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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 12月 01日

日蓮の名号は富士山の実名・大日蓮華山、及び日本の日に由来することを日興上人に口伝した【産湯相承事】

【産湯相承事(うぶゆそうじょうじ】
■出筆時期:弘安五年十月八日(西暦1282年)、六十一歳。大聖人より日興上人に口伝される。
■出筆場所:大聖人が御遷化なされた池上仲宗邸にて口伝により相伝される。
■出筆の経緯:弘安五年九月十八日に大聖人は池上仲宗邸に到着、そして翌月十月十三日に御遷化なされるが、その間・後を託した日興上人に、本因妙抄、身延山附属書等の血脈相承書を託されているが、そのなかで自身の出生についての謂れ、日蓮の日文字の由来等についても口伝されている。
■ご真筆: 現存しない。時代写本:左京日教筆(富士大石寺所蔵)

[産湯相承事 本文]
                日興之を記す

 御名乗りの事。始めは是生(ぜしょう)、実名は蓮長と申し奉る。後には日蓮と御名乗り有る御事は、母梅菊女 童女の御名なり。平の畠山殿の一類にて御座す云云。法号・妙蓮禅尼の御物語之(これ)ある事は、我に不思議の御夢想あり。清澄寺に通夜申したりし時、汝が志真に神妙なり一閻                    
 
父母夫婦先表の口伝
浮提第一の宝を与えんと思うなり。東条の片海(かたうみ)に三国(みくに)の太夫(たゆう)と云う者あり。是を夫(おとこ)と定めよと云云。七歳の春・三月二十四日の夜なり。正(たしかに)今も覚え侍(はべ)るなり。我父母に後れ奉りて已後、詮方(せんかた)なく遊女(たわれ

                        聖人托胎の口伝
め)の如くなりし時、御身の父に嫁(とつ)げり。或る夜の霊夢(れいむ)に曰く、叡山(えいざん)の頂(いただき)に腰をかけて近江の湖水を以て手を洗ひ、富士の山より日輪の出でたもうを懐(いだ)き奉ると思うて、打ち驚いて後・月水(がっすい)留まると夢物語りを申し侍(はべ)れば、父の太夫・我も不思議なる御夢想を蒙むるなり。虚空蔵菩薩・貌吉児(みめよきちご)を御肩に立て給う。

                聖人上行菩薩の口伝、並びに是生の口伝
此の少人(しょうじん)は我が為には上行菩提薩捶(さった)なり。日の下(もと)の人の為には生財摩訶薩捶なり。亦一切有情(うじょう)の為には、行く末三世常恒(じょうごう)の大導師なり。是を汝に与えんとの給うと見て後、御事(おこと)懐妊の由を聞くと語り相(あ)いたりき。さてこそ御事(おこと)は聖人なれ。

        聖人の御生まれ仏の御誕生に殊ならざる口伝
 又産生(うまれ)たまふべき夜の夢に、富士山の頂に登つて十方を見るに、明なる事掌(たなごころ)の内を見るが如く・三世明白なり。梵天・帝釈・四大天王等の諸天悉く来下(らいげ)して、本地自受用報身如来の垂迹(すいじゃく)上行菩薩の御身を凡夫地に謙下(けんげ)し給う。御誕生は唯今なり。無熱池(むねっち)の主(あるじ)・阿那婆達多竜王(あなばだったりゅうおう)、八功徳水を汲み来たるべきなり。当に産湯(うぶゆ)に浴(ゆあみ)し奉るべしと諸天に告げ給えり。仍って竜神王・即時に青蓮華(しょうれんげ)を一本荷(ひともと・にな)い来たれり。其の蓮より清水を出だして御身を浴(ゆあみ)し進(まい)らせ侍りけり。其の余れる水をば四天下に灑(そそ)ぐに、其の潤(うるお)いを受くる人畜・草木・国土世間、悉く金色の光明を放ち、四方の草木・花発(ひ)らき菓(このみ)成る。
 男女座を並べて有れども煩悩(ぼんのう)無し。淤泥(おでい)の中より出づれども塵泥(じんでい)に染まざること・譬(たと)えば蓮華の泥より出でて泥に染まざるが如し。人・天・竜・畜共に白き蓮を各手に捧(ささ)げて、日に向つて「今此三界(こんしさんがい)・皆是我有(かいぜがう)・其中衆生(ごちゅうしゅじょう)・悉是吾子(しつぜごし)・唯我一人(ゆいがいちにん)・能為救護(のういくご)」と唱え奉ると見て驚けば、則ち聖人出生し給えり。「毎自作是念(まいじさねん)、以何令衆生(いがりょうしゅじょう)、得入無上道、速成就仏身」と苦我(くが)・渧(な)き給う。

 我と少し寐(まどろ)みし様なりし時、梵帝等の諸天・一同音に唱えて言はく、善哉(ぜんざい)善哉・善日童子、末法教主勝釈迦仏と三度唱えて作礼而去(さらいにこ)し給うと寤(うつつ)に見聞きしなりと慥(たしか)に語り給いしを聞(きこ)し食(め)し、さては某は日蓮なりと言(のたま)ひしなり。
 聖人重ねて曰(のたま)う様は、日蓮が弟子檀那(だんな)等、悲母の物語りと思うべからず、即ち金言なり。其の故は予が修行は兼(か)ねて母の霊夢(れいむ)にありけり。
 日蓮は富士山自然(じねん)の名号なり。富士は郡名(ぐんみょう)なり、実名をば大日蓮華山と云うなり。我(われ)中道を修行する故に是くの如し。国をば日本と云ひ、神をば日神と申し、仏の童名をば日種(にっしゅ)太子と申し、予が童名をば善日、仮名は是生(ぜしょう)、実名は即ち日蓮なり。
 久遠下種の南無妙法蓮華経の守護神の我が国に天下り始めし国は出雲なり。出雲に日御崎(ひのみさき)と云う所あり。天照太神始めて天下り給う故に・日の御崎と申すなり。
                                        生仏法界一如の口伝
 我が釈尊・法華経を説き顕はし給いしより已来(このかた)、十羅刹女と号したてまつる。十羅刹と天照太神と釈尊と日蓮とは一体異名にして本地垂迹の利益広大なり。日神と月神とを合して文字を訓(くん)ずれば十なり。十羅刹と申すは、諸神を一体に束(たば)ね合せたる深義なり。日蓮の日は即ち日の神、昼なり。蓮は即ち月の神、夜なり。月は水を縁とす、蓮は水より生ずる故なり。又是生とは日の下の人を生むと書きたり。

    本門下種の口伝 
 日蓮、天上天下一切衆生の主君なり・父母なり・師匠なり。今久遠下種の寿量品に云く「今此三界・皆是我有 主君の義なり 其中衆生・悉是吾子 父母の義なり 而今此処・多諸患難(にこん・ししょ・たしょげんなん) 国土草木 唯我一人・能為救護 師匠の義なり」と云えり。
 三世常恒(じょうごう)に日蓮は今此三界の主なり。「日蓮大恩、以希有事(いけうじ)、憐愍教化(れんみんきょうけ)、利益我等、無量億劫、誰能報者(すいのうほうしゃ)」なるべし。
 若し日蓮が現在の弟子並びに未来の弟子等の中にも、日文字を名乗りの上の字に置かずんば、自然(じねん)の法罰を蒙(こうむ)るべし。予が一期の功徳は日文字に留め置くと御説法ありし儘(まま)、日興謹んで之を記し奉りしなり。
  聖人言く、此の相承は日蓮嫡嫡(ちゃくちゃく)一人の口決、唯授一人の秘伝なり。神妙・神妙と言給(のたま)ひて留め畢んぬ。



[産湯相承事 本文] 完。


by johsei1129 | 2019-12-01 15:57 | 血脈・相伝・講義 | Trackback | Comments(0)


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