人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日蓮大聖人『御書』解説

nichirengs.exblog.jp
ブログトップ
2015年 03月 20日

立正安国論愚記 七

一、(あく)(しゅ)増長(ぞうちょう)
 これはこれ四悪趣なり。「生死の河に()つ」とは、上の六凡を以て通じて生死と為し、四聖の用を以て涅槃と為すなり。性抄(しょうしょう)分明(ふんみょう)ならざるに似たり云云。
一、()くの如き()を見て
 性抄に云く「即ち正法の流を失うの事なり」と云云。この義、未だ(うま)からず。
 今(いわ)く、但これ「未だ(かつ)流布(るふ)せしめず」等の事なり。已下は神聖捨去(しゃこ)の正引なり。
一、擁護(おうご)の心無けん
 持経者に於てまた両向あり。開目抄の意は、謗法の世をば守護神()て去る、故に正法の行者に(しるし)なし等云云。八幡抄の意は、その国を捨去すと雖も、若し正法の行者あれば即ち其の(いただき)に宿る等云云。これ共業(ぐごう)別感(べっかん)に由る故なり。
一、当に種種の災禍(さいか)有って等
 「当」の字は「国位」に(かん)すべし。性抄は但「災禍」のみに冠するなり。
一、彗星(すいせい)(しばしば)出で
 「彗」は(ほうき)(だけ)なり。これ大火兵乱の(あく)(ずい)なり。左伝二十三・二十二に云く「申須(しんしゅ)云く、彗は旧を除き新を()所以(ゆえん)なり。諸侯其れ火災あらんか」と文。史記百十八・七に云く「建元(けんげん)六年彗星見ゆ。(わい)南王(なんおう)心に(あや)しむ。或る(ひと)王に説いて云く、()(いくさ)起る、彗星出でて長きこと数尺、然るに(なお)血を流すこと千里、今彗星の長きこと天に(わた)る、天下に兵(まさ)に大に起るべし」と云云。(また)大論二・四に「仏の涅槃の時、彗星昼に出ず」と云云。
一、両日並び現じ
 (ぎょう)の時、十の日並び現ずること註の如し。劫末に七の日現るること涅槃経の如し云云。文永五年五月八日、両の日出ず。同六年二月十一日、三の月(日)並び出ず。その後、百三代()花園(はなぞの)御宇(ぎょう)長禄(ちょうろく)二年、同三年、続けて両の日出ず云云。(かん)(しょう)三年、三の日並び出で、同四年正月(さく)(じつ)には三の日並び出ず云云。
一、薄蝕(はくしょく)(つね)無く
 従義に云く「体現じて光なきを薄と為し、正()けて体を損ずるを蝕と為す」と云云。晦朔(かいさく)の日蝕、(ぼう)(じつ)の月蝕はこれ恒なり。臨時の食あり、これ恒なきなり。
一、黒白(こくびゃく)()(こう)文。
釈名に云く「純陽、陰を攻むるの気なり」と云云。並びに註中の如し。啓蒙に云云。朝抄の「(ひきがえる)の気とは、未だ本拠を(かんが)えず」と。啓蒙の中に種々の事あり、往いて見よ。
一、井の内に声を(おこ)

啓蒙の一義に云く「地動に由り水声を発す」と云云。この義、(うま)からず云云。

七月二十四日

一、大集経に云く等

 (ごん)抄に云く「月蔵(がつぞう)分第二、建立寺塔品の文」とは不可なり。月蔵経並びに十法滅尽品二十七紙の文なり。
一、(しゅ)(ほつ)(そう)皆長く

 元照の発真抄上末二十六に云く「()鬚爪髪(ことごと)(みな)長利なるは法滅の相なり」と文。律の中に明かす「(ひと)(あら)(むぎ)(いた)るならば則ち之を剃除(ていじょ)せよ」と。元照云く「爪極めて長くも一麦にして当に()るべし」と云云。若し鬚髪爪長くば、これ沙門の常儀に(たが)いて外道に似る、故にこれ法滅の相なり。健抄に「還俗(げんぞく)の義」というは不可なり。

問う、この三の表示如何。

答う、一義に云く、これ三惑増長を表す。髪はこれ見思(けんじ)、鬚はこれ塵沙(じんじゃ)、爪はこれ無明(むみょう)。真言には、これを三妄執(もうしゅう)と謂う。謂く、()妄執・(さい)妄執・()妄執と云云。今謂く、若し当文()らば、恐らくは三毒増長を表するか。髪は以て(とん)を表し、見て愛を生ずるが故に。爪はこれ(じん)を表し、堅利なるを以ての故に。鬚はまた()を表す。要覧上に云く「其の好形(こうぎょう)(こぼ)ち、鬚髪を(てい)(じょ)す。過去に諸仏、即ち発願(ほつがん)して云く、今落髪す、故に願わくは一切衆生と煩悩を断除せんと。今此の鬚髪を彼の煩悩に(たと)う」等云云文。今下の経文に云く「(とん)(じん)()倍増」等云云。これを思え。
一、大なる声あって地を(ふる)

註に云く「天雷()に徹して其の()転ずること(なお)水車の如し」と云云。健抄に云く「昔、天狗(てんぐ)流星という者、響き(わた)りて有りけり」と云云。弘の五の中・三に、「天狗流行(るぎょう)し地(しばしば)振動す」と文。健抄の意はこの文に依るか。この義、大旨に(こた)うるなり。

                     

                      つづく


立正安国論愚記 目次



by johsei1129 | 2015-03-20 22:09 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


<< Gosho 御義口伝下 Ora...      Gosho 御義口伝下 Ora... >>