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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 02月 02日

過去久遠五百塵点のそのかみ唯我一人の教主釈尊とは我等衆生の事なりと説いた【船守弥三郎許御書】

【船守弥三郎許御書】
■出筆時期:弘長元年(西暦1261年) 六月二十七日 四十歳御作 
■出筆場所:伊豆伊東・川奈の地頭伊東八郎左衛門邸にて
■出筆の経緯:船守弥三郎は伊豆流罪となり伊東のかわなの海岸に打ち捨てられた大聖人を自宅まで運び30日余りも世話をした漁師。その後夫婦で大聖人に帰依した。本書は伊東の地頭伊東八郎左衛門の屋敷に移送されてから船守弥三郎が内々にご供養の品々を送られた事に対する返書となっている。大聖人は九j死に一生を得たといっても過言ではない船守弥三郎夫妻の働きに対し「夫婦二人は教主大覚世尊の生れかわり給いて日蓮をたすけ給うか」と称えられておられます。
■ご真筆: 現存していない。

 わざと使を以てちまきさけほしひさんせうかみしなじな給候い畢んぬ。又つかひ申され候は御かくさせ給へと申し上げ候へと日蓮心得申べく候。日蓮去る五月十二日流罪の時その津につきて候しに、いまだ名をもききをよびまいらせず候ところに・船よりあがりくるしみ候いきところに・ねんごろにあたらせ給い候し事は、いかなる宿習なるらん。過去に法華経の行者にて・わたらせ給へるが今末法にふなもりの弥三郎と生れかわりて日蓮をあわれみ給うか。たとひ男は・さもあるべきに女房の身として食をあたへ洗足てうづ其の外さも事ねんごろなる事、日蓮はしらず不思議とも申すばかりなし。ことに三十日あまりありて内心に法華経を信じ日蓮を供養し給う事、いかなる事のよしなるや。かかる地頭・万民・日蓮をにくみねだむ事・鎌倉よりもすぎたり。みるものは目をひき・きく人はあだむ。ことに五月のころなれば米もとぼしかるらんに日蓮を内内にて・はぐくみ給いしことは、日蓮が父母の伊豆の伊東かわなと云うところに生れかわり給うか。

 法華経第四に云く「及清信士女供養於法師」と云云。法華経を行ぜん者をば諸天善神等或はをとことなり或は女となり形をかへさまざまに供養してたすくべしと云う経文なり。弥三郎殿夫婦の士女と生れて日蓮法師を供養する事疑なし。
さきにまいらせし文につぶさにかきて候し間、今はくはしからず。ことに当地頭の病悩について祈せい申すべきよし仰せ候し間、案にあつかひて候。然れども一分信仰の心を日蓮に出し給へば法華経へそせうとこそをもひ候へ。此の時は十羅刹女もいかでか力をあわせ給はざるべきと思い候いて・法華経・釈迦・多宝・十方の諸仏並に天照・八幡・大小の神祇等に申して候。定めて評議ありてぞ・しるしをばあらはし給はん。よも日蓮をば捨てさせ給はじ。いたきとかゆきとの如くあてがわせ給はんと・をもひ候いしに、ついに病悩なをり、海中いろくづの中より出現の仏体を日蓮にたまわる事・此れ病悩のゆへなり。さだめて十羅刹女のせめなり、此の功徳も夫婦二人の功徳となるべし。我等衆生無始よりこのかた生死海の中にありしが、法華経の行者となりて無始色心・本是理性・妙境妙智・金剛不滅の仏身とならん事、あにかの仏にかわるべきや。過去久遠五百塵点のそのかみ唯、我一人の教主釈尊とは我等衆生の事なり。法華経の一念三千の法門・常住此説法のふるまいなり。かかるたうとき法華経と釈尊にてをはせども凡夫はしる事なし。

 寿量品に云く「顛倒の衆生をして近しと雖も而も見えざらしむ」とはこれなり。迷悟の不同は沙羅の四見の如し、一念三千の仏と申すは法界の成仏と云う事にて候ぞ。
雪山童子のまへにきたりし鬼神は帝釈の変作なり。尸毘王の所へにげ入りし鳩は昆首羯摩天ぞかし。班足王の城へ入りし普明王は教主釈尊にてまします。肉眼はしらず仏眼は此れをみる、虚空と大海とには魚鳥の飛行するあとあり、此等は経文にみえたり。木像即金色なり金色即木像なり、あぬるだが金はうさぎとなり死人となる。釈摩男がたなごころにはいさごも金となる。此等は思議すべからず。凡夫即仏なり・仏即凡夫なり、一念三千我実成仏これなり。

 しからば夫婦二人は教主大覚世尊の生れかわり給いて日蓮をたすけ給うか。伊東とかわなのみちのほどはちかく候へども、心はとをし・後のためにふみをまいらせ候ぞ。人にかたらずして心得させ給へ・すこしも人しるならば御ためあしかりぬべし。むねのうちにをきてかたり給う事なかれ・あなかしこ・あなかしこ。南無妙法蓮華経。

弘長元年六月二十七日   日  蓮  花押
船守弥三郎殿許へ之を遣わす




by johsei1129 | 2015-02-02 18:58 | 弟子・信徒その他への消息 | Trackback | Comments(0)


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