越えていた。
大聖人はこのことについて、江間氏の同僚の家来たちが金吾を妬み、亡き者にしようと金吾を狙うことを、わが子のように心配されている。
その思いは、金吾が身延の草庵から鎌倉に無事帰ったか、身延に来る人ごとに金吾の安否を尋ねたことを記した本書でもよく伺える。
当時の僧侶の習いで生涯独り身を貫いた大聖人にとって、弟子、信徒に対しては厳しい師匠でもあり、一面では我が子同然の慈愛を持っていたことがよくわかる御書となっている。             
                                
■ご真筆: 現存していない。

[四条金吾殿御返事(石虎将軍御書) 本文]

今月二十二日・信濃より贈られ候いし物の日記・銭三貫文・白米能米俵一(ひとつ)・餅五十枚・酒大筒一・小筒一・串柿五把・柘榴十。
 夫れ王は民を食とし民は王を食とす衣は寒温をふせぎ食は身命をたすく、譬ば油の火を継ぎ水の魚を助くるが如し。鳥は人の害せん事を恐れて木末(こずえ)に巣くふ、然れども食のために地にを(下)りてわな(羂)にかかる。魚は淵(ふち)の底に住みて浅き事を悲しみて穴を水の底に掘りてすめども、餌(え)にばかされて鉤(はり)をのむ。

 飲食と衣薬とに過ぎたる人の宝や候べき。而るに日蓮は他人にことなる上、山林の栖・就中(なかんずく)今年は疫癘飢渇(えきれい・けかち)に春夏は過越(すご)し秋冬は又前にも過ぎたり。
又身に当りて所労大事になりて候つるを、かたがたの御薬と申し小袖、彼のしなじなの御治法にやうやう験(しる)し候て今所労平愈し、本よりもいさぎよくなりて候。

弥勒菩薩の瑜伽論、竜樹菩薩の大論を見候へば、定業の者は薬変じて毒となる。法華経は毒変じて薬となると見えて候。
日蓮不肖の身に法華経を弘めんとし候へば、天魔競ひて食をうばはんとするかと思いて歎かず候いつるに、今度の命たすかり候は偏に釈迦仏の貴辺の身に入り替らせ給いて御たすけ候か。

是はさてをきぬ、今度の御返りは神(たましい)を失いて歎き候いつるに、事故なく鎌倉に御帰り候事悦びいくそばくぞ。余りの覚束(おぼつか)なさに鎌倉より来る者ごとに問い候いつれば、或人は湯本にて行き合せ給うと云い、或人はこうづ(国府津)にと或人は鎌倉にと申し候いしにこそ心落居(おちい)て候へ。是より後はおぼろげならずば御渡りあるべからず。大事の御事候はば御使にて承わり候べし。返す返す今度の道はあまりにおぼつかなく候いつるなり。

敵と申す者はわす(忘)れさせてねら(狙)ふものなり。是より後に若(もし)やの御旅には御馬をおしましませ給ふべからず。よき馬にのらせ給へ。又供の者ども、せん(詮)にあひぬべからんもの又どうまろ(胴丸)もちあげぬべからん・御馬にのり給うべし。

 摩訶止観第八に云く、弘決(ぐけつ)第八に云く「必ず心の固きに仮つて神の守り則ち強し」云云。神の護ると申すも人の心つよきによるとみえて候。法華経はよきつるぎ(剣)なれども、つかう人によりて物をきり候か。
 されば末法に此の経をひろめん人人、舎利弗と迦葉と観音と妙音と文殊と薬王と此等程の人やは候べき。二乗は見思を断じて六道を出でて候、菩薩は四十一品の無明を断じて十四夜の月の如し。
然れども此等の人人にはゆづり給はずして地涌の菩薩に譲り給へり。されば能く能く心をきた(鍛)はせ給うにや。
李広将軍と申せしつはものは虎に母を食(くわ)れて虎に似たる石を射しかば其の矢羽(や・はね)ぶくらまでせめぬ。後に石と見ては立つ事なし。後には石虎将軍と申しき。
貴辺も又かくのごとく、敵はねらふらめども法華経の御信心強盛なれば大難もかねて消え候か。是につけても能く能く御信心あるべし、委く紙には尽しがたし、恐恐謹言。

弘安元年戊寅後十月二十二日                   日 蓮 花押
四条左衛門殿御返事

by johsei1129 | 2019-11-10 09:41 | 四条金吾・日眼女 | Trackback | Comments(0)
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