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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 09月 15日

法華経は一代聖教の肝心八万法蔵の拠り所と明かした書【善無畏三蔵抄】四

[善無畏三蔵抄 本文]その四

 而るを当世の僻見(びゃっけん)の学者等・設ひ八万法蔵を極め十二部経を諳(そら)んじ大小の戒品を堅く持ち給ふ智者なりとも此の道理に背かば悪道を免るべからずと思食(おぼしめ)すべし、例せば善無畏三蔵は真言宗の元祖・烏萇奈(うちょうな)国の大王・仏種王の太子なり、教主釈尊は十九にして出家し給いき此の三蔵は十三にして位を捨て月氏・七十箇国・九万里を歩き回(めぐ)りて諸経・諸論・諸宗を習い伝へ北天竺・金粟(こんぞく)王の塔の下にして天に仰ぎ祈請(きしょう)を致し給えるに虚空(こくう)の中に大日如来を中央として胎蔵界(たいぞうかい)の曼荼羅(まんだら)・顕れさせ給ふ、慈悲の余り此の正法を辺土に弘めんと思食して漢土に入り給ひ玄宗皇帝に秘法を授け奉り旱魃(かんばつ)の時雨の祈をし給いしかば三日が内に天より雨ふりしなり、此の三蔵は千二百余尊の種子・尊形三摩耶(そんぎょうさんまや)・一事も・くもりなし、当世の東寺等の一切の真言宗・一人も此の御弟子に非るはなし、而るに此の三蔵一時(あるとき)に頓死ありき数多(あまた)の獄卒来つて鉄繩(てつじょう)七すぢ懸(か)けたてまつり閻魔王宮(えんまおうぐう)に至る此の事第一の不審なり、いかなる罪あつて此の責に値い給ひけるやらん、今生(こんじょう)は十悪は有りもやすらん五逆罪は造らず過去を尋ぬれば大国の王となり給ふ事を勘うるに十善戒を堅く持ち五百の仏陀に仕へ給ふなり何の罪かあらん、其の上十三にして位を捨て出家し給いき閻浮(えんぶ)第一の菩提心なるべし、過去・現在の軽重(きょうじゅう)の罪も滅すらん・其の上月氏に流布する所の経論諸宗を習い極め給いしなり何の罪か消えざらん、又真言密教は他に異なる法なるべし一印一真言なれども手に結び口に誦(ず)すれば三世の重罪も滅せずと云うことなし、無量倶低劫(くていこう)の間作る所の衆の罪障も此の曼荼羅を見れば一時に皆消滅すとこそ申し候へ、況や此の三蔵は千二百余尊の印真言を諳に浮べ即身成仏の観道鏡に懸(かか)り両部潅頂(かんちょう)の御時・大日覚王となり給いき、如何にして閻魔の責に豫り給いけるやらん、日蓮は顕密二道の中に勝れさせ給いて我等易易(やすやす)と生死を離るべき教に入らんと思い候いて真言の秘教をあらあら習ひ此の事を尋ね勘(かんが)うるに一人として答をする人なし、此の人悪道を免れずば当世の一切の真言並びに一印一真言の道俗・三悪道の罪を免るべきや。

 日蓮此の事を委く勘うるに二つの失(とが)有つて閻魔王の責に予り給へり、一つには大日経は法華経に劣るのみに非ず涅槃経・華厳経・般若経等にも及ばざる経にて候を法華経に勝れたりとする謗法の失なり、二つには大日如来は釈尊の分身(ふんじん)なり而るを大日如来は教主釈尊に勝れたりと思ひし僻見(びゃっけん)なり、此の謗法の罪は無量劫の間・千二百余尊の法を行ずとも悪道を免るべからず、此の三蔵此の失免れ難き故に諸尊の印真言を作(な)せども叶はざりしかば法華経第二・譬喩品の今此三界・皆是我有・其中衆生・悉是吾子・而今此処多諸患難・唯我一人・能為救護の文を唱へて鉄の繩を免れさせ給いき、而るに善無畏已後の真言師等は大日経は一切経に勝るるのみに非ず法華経に超過せり、或は法華経は華厳経にも劣るなんど申す人もあり此等は人は異なれども其の謗法の罪は同じきか、又善無畏三蔵・法華経と大日経と大事とすべしと深理をば同ぜさせ給いしかども印と真言とは法華経は大日経に劣りけるとおぼせし僻見計りなり、其の已後の真言師等は大事の理をも法華経は劣れりと思へり、印真言は又申すに及ばず謗法の罪・遥にかさみたり、閻魔の責にて堕獄の苦を延ぶべしとも見えず直に阿鼻の炎(ほのお)をや招くらん、大日経には本(もと)・一念三千の深理なし此の理は法華経に限るべし、善無畏三蔵・天台大師の法華経の深理を読み出でさせ給いしを盗み取つて大日経に入れ法華経の荘厳として説かれて候・大日経の印真言を彼の経の得分と思へり、理も同じと申すは僻見なり真言印契を得分と思ふも邪見なり、譬えば人の下人の六根は主の物なるべし而るを我が財(たから)と思ふ故に多くの失(とが)出で来る、此の譬を似て諸経を解(さと)るべし、劣る経に説く法門は勝れたる経の得分と成るべきなり。

[善無畏三蔵抄 本文]その五に続く四




by johsei1129 | 2019-09-15 16:53 | 重要法門(十大部除く) | Trackback | Comments(0)
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