2014年 12月 14日
問う、有るが謂わく、凡そ身延山は蓮祖自らの草創の地にして諸山に独歩せり、所以に諸抄の中に歎じて曰わく「天竺の霊鷲山にも劣らず、震旦の天台山にも勝れたり」云云。故に知んぬ、霊鷲山に似たらん最勝の地とは応に是れ身延山なるべし、如何。 答う、最勝の地を論ずるに事有り、義有り、謂わく、富山の最勝は即ち事に約するなり、身延山の最勝は是れ義に約するなり。然る所以は蓮祖大聖九年の間、一乗妙法を論談し摩訶止観を講演せるが故に霊山金仙洞にも劣らず、天台銀地の峰にも勝る、天台の所謂「法妙なるが故に即ち処尊し」とは是れなり。然るに正応元年の冬、興師離山の後、彼の山已に謗法の地と成りぬ、云うても余り有り、歎きても何かせん、彼の摩梨山の瓦礫の土と成り、栴檀林の荊棘と成りしにも過ぎたり云云。 問う、有るが謂わく、宗祖云く「教主釈尊の一大事の秘法を霊鷲山にして相伝し、日蓮が肉団の胸中に秘して隠し持てり、去れば日蓮が胸の間は諸仏入定の処なり、舌の上は転法輪の処、喉は誕生の処、口中は正覚の砌なり、斯かる不思議なる法華経の行者の住処なれば争でか霊山浄土に劣るべき」云云。今此の文に准ぜば延山は正しく是れ法身の四処なり、豈最勝の地に非ずや。 答う、教主釈尊の一大事の秘法とは結要付属の正体、蓮祖出世の本懐、三大秘法の随一、本門の本尊の御事なり。是れ則ち釈尊塵点劫より来心中深秘の大法の故に一大事の秘法と云うなり。然るに三大秘法の随一の本門戒壇の本尊は今富士の山下に在り、故に富士山は即ち法身の四処なり、是れ則ち法妙なるが故に人尊く、人尊きが故に処尊しとは是れなり。 問う、有るが謂わく、凡そ身延山は蓮師の正墓なり、故に波木井抄二十三に云く「何国にて死し候とも墓をば身延の山の沢に立てさすべく候」等云云。既に是れ御墓処なり、豈最勝の地に非ずや。 答う、汝等、法水の清濁を論ぜず、但御墓所の在無を論ず、是れ全身を軽んじて砕身を重んずるか、而るに彼の御身骨は正しく興師離山の日、之を富山の下に移し、今に伝えて之有り、塔中の水精輪に盛ること殆ど升余に満つるなり、而も開山上人御遺状有り謂わく「大石の寺は御堂と云い墓所と云い、日目之を管領す」等云云。既に戒壇の本尊を伝ふ、故に御堂と云う、又蓮祖の身骨を付するが故に墓所と云うなり、故に蓮祖の正墓は今富山に在るなり。 問う、有るが謂わく、宗祖の云く「未来際までも心は身延の山に住むべく候」云云。故に祖師の御心常に延山に在り、故に知んぬ、是れ最勝の地なるをや。 答う、延山は本是れ清浄の霊地なり、所以に蓮師に此の言有り、而るに宗祖滅度の後地頭の謗法重畳せり、興師諌暁すれども止めず、蓮祖の御心寧ろ謗法の処に住せんや、故に彼の山を去り遂に富山に移り倍先師の旧業を継ぎ更に一塵の汚れ有ること無し。而して後、法を日目に付し、日目亦日道に付す、今に至って四百余年の間一器の水を一器に移すが如し、清浄の法水断絶せしむること無し、蓮師の心月豈之に移らざらんや、是の故に御心、今は富山に住したもうなり。 問う、若し蓮祖の御心、地頭の謗法に依って彼の山に住したまわずといわば、天子将軍仍未だ帰依したまわざる故に一閻浮提皆是れ謗法なり、那ぞ彼を去って此こに移るべけんや。 答う、総じて之を言わば実に所問の如し、今別して之を論ぜば縁に順逆あり、故に逆を去って順に移るなり。 取要抄に云く「小大権実顕密倶に教のみ有って得道無し、一閻浮提皆謗法と成り畢んぬ、我が門弟は順縁なり、日本国は逆縁なり」云云。 四条抄に云く「去れば八幡大菩薩は不正直を悪みて天に登りたまえども、法華経の行者を見ては争でか其の影を惜しみたもうべき」云云。 此の文に准例して今の意を察せよ云云。
by johsei1129
| 2014-12-14 13:02
| 日寛上人 六巻抄
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