2014年 11月 22日
次に末法下種の主師親とは諸抄の中に其の文散在す云云。産湯相承に云く「日蓮は天上天下一切衆生の主君なり、父母なり、師匠なり。今久遠下種の寿量品に云く、今此三界乃至三世常恒に日蓮は今此三界の主なり」云云。 亦次に本因妙の教主とは血脈抄に云く「具騰本種正法実義本迹勝劣の正伝、本因妙の教主、本門の大師日蓮」云云。又云く「我が内証の寿量品とは脱益寿量の文底本因妙の事なり。其の教主は某なり」。 問うて言わく、教主とは応に釈尊に限るべし、何ぞ蓮祖を以て亦教主と称するや。 答う、釈尊は乃ち是れ熟脱の教主なり、蓮祖は即ち是れ下種の教主なり、故に本因妙の教主と名づくるなり。応に知るべし、三皇・五帝は儒教の主なり、無畏三蔵は真言の教主なり、天台大師は止観の教主なり、今吾が蓮祖を以て本因妙の教主と称するに何の不可有らんや。補註十二-十四に云く「且つ夫れ儒には乃ち三皇・五帝を以て教主と為す、尚書の序に云く、三皇の書之を三墳と謂い大道を言うなり、五帝の書之を五典と謂い常道を言うなり、此の墳典を以て天下を化す。仲尼・孟軻より下は但是れ儒教を伝うるの人なるのみ、尚教主に非ず、況や其の余をや云云。宋高僧伝の無畏伝に云く、開元の始め玄宗夢みらく、真僧と相見ゆ、丹青を御して之を写す、畏の此に至るに及んで夢と符号す、帝悦んで内道場を飾り尊んで教主と為す」と。釈書第一大概之に同じ。止観第一に云く「止観の明静なる前代に未だ聞かず、智者大隋の開皇十四年四月二十六日荊州玉泉寺に於て一夏に敷揚し二時に慈霪す」云云。弘の一上八に云く「止観の二字は正しく聞体を示し、明静の二字は体徳を歎ず。前代未聞とは能聞の人を明かし、智者の二字は即ち是れ教主なり。大隋等とは説教の時なり」云云。 亦次に大慈大悲とは開目抄上に云く「去れば日蓮は法華経の智解は天台・伝教には千分が一分も及ぶ事無けれども、難を忍び慈悲の勝れたる事は怖れをも懐きぬべし」等云云。報恩抄に云く「日蓮が慈悲広大ならば南無妙法蓮華経は万年の外未来までも流布すべし」云云。応に知るべし、大難を忍ぶことは偏に大慈大悲の故なり。註解 ○具騰本種とは、「具に本種を騰ぐ」と読む。騰は躍り上がるの意味。一切衆生の成仏の本因は久遠の下種にあること。法華文句記巻一上の文。釈迦仏法では衆生は法華経如来寿量品第十六の法門を聞いて得脱するものとされているが、脱は必ず本種に帰って脱するのであって、下種仏法では成道の本因をたずねてみれば寿量品の文底に南無妙法蓮華経という本種が蔵されており、この本種を覚知したが故に成仏したのであるとする。これを「雖脱在現、具騰本種」と称する。 ○丹青とは、赤と青。転じて絵の具をいう。玄宗は夢に善無畏三蔵と出会い、真言をあがめたが、安史の内乱をひきおこして亡国の原因を作っている。 「南無日蓮大聖人」の深旨を説き明かす につづく 六巻抄 目次
by johsei1129
| 2014-11-22 21:13
| 日寛上人 六巻抄
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