[百六箇抄 本文]その八
【種の本迹勝劣 五十五箇条】
二十一、下種の戒体の本迹 爾前迹門の戒躰は権実雑乱、本門の戒躰は純一無雑の大戒なり。勝劣は天地・水火尚及ばず。具に
戒躰抄の如し云云。
二十二、 本化の七面の本迹 末法には事行を本とし、在世と像法とには理観を本とするなり。天台の本書は理の上の事なれば一向迹門の七決、我家の本書は事の上の本なり。
二十三、下種の三種法華の本迹 二種は迹、一種は本なり。迹門は隠密法華・本門は根本法華、迹本文底の南無妙法蓮華経は顕説法華なり。
二十四、 本化の本尊の本迹 七字は本なり、余の十界は迹なり。
諸経諸宗中王の本尊は、万物下種の種子無上の大曼荼羅なり。
二十五、 下種の守護神の本迹 守護し奉る所の題目は本、護る所の神明は迹なり。諸仏求世者・現無量神力云云。
二十六、下種の山王神の本迹 久遠に受くる所の妙法は本、中間・今日・未来までも守り来る所の山王・明神は即ち迹なり。
二十七、下種の十羅刹女の本迹 此の義理上に同じ。唯神明と十女を本迹に対する時、十羅刹女は本、神明は迹なり。
二十八、本門付属の本迹 久遠名字の時、受る所の妙法は本、上行等は迹なり。
久遠元初の結要(けっちょう)付属と日蓮が今日寿量付属とは同意なり云云。
二十九、本門開会の本迹 久遠の本会を本と為し、今日寿量の脱を迹とするなり。妙楽云く「始顕を開と云い、終合を会と云う」文。
三十、下種の成仏の本迹 下種本因 本因妙は本、自受用身は迹なり。
成仏は難きに非ず、此の経を持つこと難ければなり云云。
[百六箇抄 本文]その九に続く