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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 09月 23日

仏になる道は、必ず身命をすつるほどの事ありてこそ仏にはなり候らめ、と説いた【佐渡御勘気抄】

【佐渡御勘気抄】
■出筆時期:文永八年(西暦1271年)十月初旬 五十歳 御作。
■出筆場所:相模依智、本間重連の屋敷にて。
■出筆の経緯:本書述作の前月、九月十二日に日蓮大聖人は竜の口で処刑されるという生涯最大の難に遭われている。光り物(巨大な隕石と思われる)の出現で処刑できなかった結果、大聖人は一ヶ月ほど相模依智の本間重連(佐渡守護代)の屋敷に預かりの身となる。
 本書は佐渡に出立した十月十日の直前に、幼少時代に修行した清澄寺の兄弟子、浄顕房・義浄房に、佐渡流罪となり、十月十日に佐渡に向け出立することを伝えたご消息文となります。大聖人は浄顕房・義浄房に「身命をすつるほどの事ありてこそ仏にはなり候らめ」と説き、さらに「法華経の御故に捨てまいらせん事、あに石に金をかふるにあらずや。各各なげかせ給うべからず」と諭しておられる。[英語版]
■ご真筆: 現存していない。

[佐渡御勘気抄 本文]   

 九月十二日に御勘気を蒙(こうむり)て、今年十月十日佐渡の国へまかり候なり。本より学文し候し事は仏教をきはめて仏になり、恩ある人をもたすけんと思ふ。仏になる道は必ず身命をすつるほどの事ありてこそ・仏にはなり候らめと・をしはからる。既に経文のごとく悪口(あっく)・罵詈(めり)・刀杖(とうじょう)・瓦礫(がりゃく)・数数見擯出(さくさくけんひんずい)と説かれて・かかるめに値い候こそ法華経をよむにて候らめと、いよいよ信心もおこり後生(ごしょう)もたのもしく候。死して候はば・必ず各各をもたすけたてまつるべし。
 天竺(てんじく)に師子尊者と申せし人は檀弥羅(だんみら)王に頚(くび)をはねられ、提婆(だいば)菩薩は外道(げどう)につきころさる。漢土に竺の道生(どうしょう)と申せし人は蘇山(そざん)と申す所へながさる。法道三蔵は面にかなやき(火印)をやかれて江南と申す所へながされき。是れ皆法華経のとく(徳)・仏法のゆへなり。

 日蓮は日本国・東夷(とうい)・東条・安房の国、海辺の旃陀羅(せんだら)が子なり。いたづらに・く(朽)ちん身を、法華経の御故に捨てまいらせん事、あに石に金(こがね)をかふるにあらずや各各なげかせ給うべからず。道善の御房にもかう申しきかせまいらせ給うべし。領家(りょうけ)の尼御前へも御ふみと存じ候へども、先(まず)かかる身のふみなれば、なつかしやと・おぼさざるらんと申しぬると、便宜(びんぎ)あらば各各御物語り申させ給い候へ。

 十月 日          日  蓮  花押




by johsei1129 | 2019-09-23 19:09 | 弟子・信徒その他への消息 | Trackback | Comments(0)


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