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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 10月 26日

正法をひろむる事は必ず智人によるべし、また檀那なくんば争か弘まるべき、と説いた【四条金吾殿御返事】

【四条金吾殿御返事(有智正法時)】
■出筆時期:建治二年九月六日(西暦1276年) 五十五歳 御作。
■出筆場所:身延山中 草庵にて。
■出筆の経緯:大聖人の檀那(世俗の信徒)の中で最も大聖人の信頼が厚かった鎌倉武士で医術にも長けていた四条金吾に宛てられた書。四条金吾へは「開目抄」はじめ相当数の御書が送られている。また大聖人が「竜の口」であわや断首されようとした時、殉死覚悟で大聖人のお供をした程の強信徒であった。本書では「正法をひろむる事は必ず智人によるべし<中略>設い正法を持てる智者ありとも檀那なくんば争か弘まるべき」と説き、四条金吾を日蓮をたすけんとする志のすぐれた檀那であると讃えられている。
■ご真筆: 現存していない。

[四条金吾殿御返事 本文]

正法をひろむる事は必ず智人によるべし。
故に釈尊は一切経を・とかせ給いて小乗経をば阿難、大乗経をば文殊師利、法華経の肝要をば一切の声聞・文殊等の一切の菩薩をきらひて、上行菩薩をめして授けさせ給いき。設い正法を持てる智者ありとも檀那なくんば争か弘まるべき。然れば釈迦仏の檀那は梵王・帝釈の二人なり。これは二人ながら天の檀那なり。仏は六道の中には人天、人天の中には人に出でさせ給う。人には三千世界の中央・五天竺、五天竺の中には摩竭提国に出でさせ給いて候しに、彼の国の王を檀那とさだむべき処に彼の国の阿闍世王は悪人なり。聖人は悪王に生れあふ事第一の怨にて候しぞかし。阿闍世王は賢王なりし父をころす。又うちそ(添)ふわざはひ(災)と提婆達多を師とせり。達多は三逆罪をつくる上、仏の御身より血を出だしたりし者ぞかし。不孝の悪王と謗法の師とよりあひて候しかば、人間に二(ふたつ)のわざはひにて候しなり。一年二年ならず数十年が間、仏にあだをなしまいらせ仏の御弟子を殺せし事、数をしらず。かかりしかば天いかりをなして天変しきりなり。地神いかりをなして地夭申すに及ばず。月月に悪風、年年に飢饉・疫癘来りて万民ほとんどつきなんとせし上、四方の国より阿闍世王を責む。既に危く成りて候し程に、阿闍世王或は夢のつげにより、或は耆婆がすすめにより、或は心にあやしむ事ありて提婆達多をばうち捨て仏の御前にまいりて、やうやう(様様)にたいほう(怠報)申せしかば身の病忽にいゑ。他方のいくさも留まり国土安穏になるのみならず、三月の七日に御崩御なるべかりしが命をのべて四十年なり。千人の阿羅漢をあつめて一切経、ことには法華経を・かきをかせ給いき。今我等がたのむところの法華経は、阿闍世王のあたへさせ給う御恩なり。

 是はさてをきぬ。仏の阿闍世王にかたらせ給いし事を日蓮申すならば、日本国の人は今つくれる事どもと申さんずらんなれども、我が弟子檀那なればかたりたてまつる。仏言(のたま)わく我が滅後・末法に入つて、又調達がやうなるたうとく五法を行ずる者、国土に充満して悪王をかたらせて、但一人あらん智者を、或はのり、或はうち、或は流罪、或は死に及ぼさん時、昔にもすぐれてあらん天変・地夭・大風・飢饉・疫癘、年年にありて他国より責(せむ)べしと説かれて候。守護経と申す経の第十の巻の心なり。

 当時の世にすこしもたがはず。然るに日蓮は此の一分にあたれり、日蓮をたすけんと志す人人、少少ありといへども或は心ざしうすし、或は心ざしはあつけれども身がうご(合期)せず。やうやう(様様)にをはするに、御辺は其の一分なり。心ざし人にすぐれてをはする上、わづかの身命をささうるも又御故なり。天もさだめてしろしめし、地もしらせ給いぬらん殿いかなる事にもあはせ給うならば、ひとへに日蓮がいのちを天のた(断)たせ給うなるべし。人の命は山海・空市まぬかれがたき事と定めて候へども、又定業亦能転の経文もあり、又天台の御釈にも定業をのぶる釈もあり。前に申せしやうに蒙古国のよするまで・つつしませ給うなるべし、主の御返事をば申させ給うべし・身に病ありてはいがたき上、世間すでにかうと見え候。それがしが身は時によりて憶病はいかんが候はんずらん。只今の心はいかなる事も出来候はば入道殿の御前にして命をすてんと存じ候、若しやの事候ならば越後よりはせ上(のぼ)らんは・はるかなる上不定なるべし、たとひ所領をめさるるなりとも、今年はきみをはなれまいらせ候べからず。

 是より外は、いかに仰せ蒙るとも、をそれまいらせ候べからず。是よりも大事なる事は日蓮の御房の御事と、過去に候父母の事なりとののしらせ給へ。すてられまいらせ候とも命はまいらせ候べし、後世は日蓮の御房にまかせまいらせ候と、高声にうちなのり居させ給へ。

建治二年丙子(ひのえね)九月六日     日  蓮  花押

四条金吾殿

by johsei1129 | 2019-10-26 21:55 | 四条金吾・日眼女 | Trackback | Comments(0)
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