2014年 11月 02日
況んや復久成を以って始成を奪う則は真の一念三千に非ざること汝亦之を知れり。若し実に然らずんば蓮祖何ぞ無実を以て台宗を破すべけんや。 次の文に云わく「本門に至りて始成正覚を破れば四教の果を破る。四教の果を破れば四教の因破れぬ。爾前迹門の十界の因果を打ち破って本門十界の因果を説き顕す。是れ即ち本因本果の法門なり、九界も無始の仏界に具し、仏界も無始の九界に備わりて真の十界互具・百界千如・一念三千なるべし」云云。 始成正覚を破る等とは経に云はく「我実に成仏してより已来無量無辺」等と云云、是れ即ち爾前迹門の始成正覚を一言に大虚妄なりと破る文なり。天台云く云云。宗祖云く云云。 「四教の果を破れば四教の因破る」等とは広くは玄文第七巻の如し、此の中に「十界の因果」とは是れ十界各具の因果には非ず、因は是れ九界、果は是れ仏界の故に「十界の因果」と云ふなり、並びに釈尊の因行を挙げて通じて九界を収むるなり、「是れ則ち本因本果の法門」とは此に深秘の相伝有り、所謂文上と文底なり、今は且く文上に約して此の文を消するなり。本因は即ち是れ無始の九界なり、故に経に云く「我本菩薩の道を行ぜし時、成ずる所の寿命、今猶未だ尽きず」等云云。天台云く「所住に登る時已に常寿を得」等と云云。既に是れ本因常住なり、故に「無始の仏界」と云ふ、本因猶常住なり、何に況んや本果をや。 故に経に云く「我実に成仏してより已来、甚だ大いに久遠にして寿命無量阿僧祇劫なり、常住にして滅せず」と云云。既に是れ本果常住なり、故に「無始の仏界」と云ふ。本有常住名体倶実の一念三千なり。故に真の十界互具・百界千如・一念三千と云ふなり。 日享上人註解 ○蓮祖何ぞ無実を以て等とは、天台所依の法華経悉く是真実であるなら宗祖が天台過時と斥け給ふは無実の誣言であろう、末法無益と破し給ふは欺罔の誑語であろう、大聖漫りに此の様な麁言を吐き給はんや。故に到る処に時機に約して切実に末法の要行を説いて空理閑言を破斥せらるゝのである。 ○無始仏界○無始九界とは、無始は最初の別名である。法は常住であるから過去は無始で未来は無終である。又九界に約すれば本因妙で、仏界に約すれば本果妙である。 ○経に云わく我実等とは、寿量品の報仏菩提の文で本門久遠の正覚を説いて伽耶始成の執情を払ふ御文である。 ○天台云云、宗祖云云とは文証弘博の故に引文を避けたのである。 ○玄文第七とは、玄義七に広く本門の十妙を明かすの下に委しき故に其れに譲られたのである。 ○深秘相伝とは、茲には多くの文上の義を談ずるが文底深秘の重は第二・文底秘沈抄に相伝を委しくしてある。 ○今且く文上に約すとは、今文は本迹相対の上の法門であるから本門当分の義で判釈を加へてをく。故に本因と云ふも本果と云ふも唯是文上の辺に止まり、未だ久遠元初の文底の深義に説き及ぼしていない。此れより下の文亦此の意を以て見るが良い。 ○経に云わく我本行等とは、天台に従へば我本行菩薩道は本因妙の文で、所成寿命等は本寿命妙の文である。 ○天台云わく登初住時等とは、我本行菩薩道を釈する文句九の文である、文上の本門は初住位から本因妙に取ってある。其れは仏円因行を修して初住位に登った時は既に常住の寿命を得てをらるゝ。其の因寿命尽き難うして上(経文)の無量阿僧祇劫の数に倍する程である、斯の因寿の常住なるより推して考うれば、果寿に於いて猶更永久無終であるべきであるとの説である。 ○経に云わく我実成仏等とは、本果妙の文である。 ○本有常住・名体俱実等とは、迹門の一念三千は本有常住の根底が無いから本無今有有名無実であるけれども、其れに引き替へ本門の一念三千は久遠常住の根底を有するから本有常住であり、又名体俱実と云ふ事になるのである。
by johsei1129
| 2014-11-02 19:08
| 日寛上人 六巻抄
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