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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 03月 28日

立正安国論愚記 九

一、(しゃ)(りゃく)(せき)を雨らす
「礫」はさざれ石なり。
一、黒風・赤風(しゃくふう)
 風、黒沙を()く等なり。実には大風なることを顕すなり。(ただ)是れ天に吹き地に吹き火に吹き、水に吹く等なるべし。
一、四方の賊来って等

 上は他国侵逼(しんぴつ)、下は自界(じかい)反逆(ほんぎゃく)なり。
一、火賊・水賊等。
 大火・大水・大風の便(たより)(うかが)う賊なり。「鬼賊」とは或は忽然(こつねん)として人失等あり。和国の天狗(てんぐ)等の所作の如きか。
一、大集経に云く。
 二十五 十四紙に出でたり。これ肝要の文なり。
一、一には(こっ)(
 「貴」の字は(ただち)「たかし」とよむなり。前漢書(ぜんかんじょ)九十九下・十六に云く「(もう)天下の(こく)(たか)きを以て之を(おそ)わんと欲す」と云云。また「香を()いで貴賎を知る」の如し。
一、二には(ひょう)(かく)

 「兵」は剣の器なり。故に兵の字は器財門に入るべし。然るに聚分(しゅうぶん)(いん)略に入れざる故に唐人不審(ふしん)すと云い伝えたり。「革」は「つくりかわ」とよむなり。蚩尤(しゆう)(よろい)を作る時、革を以てこれを作るなり。故に具足(ぐそく)総名(そうみょう)なり。後に金を以て作る、故に金篇(かねへん)なり。
一、常に隣国の(しんにょう)せらる所。
 点の如し。「嬈」は聚分韻略に「戯弄(ぎろう)なり」と云云。
一、内外(ないげ)親戚(しんせき)
 一義に云く、父の親類を内親といい、母の親類を外戚(がいせき)というなり。
一、()主・将帥(柱すい)
 毛氏曰く「(およ)そ兵を(つかさど)る者を称して将帥と為す。則ち去声(きょしょう)」云云。
一、()れ四経の文(あきら)かなり

 問う、既に未顕真実という、何ぞ(また)()(ぜん)を引用せんや。

答う、略して四意あり。

一には、爾前はこれ法華の為の網目(もうもく)なる故に。観心本尊得意抄三十九・二十九に云く「所詮(しょせん)成仏の大綱を法華に之を説き、其の余の網目は衆典に之を明かす、法華の為の網目なるが故に法華の証文に之を引用す可きなり」文。(せん)の十に云く「唯大綱を存して網目を事とせず」と云云。記の九末三十九に云く「円教の行理は骨目(こつもく)にして(おの)ずから成ず。皮膚(ひふ)毛綵(もうさい)は衆典に出在せり」文。

二には、文は爾前に在るも義は法華に在るが故に。得意抄に云く「其の上法華経にて実義有る可きを爾前の経にして名字(ばか)(のの)しる(こと)全く法華の為なり、(しか)(あいだ)(もっと)も法華の証文と為すべし」文。経に云く「種種(しゅじゅ)の道を示すと雖も、其れ実には仏乗の為なり」云云。記の三上八に云く「故に外小(げしょう)権迹(ごんしゃく)を内大の実本(じっぽん)に望むるに、並びに名のみ有って義無きなり。故に仏迦葉(かしょう)(しりぞ)けて、(なんじ)(ただ)涅槃の名のみを聞いて未だ其の義を聞かず」と文。涅槃経十九徳王品云云。

三には、爾前の劣を以て法華の勝を(きょう)する故に。四条金吾抄二十八・十六に云く「(まさ)に知るべし日月天の()天下(てんげ)をめぐり給うは仏法の力なり・彼の(こん)(こう)(みょう)(きょう)最勝(さいしょう)(おう)(きょう)は法華経の方便なり。勝劣を論ずれば乳と醍醐と金と宝珠との如し、劣なる経を()しましまして(なお)四天下をめぐり給う、何に況や法華経の醍醐(だいご)甘味(かんみ)(なめ)させ給はんをや」と文。

 四には、爾前の文を借りて法華の義を顕すが故に。十章抄三十二・二十八に云く「止観一部は法華経の開会(かいえ)の上に建立せる文なり、爾前の経経をひき乃至外典(げてん)を用いて候も爾前・外典の心にはあらず、文をば()れども義をば(けず)捨てたるなり」と文。成論(じょうろん)の二如来、阿含の四処(ししょ)起塔(きとう)等、これを思い合すべし。並びに開会の後に文を借り、義を顕すなり云云。
一、諸仏・衆経に於て捨離(しゃり)の心を生じて

 書二十三・五十八に云く「日本国中の上下万民、深く法然を信じ此の書を仰ぐ。故に捨閉(しゃへい)閣抛(かくほう)の四字を見て、彼の仏経等に於て(かえ)って捨離の心を生ず」等云云。
一、善神聖人(しょうにん)国を捨て所を去る

 この論は正しく法然に対す。故に諸仏・衆経に於て捨離の心を生ず、故に神聖(じんしょう)捨て去ると云云。若しその元意は、釈尊・法華経に於て捨離の心を生ずるが故に神聖捨て去るなり。(なお)その元意は、本因(ほんにん)(みょう)の釈尊・下種の法華経に(おい)て捨離の心を生ず、故に神聖捨て去るなり云云。


               つづく


by johsei1129 | 2015-03-28 11:08 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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