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日蓮大聖人『御書』解説

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2014年 10月 09日

末法の法華経の行者が逢う大難は釈尊在世に超過せんと説いた【法華行者値難事】

■出筆時期:文永十一年一月十四日(西暦1274年) 五十三歳 御作。
■出筆場所:佐渡ヶ島 一谷(いちのさわ)にて。
■出筆の経緯:佐渡流罪中に富木常忍をはじめとする門下一同に対して与えられた書。「在世と滅後と正像二千年の間に法華経の行者・唯三人有り、所謂仏と天台・伝教となり・・・略・・・仏記の如くんば末法に入つて法華経の行者有る可し其の時の大難・在世に超過せん」と説き、伊豆流罪、断首されようとした竜の口の法難、佐渡流罪等々数々の大難に逢った日蓮こそ天台・伝教に超過する法華経の行者であることを門下一同に示すために本書をしたためられている。
尚、本書述作され一ヶ月後の文永十一年二月十四日、鎌倉幕府は佐渡流罪の赦免状を発し、三月八日に佐渡に到着している。
■ご真筆: 中山法華経寺 所蔵(重要文化財)。

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[法華行者値難事ご真筆:中山法華経寺 所蔵(重要文化財)]
※このご真筆では上下左右の余白にまで書き込まれていて、当時の大聖人の生活が窮乏を極めていたことを指し示している。


[法華行者値難事] 本文

 法華経の第四に云く「如来の現在すら猶怨嫉多し況や滅度の後をや」等云云。同第五に云く「一切世間怨多くして信じ難し」等云云。涅槃経の三十八に云く「爾の時に外道に無量の人有り○心瞋恚を生ず」等云云。又云く「爾の時に多く無量の外道有り和合して共に摩伽陀の王・阿闍世の前に往きぬ○今は唯一大悪人有り瞿曇沙門なり王未だ検校せず我等甚だ畏る。一切世間の悪人利養の為の故に其の所に往集して眷属と為る乃至迦葉・舎利弗・目けん連」等云云。如来現在猶多怨嫉の心是なり。得一大徳天台智者大師を罵詈して曰く「智公汝は是れ誰が弟子ぞ。三寸に足らざる舌根を以て覆面舌の所説の教時を謗ず」と。又云く「豈是れ顛狂の人に不ずや」等云云。南都七大寺の高徳寺・護命僧都・景信律師等三百余人・伝教大師を罵詈して曰く「西夏に鬼弁婆羅門有り東土に巧言を吐く禿頭沙門あり此れ乃ち物類冥召して世間を誑惑す」等云云。秀句に云く「浅きは易く深きは難しとは釈迦の所判なり浅きを去つて深きに就くは丈夫の心なり。天台大師は釈迦に信順し法華宗を助けて震旦に敷揚し、叡山の一家は天台に相承し法華宗を助けて日本に弘通す」云云。

 夫れ在世と滅後と正像二千年の間に法華経の行者・唯三人有り。所謂仏と天台・伝教となり。真言宗の善無畏・不空等・華厳宗の杜順・智儼等・三論法相等の人師等は実経の文を会して権の義に順ぜしむる人人なり。竜樹・天親等の論師は内に鑒みて外に発せざる論師なり。経の如く宣伝すること正法の四依も天台・伝教には如かず。而るに仏記の如くんば末法に入つて法華経の行者有る可し。其の時の大難・在世に超過せんと云云。仏に九横の大難有り。所謂孫陀利の謗と金鏘と馬麦と琉璃の釈を殺すと、乞食空鉢と旃遮女の謗と調達が山を推すと、寒風に衣を索むるとなり。其の上一切外道の讒奏上に引くが如し。記文の如くんば天台・伝教も仏記に及ばず。

之を以て之を案ずるに末法の始に仏説の如く行者世に出現せんか。而るに文永十年十二月七日・武蔵の前司殿より佐土の国へ下す状に云く、自判之在り。

 佐渡の国の流人の僧日蓮、弟子等を引率し、悪行を巧むの由其の聞え有り。所行の企て甚だ以て奇怪なり。今より以後、彼僧に相い随わん輩に於ては炳誡を加えしむ可し。猶以て違犯せしめば交名を注進せらる可きの由の所に候なり。仍て執達件の如し。

文永十年十二月七日 沙門 観恵上る
依智六郎左衛門尉等云云。

 此の状に云く「悪行を巧む」等云云。外道が云く「瞿曇(※釈尊)は悪人なり。等云云。又九横の難一一に之在り。所謂琉璃殺釈と、乞食空鉢と、寒風索衣とは仏世に超過せる大難なり。恐くは天台・伝教も未だ此の難に値いたまわず。当に知るべし、三人に日蓮を入れ四人と為す。法華経の行者末法に有るか。喜い哉、況滅度後の記文に当れり。悲い哉国中の諸人阿鼻獄に入らんこと。茂きを厭うて之を子細に記さず。心を以て之を推せよ。

文永十一年甲戌正月十四日           日 蓮 花押
一切の諸人之を見聞し志有らん人人は互に之を語れ。

追て申す、竜樹・天親は共に千部の論師なり。但権大乗を申べて法華経をば心に存して口に吐きたまわず。此に口伝有り。天台伝教は之を宣べて本門の本尊と四菩薩と戒壇と南無妙法蓮華経の五字と、之を残したもう。
所詮、一には仏・授与したまわざるが故に、二には時機未熟の故なり。今既に時来れり、四菩薩出現したまわんか。日蓮此の事先ず之を知りぬ。西王母の先相には青鳥、客人の来相にはかん鵲是なり。各各我が弟子たらん者は深く此の由を存ぜよ。設い身命に及ぶとも退転すること莫れ。

 富木・三郎左衛門の尉・河野辺・大和阿闍梨等・殿原・御房達、各各互に読聞けまいらせさせ給え。かかる濁世には互につねに・いゐあわせて、ひまもなく後世ねがわせ給い候へ。

     河野辺殿等中
謹上  大和阿闍梨御房 御中
     一切我が弟子等中                 日 蓮
     三郎左衛門尉 殿
     富木殿

by johsei1129 | 2014-10-09 22:51 | 弟子・信徒その他への消息 | Trackback | Comments(0)


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