当家三衣抄
日寛謹んで之を記す
夫れ法衣とは法に応じて作る故に法衣と云うなり。
法衣に三有り、一には僧伽梨即ち大衣なり、二には鬱多羅僧即ち七条なり、三には安陀会即ち五条なり。此れを三衣と名づくるなり。
色に亦三有り、謂わく、青・黒・木蘭なり。抄に云わく「青は謂わく銅青、黒は謂わく雑泥、木蘭は即ち樹の皮、是れを壊色と名づくるなり。此れは青・赤・白・黒・黄の五正及び緋・紅・紫・緑・留黄の五間を離るるが故なり」と。諸文広博なり、是の故に之を略す。
問う、一致勝劣宛も雲泥の如し、流々の所伝亦天地に分かる。然りと雖も其の法衣に及んでは更に異なり有ること無く全く是れ同じきなり。所謂紫衣・香衣、綾羅錦繍の七条・九条等なり。唯当流の法衣のみ薄墨の素絹五条にして永く諸門流に異なり、其の謂われ聞くことを得可けんや。
答う、其の謂われ一に非ず、所表甚だ多し。今三門に約して略して之を示す可し。所謂道理、引証、料簡なり。
註解
〇留黄 留の字は正確には石篇に留と書く。印字不能のため「留」とした。
○綾羅錦繡 綾羅はあやぎぬとうすぎぬの意。錦繡はにしきとぬいとりの意。
素絹五条は是れ末法折伏の行に宜しき故なりにつづく
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