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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 11月 23日

末法の本仏の立場で法門の勝劣を本迹に立て分けて講説した相伝書【百六箇抄】十一

[百六箇抄 本文]その十一

【種の本迹勝劣 五十五箇条】

五十一、下種の六即実勝の本迹
 日蓮は脱の六即を迹と為し、種の三世一即の六即、案位(あんい)の理即は開会(かいえ)の妙覚にして、開会の理即は本覚の極果を本と為(す)るなり。

五十二、下種の十二因縁の本迹
 日蓮は応仏所説の十二因縁を迹と為し、久遠報仏所説の十二因縁を本と定むるなり。

五十三、下種の十不二門の本迹
 日蓮が十不二門は事の上の極極の事理一、体用の不二門なり。

五十四、下種の十界互具の本迹
 唱え奉る妙法・仏界は本、唱うる我等九界は迹なり。妙覚より理即の凡夫までなり。実(まこと)の十界互具の勝劣とは是なり。

五十五、下種の境智倶実(きょうち・くじつ)の本迹
 脱の境智は迹、種の境智は本なり。名字即の境智は境智倶に本、観行即の境智は境智倶に迹なり云云。意は十界の仏性只一口に呼び顕はすなり。本因口唱の勝るる南無妙法蓮華経なり、初心成仏抄の如きなり。

 弘の一に云く「理造作に非ざる故に天真と曰い、証智円明の故に独朗と云う」云云。久遠の理と今日の理と理に造作無し。然れども久遠は事上の理なり、今日は理上の理なり。故に知んぬ、本因妙の理は勝れ、今日本果妙の理は劣るなり。是(これ)理の本迹なり。是の故に独朗と云うなり。釈の文に云はく「独一法界の故に絶待と名づく」云云。
 
 天台は「唯大綱を存して網目を事とせず」と。 此の釈の意は大綱は本、網目は迹なり。天台・伝教の修行は網目、日蓮・日興等の修行は大綱なり云云。「如来秘密・神通之力」と意得可し。是事理の如来の本迹なり。秘密の如来は理性の如来なり、我等なり。神通の如来は世尊なり。秘密は本地、神通は垂迹なり。世世以来・常に我が化を受く。「我本行菩薩道、所成寿命、今猶未尽、復倍上数」云云。 本迹勝劣、其の理甚遠(じんのん)なり。仏・若し説かずんば弥勒尚暗し。何に況んや下地をや、何に況んや凡夫をや。本仏・本化乃(いま)し能く究尽(くじん)したまへり云云。
 妙楽の云く「具騰本種(ぐとうほんしゅ)」と。本勝迹劣。「故に但名に於て以て本迹を分つ」と。 下種の名字の妙法事行の勝劣なる所を判ずるなり。
 「本迹は身に約し位に約す」と。 久遠名字即の身と位とを判ずるなり。
 「本従り迹を垂れ、迹は本に依る。迹は究竟に非ず」と。玄の一に「開示悟入は是れ迹の要なりと雖も、若し顕本し已れば即ち本の要と成るなり」と。籤(せん)の一に「若し迹中の事理乃至権実無くんば、何ぞ能く長寿の本を顕さん」云云。

已上種の本迹勝劣畢んぬ。
 弘安三年庚辰 正月十一日    日 蓮 花押
          

 南妙法蓮華経、南無霊山浄土・久遠実成・多宝塔中(たっちゅう)大釈迦牟尼尊、上行菩薩、日蓮・日興に之を授与す。

 右此の血脈は本迹勝劣・其の数一百六箇之を注す。数量に就(つい)て表事有り。之を覚知すべし。釈迦諸仏出世の本懐・真実真実・唯為(ゆいい)一大事の秘密なり。然る間・万年救護の為に之を記し留む。
 就中(なかんずく)六人の遺弟を定むる表事は、先先に沙汰するが如し云云。但し直授結要(じきじゅ・けっちょう)付属は唯一人なり。白蓮阿闍梨・日興を以て惣貫首(そうかんず)と為し、日蓮が正義・悉く以て毛頭程も之れを残さず悉く付属せしめ畢んぬ。上首已下並びに末弟等・異論無く尽未来際に至るまで、予が存日の如く・日興嫡嫡(ちゃくちゃく)付法の上人を以て惣貫首(そうかんず)と仰ぐ可き者なり。
 又五人並びに已下の諸僧等、日本乃至一閻浮提の外(ほか)万国に之を流布せしむと雖も、日興が嫡嫡相承の曼荼羅を以て本堂の正本尊と為す可きなり。
 所以は何ん。在世・滅後殊なりと雖も付属の儀式之(これ)同じ。譬えば四大六万の直弟(じきてい)の本眷属有りと雖も、上行薩埵(さった)を以て結要付属の大導師と定むるが如し。今以つて是くの如し。六人以下数輩の弟子有りと雖も、日興を以て結要付属の大将と定むる者なり。
 又弘長配流の日も、文永流罪の時も、其の外・諸処の大難の折節も、先陣をかけ日蓮に影の形に随うが如くせしなり。誰か之を疑わんや。又延山地頭発心の根元は日興教化の力用なり。遁世の事、甲斐の国三牧は日興懇志の故なり。
 又御本尊書写の事、予が顕はし奉るが如くなるべし。若し日蓮御判と書かずんば天神地祇(ちぎ)も・よも用い給わじ。上行・無辺行と持国と、浄行・安立行と毘沙門との間には、若悩乱者・頭破七分・有供養者・福過十号と之を書す可きなり。経中の明文等意に任す可きか。
 又立つ浪・吹く風、万物に就いて本迹を分け、勝劣を弁ず可きなり。

[百六箇抄 本文] 完。




by johsei1129 | 2019-11-23 19:14 | 血脈・相伝・講義 | Trackback | Comments(0)


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