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2019年 11月 04日
[御義口伝 上 本文]その四 【譬喩品九箇の大事】 第一 譬喩品の事 文句の五に云く「譬とは比況(ひきょう)なり。喩とは暁訓なり。大悲息まず・巧智(ぎょうち)無辺なれば、更に樹を動かして風を訓え・扇を挙げて月を喩(さと)す」と。 御義口伝に云く、大悲とは母の子を思う慈悲の如し。今日蓮等の慈悲なり。章安云く「彼の為に悪を除くは即ち是れ彼の親」と。巧智とは南無妙法蓮華経なり。諸宗無得道の立義なり。巧於(ぎょうお)難問答の意なり。更(きょう)とは在世に次で滅後の事と意得可きなり。樹を動すとは煩悩なり。風を訓(おし)ふるとは即菩提なり。扇を挙ぐとは生死(しょうじ)なり。月を喩すとは即涅槃なり。 今日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る時、大白牛車に乗じて直至道場するなり。記の五に云く「樹と扇と風と月とは唯円教の理なり」と。又云く「法説の実相は何ぞ隠れ、何ぞ顕れんや。長風息むこと靡(な)く、空月常に懸れり」と此の釈之を思う可し。隠(おん)とは死なり。顕とは生なり。長風とは我等が息なり。空月とは心月なり。法華の生死とは三世常恒にして隠顕之無し。我等が息風とは吐く処の言語なり。是南無妙法蓮華経なり。一心法界の覚月常住にして懸かれり。是を指して唯円教の理と釈せり。円とは法界なり。教とは三千羅列なり。理とは実相の一理なり云云。 第二 即起合掌の事 文句の五に云く「外義(げぎ)を敍するとは即起合掌は身の領解(りょうげ)と名く。昔は権実二と為す。掌(たなごころ)の合わざるが如し。今は権即実と解る。二の掌の合するが如し。向仏とは昔は権・仏因に非ず、実・仏果に非ず。今権即実と解して大円因を成ず。因は必ず果に趣く故に合掌向仏と言う」と。 御義口伝に云く、合掌とは法華経の異名なり。向仏とは法華経に値い奉ると云うなり。合掌は色法なり。向仏は心法なり。色心の二法を妙法と開悟するを歓喜踊躍と説くなり。 合掌に於て又二の意之れ有り。合とは妙なり。掌とは法なり。又云く、合とは妙法蓮華経なり。掌とは廿八品なり。 又云く合とは仏界なり。掌とは九界なり。九界は権、仏界は実なり。妙楽大師の云く「九界を権と為し仏界を実と為す」と。十界悉く合掌の二字に納まつて森羅三千の諸法は合掌に非ざること莫きなり。 惣じて三種の法華の合掌之れ有り。今の妙法蓮華経は三種の法華未分なり。爾りと雖も先ず顕説法華を正意と為すなり。之に依つて伝教大師は「於一仏乗とは根本法華の教なり○妙法の外(ほか)更に一句の余経無し」と。 向仏とは一一文文皆金色の仏体と向い奉る事なり。合掌の二字に法界を尽したるなり。地獄餓鬼の己己の当体・其の外(ほか)三千の諸法其の儘(まま)合掌向仏なり。而る間・法界悉く舎利弗なり。舎利弗とは法華経なり。舎とは空諦、利とは仮諦、弗とは中道なり。円融三諦の妙法なり。舎利弗とは梵語、此には身子と云う。身子とは十界の色心なり。身とは十界の色法・子とは十界の心法なり。 今日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る者は悉く舎利弗なり。舎利弗は即ち釈迦如来・釈迦如来は即ち法華経・法華経は即ち我等が色心の二法なり。仍って身子此の品の時、聞此法音(もんしほうおん)と領解せり。聞とは名字即。法音とは諸法の音(こえ)なり。諸法の音とは妙法なり。爰を以て文句に釈する時「長風息(や)むこと靡(な)し」と。長風とは法界の音声なり。此の音声を信解品に「以仏道声・令一切聞」と云えり。一切とは法界の衆生の事なり。此の音声とは南無妙法蓮華経なり。 第三 身意泰然(しんにたいねん) 快得(けとく)安穏の事 文句の五に云く「従仏は是れ身の喜(よろこび)を結するなり、聞法は此れ口の喜を結するなり、断諸疑悔(だんしょぎげ)とは是れ意の喜を結す」と。 御義口伝に云く、身意泰然とは煩悩即菩提・生死即涅槃なり。身とは生死即涅槃なり、意とは煩悩即菩提なり、従仏とは日蓮に従う類い等の事なり、口の喜びとは南無妙法蓮華経なり、意の喜びとは無明の惑障無き故なり。爰を以て之を思うに、此の文は一心三観・一念三千・我等が即身成仏なり。方便の教は泰然に非ず・安穏に非ざるなり、行於険逕多留難故(ぎょうお・けんきょう・たるなんこ)の教なり。 第四 得仏法分の事 御義口伝に云く、仏法の分とは初住一分の中道を云うなり。迹門初住・本門二住已上と云う事は、此の分の字より起こるなり。所詮此の分の一字は一念三千の法門なり。其の故は、地獄は地獄の分で仏果を証し、乃至三千の諸法己己の当体の分で仏果を証したるなり。真実の我等が即身成仏なり。今日蓮等の類(たぐい)南無妙法蓮華経と唱うる分で仏果を証したるなり。分とは、権教は無得道、法華経は成仏と分つと意得可きなり。又云く、分とは本門寿量品の意なり。己己本分の分なり。惣じて迹門初住分証と云うは教相なり、真実は初住分証の処にて一経は極まりたるなり。 第五 而自廻転(にじえてん)の事 記の五に云く「或は大論の如し。経に而自廻転と云うは身子の得記を聞きて法性自然にして転じ、因果・依正・自他悉く転ずるを表す」と。 御義口伝に云く、草木成仏の証文に而自廻転の文を出すなり。是れ一念三千の依正体一の成仏を説き極めたるなり。草木成仏の証人とは日蓮等の類い・南無妙法蓮華経と唱え奉るを指すなり。廻転とは題目の五字なり。自とは我等行者の事なり。記の五の釈、能く能く之を思うべし云云。 第六 一時倶作(いちじぐさ)の事 御義口伝に云く、一時とは末法の一時なり、倶作とは南無妙法蓮華経なり。倶とは畢竟(ひっきょう)住一乗なり。今日蓮等の類いの所作には題目の五字なり、余行を交えざるなり。又云く十界の語言は一返の題目を倶作したり、是れ豈感応に非ずや。 第七 以譬喩得解の事 止観の五に云く「智とは譬に因るに斯(こ)の意・徴(しる)し有り」と。 御義口伝に云く、此の文を以て鏡像(きょうぞう)円融の三諦の事を伝うるなり。惣じて鏡像の譬へとは自浮自影(じふじよう)の鏡の事なり。此の鏡とは一心の鏡なり。惣じて鏡に付て重重の相伝之有り。所詮鏡の能徳とは万像を浮ぶるを本とせり。妙法蓮華経の五字は万像を浮べて一法も残る物之無し。 又云く鏡に於て五鏡之れ有り、妙の鏡には法界の不思議を浮べ、法の鏡には法界の体を浮べ、蓮の鏡には法界の果を浮べ、華の鏡には法界の因を浮べ、経の鏡には万法の言語を浮べたり。 又云く妙の鏡には華厳を浮べ、法の鏡には阿含を浮べ、蓮の鏡には方等を浮べ、華の鏡には般若を浮べ、経の鏡には法華を浮ぶるなり。順逆次第して意得可きなり。 我等衆生の五体五輪・妙法蓮華経と浮び出でたる間・宝塔品を以て鏡と習うなり。信謗の浮び様・能く能く之を案ず可し。自浮自影の鏡とは南無妙法蓮華経是なり云云。 第八 唯有一門の事 文句の五に云く「唯有一門とは上の以種種法門・宣示於仏道に譬う。門に又二あり宅門と車門となり。宅とは生死なり、門とは出ずる要路なり。此(これ)は方便教の詮なり。車とは大乗の法なり、門とは円教の詮なり」と。 御義口伝に云く、一門とは法華経の信心なり、車とは法華経なり、牛とは南無妙法蓮華経なり、宅とは煩悩なり。自身法性の大地を生死生死と転(め)ぐり行くなり云云。 第九 今此三界等の事 文句の五に云く「次に今此三界より下・第二に一行半は上の所見諸衆生・為生老病死之所焼煮を頌(しょう)して第二の所見・火の譬を合す。唯我一人より下・第三に半偈は上の仏見此已便作是念を頌(じゅ)して驚入火宅を合するなり」と。 御義口伝に云く、此の文は一念三千の文なり。一念三千の法門は迹門には生陰(しょうおん)二千の世間を明し、本門には国土世間を明すなり。 又云く今此三界の文は国土世間なり、其中衆生の文は五陰世間なり、而今此処多諸患難・唯我一人の文は衆生世間なり。
by johsei1129
| 2019-11-04 14:27
| 御義口伝
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