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日蓮大聖人『御書』解説

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2014年 12月 26日

末法において報恩とは「妙法蓮華経」を説き仏身に入らしめる事であることをあかした書『報恩抄』 その一

【報恩抄(ほうおんしょう】
■出筆時期:建治二年七月二十一日(西暦1276年)、日蓮大聖人55歳御作
■出筆場所:身延山中 草庵
■出筆の経緯:幼少時代に修行した清澄寺時代の師である道善房への供養のため、当時兄弟子(後に大聖人の弟子となる)である「浄顕房と義浄房」宛に、弟子日向を使者として本書を持参させ、あわせて故道善房の墓前で本抄を拝読させている。八万四千宝蔵といわれる仏法のなかで、最第一の『法』である『妙法蓮華経』を流布し、一切衆生を救済することこそが、師への報恩であることを明かしておられる。

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■御真筆:池上本門寺、ほか五箇所に断簡所蔵。

[報恩抄 本文] その一
                                               日蓮之を撰す

 夫れ老狐は塚をあとにせず白亀は毛宝が恩をほうず畜生すらかくのごとしいわうや人倫をや、されば古への賢者予譲といゐし者は剣をのみて智伯が恩にあて、こう演と申せし臣下は腹をさひて衛の懿公が肝を入れたり。
いかにいわうや仏教をならはん者、父母・師匠・国恩をわするべしや、此の大恩をほうぜんには必ず仏法をならひきはめ、智者とならで叶うべきか。
譬へば衆盲をみちびかんには生盲の身にては橋河をわたしがたし、方風を弁えざらん大舟は諸商を導きて宝山にいたるべしや。

 仏法を習い極めんとをもはば、いとまあらずば叶うべからず、いとまあらんとをもはば父母・師匠・国主等に随いては叶うべからず。是非につけて出離の道をわきまへざらんほどは、父母・師匠等の心に随うべからず。
この義は諸人をもはく、顕にもはづれ冥にも叶うまじとをもう。しかれども外典の孝経にも父母主君に随はずして忠臣・孝人なるやうもみえたり、内典の仏経に云く「恩を棄て無為に入るは真実報恩の者なり」等云云。比干が王に随わずして賢人のなをとり、悉達太子の浄飯大王に背きて三界第一の孝となりしこれなり。

 かくのごとく存して父母・師匠等に随わずして仏法をうかがひし程に、一代聖教をさとるべき明鏡十あり。所謂る倶舎・成実・律宗・法相・三論・真言・華厳・浄土・禅宗・天台法華宗なり。此の十宗を明師として一切経の心をしるべし。世間の学者等おもえり、此の十の鏡はみな正直に仏道の道を照せりと。小乗の三宗はしばらく・これををく民の消息の是非につけて他国へわたるに用なきがごとし、大乗の七鏡こそ生死の大海をわたりて浄土の岸につく。大船なれば此を習いほどひて我がみも助け人をも・みちびかんとおもひて習ひみるほどに、大乗の七宗いづれも・いづれも自讃あり我が宗こそ一代の心はえたれ・えたれ等云云。

所謂、華厳宗の杜順・智儼・法蔵・澄観等、法相宗の玄奘・慈恩・智周・智昭等、三論宗の興皇・嘉祥等、真言宗の善無畏・金剛智・不空・弘法・慈覚・智証等、禅宗の達磨・慧可・慧能等、浄土宗の道綽・善導・懐感・源空等、此等の宗宗みな本経・本論によりて我も我も一切経をさとれり仏意をきはめたりと云云。

彼の人人云く一切経の中には華厳経第一なり、法華経大日経等は臣下のごとし、真言宗の云く一切経の中には大日経第一なり余経は衆星のごとし、禅宗が云く一切経の中には楞伽経第一なり乃至余宗かくのごとし。而も上に挙ぐる諸師は世間の人人・各各おもえり、諸天の帝釈をうやまひ衆星の日月に随うがごとし、我等凡夫はいづれの師師なりとも信ずるならば不足あるべからず、仰いでこそ信ずべけれども日蓮が愚案はれがたし。
 世間をみるに各各・我も我もといへども国主は但一人なり、二人となれば国土おだやかならず家に二の主あれば其の家必ずやぶる、一切経も又かくのごとくや有るらん何の経にても・をはせ一経こそ一切経の大王にてはをはすらめ。

而るに十宗七宗まで各各・諍論して随はず、国に七人・十人の大王ありて万民をだやかならじいかんがせんと疑うところに一の願を立つ我れ八宗十宗に随はじ、天台大師の専ら経文を師として一代の勝劣をかんがへしがごとく。一切経を開きみるに涅槃経と申す経に云く「法に依つて人に依らざれ」等云云。
依法と申すは一切経・不依人と申すは仏を除き奉りて外の普賢菩薩・文殊師利菩薩乃至上にあぐるところの諸の人師なり。
 此の経に又云く「了義経に依つて不了義経に依らざれ」等云云、此の経に指すところ了義経と申すは法華経・不了義経と申すは華厳経・大日経・涅槃経等の已今当の一切経なり、されば仏の遺言を信ずるならば専ら法華経を明鏡として一切経の心をばしるべきか。


[報恩抄 本文] その二に続く




by johsei1129 | 2014-12-26 18:47 | 報恩抄(御書五大部) | Trackback | Comments(0)
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