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日蓮大聖人『御書』解説

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2014年 12月 19日

御本尊は「日蓮がたましひをすみにそめながしてかきて候ぞ」と説いた【経王殿御返事】

【経王殿御返事】
■出筆時期:文永十年(西暦1273年)八月十五日 五十二歳御作
■出筆場所:佐渡ヶ島一の谷、一谷入道邸にて。
■出筆の経緯:本書の宛名は強信徒の四条金吾夫妻の幼女「経王御前」となっている。四条金吾及び妻の日眼女が佐渡流罪中の大聖人にご供養の金銭を送られるとともに、幼子の経王御前の病気について報告したのに対して答えせられている返書となっている。大聖人は佐渡で始めてご本尊をご図現なされたが、大聖人最大の難・竜の口で断首されようとした時、運命を共にした四条金吾の一途な信心に答え、早速ご本尊をご下付している。本書ではその御本尊の相貌の意味を説くとともに、この御本尊は「日蓮がたましひを・すみにそめながして・かきて候ぞ」と記し、御本尊の意義について解きあかされている、貴重且つ極めて重要なご消息文となっている。
■ご真筆: 現存していない。

[経王殿御返事 本文] 

 其の後・御をとづれ・きかまほしく候いつるところに・わざと人を・をくり給び候。又何よりも重宝たるあし(銭)、山海を尋ぬるとも日蓮が身には時に当りて大切に候。
 夫について経王御前の事、二六時中に日月天に祈り申し候。先日のまほり(守)・暫時(ざんじ)も身をはなさず・たもち給へ。
 
 其の本尊は正法・像法二時には習へる人だにもなし、ましてかき顕し奉る事たえたり。師子王は前三後一と申して・ありの子を取らんとするにも、又たけきものを取らんとする時も、いきをひを出す事はただをなじき事なり。日蓮守護たる処の御本尊をしたため参らせ候事も師子王に・をとるべからず。経に云く「師子奮迅之力」とは是なり。

 又此の曼荼羅能く能く信ぜさせ給うべし。南無妙法蓮華経は師子吼の如し、いかなる病さはりをなすべきや。鬼子母神・十羅刹女・法華経の題目を持つものを守護すべしと見えたり。さいはいは愛染(あいぜん)の如く、福は毘沙門(びしゃもん)の如くなるべし。いかなる処にて遊びたはふるとも・つつがあるべからず。遊行して畏れ無きこと師子王の如くなるべし。十羅刹女の中にも皐諦女(こうだいにょ)の守護ふかかるべきなり。
 但し御信心によるべし。つるぎなんども・すすまざる人のためには用ふる事なし。法華経の剣は信心のけなげなる人こそ用ふる事なれ。鬼にかなぼうたるべし。
 日蓮がたましひを・すみにそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ。仏の御意(みこころ)は法華経なり、日蓮がたましひは南無妙法蓮華経にすぎたるはなし。妙楽云く「顕本遠寿を以て其の命と為す」と釈し給う。

 経王御前には・わざはひも転じて幸ひとなるべし。あひかまへて御信心を出だし此の御本尊に祈念せしめ給へ。何事か成就せざるべき。「充満其願(じゅうまん・ごがん)・如清涼池(にょ・しょうりょうち)」「現世安穏・後生善処」疑ひなからん。
 又申し候当国の大難ゆり候はば、いそぎ・いそぎ鎌倉へ上り見参いたすべし。法華経の功力を思ひやり候へば不老不死・目前にあり、ただ歎く所は露命計りなり。天たすけ給へと強盛に申し候。浄徳夫人・竜女の跡をつがせ給へ。南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経。あなかしこ・あなかしこ。

 八月十五日          日 蓮 花 押

 経王御前御返事




by johsei1129 | 2014-12-19 18:32 | 四条金吾・日眼女 | Trackback | Comments(0)


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