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日蓮大聖人『御書』解説

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2014年 01月 10日

国家諌暁(信仰の誤りを正す)の書『立正安国論』 その②

[立正安国論本文]①より続く・・・・・

 大集経に云く「仏法実に隠没(おんもつ)せば、鬚髪爪(しゅほつそう)皆長く、諸法も亦忘失(もうしつ)せん。当(そ)の時、虚空の中に大なる声あつて地を震い、一切皆遍く動かんこと・猶水上輪の如くならん。城壁破れ落ち下り・屋宇(おくう)悉く破れ圻(さ)け、樹林の根・枝・葉・華葉(けよう)・菓(か)・薬尽きん。唯浄居天(ただ・じょうごてん)を除いて欲界の一切処の七味・三精気、損減して余り有ること無けん。解脱の諸の善論・時に当たって一切尽きん。所生の華菓の味(あじわ)い希少にして亦美(うま)からず。諸有の井泉池(せいせんち)・一切尽く枯涸(こかく)し、土地悉く鹹鹵(かんろ)し敵裂して丘澗(きゅうかん)と成らん。諸山皆燋燃(しょうねん)して天竜雨を降さず、苗稼(みょうけ)も皆枯死し、生ずる者皆死し尽き・余草更に生ぜず。土を雨らし皆・昏闇(こんあん)に日月も明を現ぜず。四方皆亢旱(こうかん)して数(しばし)ば諸悪瑞を現じ、十不善業の道・貪瞋癡(とんじんち)倍増して衆生父母に於ける・之を観ること獐鹿(しょうろく)の如くならん。衆生及び寿命・色力・威楽減じ、人天の楽を遠離(おんり)し皆悉く悪道に堕せん。是くの如き不善業の悪王・悪比丘我が正法を毀壊(きえ)し、天人の道を損減し、諸天善神・王の衆生を悲愍(ひみん)する者、此の濁悪の国を棄てて皆悉く余方に向わん」已上。 

 仁王経に云く「国土乱れん時は先ず鬼神乱る。鬼神乱るるが故に万民乱る。賊・来たって国を刧(おびや)かし、百姓亡喪し臣・君・太子・王子・百官共に是非を生ぜん。天地怪異(けい)し、二十八宿・星道・日月・時を失い度を失い、多く賊起こること有らん」と。
 亦云く「我今五眼をもつて明らかに三世を見るに、一切の国王は皆過去の世に五百の仏に侍(つか)えるに由つて帝王主と為ることを得たり。是を為(も)つて一切の聖人羅漢而も為に彼の国土の中に来生して大利益を作さん。若し王の福尽きん時は一切の聖人・皆為に捨て去らん。若し一切の聖人去らん時は七難必ず起こらん」已上。

 薬師経に云く「若し刹帝利(せつていり)・潅頂(かんちょう)王等の災難起らん時、所謂人衆疾疫の難・他国侵逼(しんぴつ)の難・自界叛逆(ほんぎゃく)の難・星宿変怪(へんげ)の難・日月薄蝕の難・非時風雨の難・過時不雨の難あらん」已上。

 仁王経に云く「大王、吾が今化する所の百億の須弥(しゅみ)・百億の日月・一一の須弥に四天下有り。其の南閻浮提(なんえんぶだい)に十六の大国・五百の中国・十千の小国有り。其の国土の中に七つの畏る可き難有り。一切の国王・是を難と為すが故に。云何(いか)なるを難と為す。
 日月度を失い・時節返逆し・或は赤日出で・黒日出で・二三四五の日出で・或は日蝕して光無く・或は日輪一重・二三四五重輪現ずるを一の難と為すなり。
 二十八宿度を失い、金星・彗星・輪星・鬼星・火星・水星・風星・刁(ちょう)星・南斗・北斗・五鎮の大星・一切の国主星・三公星・百官星・是くの如き諸星、各各変現するを二の難と為すなり。
 大火国を焼き万姓焼尽せん。或は鬼火・竜火・天火・山神火・人火・樹木火・賊火あらん。是くの如く変怪するを三の難と為すなり。
 大水・百姓をヒョウ没し、時節返逆して・冬雨ふり・夏雪ふり・冬時に雷電・霹礰(へきれき)し、六月に氷霜雹(ひょうそうはく)を雨らし、赤水・黒水・青水を雨らし、土山・石山を雨らし・沙礫石(しゃりゃくせき)を雨らす。江河逆(さかしま)に流れ、山を浮べ石を流す。是くの如く変ずる時を四の難と為すなり。
 大風・万姓を吹き殺し国土・山河・樹木・一時に滅没し、非時の大風・黒風・赤風・青風・天風・地風・火風・水風あらん。是くの如く変ずるを五の難と為すなり。
 天地・国土・亢陽(こうよう)し炎火洞燃として・百草亢旱(こうかん)し・五穀登(みの)らず、土地赫燃(かくねん)して万姓滅尽せん。是くの如く変ずる時を六の難と為すなり。
 四方の賊来つて国を侵し内外の賊起り、火賊・水賊・風賊・鬼賊ありて・百姓荒乱し・刀兵刧起らん。是くの如く怪する時を七の難と為すなり」
 大集経に云く「若し国王有つて無量世に於て施戒慧を修すとも、我が法の滅せんを見て捨てて擁護(おうご)せずんば、是くの如く種ゆる所の無量の善根・悉く皆滅失して其の国当(まさ)に三の不祥の事有るべし。一には穀貴・二には兵革・三には疫病なり。一切の善神悉く之を捨離せば、其の王・教令すとも人随従せず。常に隣国の侵嬈(しんにょう)する所と為らん。暴火横(よこしま)に起り、悪風雨多く・暴水増長して人民を吹きタダヨワし、内外の親戚其れ共に謀叛せん。其の王久しからずして当に重病に遇い、寿終の後・大地獄の中に生ずべし。乃至王の如く夫人・太子・大臣・城主・柱師・郡守・宰官も亦復た是くの如くならん」已上。

 夫れ四経の文朗(あきら)かなり、万人誰か疑わん。而るに盲瞽(もうこ)の輩、迷惑の人・妄(みだり)に邪説を信じて正教を弁えず。故に天下世上・諸仏・衆経に於て捨離の心を生じて擁護(おうご)の志無し。仍て善神聖人国を捨て・所を去る。是を以て悪鬼外道・災を成し、難を致す。
 客・色を作して曰く、後漢の明帝は金人の夢を悟つて白馬の教を得、上宮太子は守屋の逆を誅(ちゅう)して寺塔の構(かまえ)を成す。爾しより来(このか)た上一人より下万民に至るまで仏像を崇(あが)め、経巻を専(もっぱら)にす。然れば則ち叡山・南都・園城・東寺・四海・一州・五畿・七道、仏経は星の如く羅(つら)なり、堂宇雲の如く布(し)けり。鶖子(しゅうし)の族は則ち鷲頭(じゅとう)の月を観じ、鶴勒(かくろく)の流(ながれ)は亦鶏足(けいそく)の風を伝う。誰か一代の教を褊(さみ)し、三宝の跡を廃すと謂んや。若し其の証有らば委しく其の故を聞かん。

 主人喩して曰く、仏閣・甍(いらか)を連ね・経蔵軒を並べ、僧は竹葦(ちくい)の如く、侶は稲麻(とうま)に似たり。崇重(そうじゅう)年旧(ふ)り、尊貴日に新たなり。但し法師は諂曲(てんごく)にして人倫を迷惑し、王臣は不覚にして邪正を弁ずること無し。仁王経に云く「諸の悪比丘・多く名利を求め国王、太子・王子の前に於て自ら破仏法の因縁・破国の因縁を説かん。其の王別(わきま)えずして此の語を信聴し、横(よこしま)に法制を作つて仏戒に依らず。是を破仏・破国の因縁と為す」已上。

 涅槃経に云く「菩薩悪象等に於ては心に恐怖(くふ)すること無かれ。悪知識に於ては怖畏の心を生ぜよ。悪象の為に殺されては三趣に至らず、悪友の為に殺されては必ず三趣に至る」已上。
 法華経に云く「悪世の中の比丘は邪智にして心諂曲(てんごく)に、未だ得ざるを為れ得たりと謂(おも)い、我慢の心充満せん。或は阿練若(あれんにゃ)に納衣(のうい)にして空閑(くうげん)に在り。自ら真の道を行ずと謂いて人間を軽賎(きょうせん)する者有らん。利養に貪著(とんじゃく)するが故に白衣(びゃくえ)の与(た)めに法を説いて世に恭敬(くぎょう)せらるること六通の羅漢の如くならん。乃至(ないし)常に大衆の中に在つて我等を毀(そし)らんと欲するが故に、国王・大臣・婆羅門・居士(こじ)及び余の比丘衆に向つて誹謗して我が悪を説いて・是れ邪見の人・外道の論議を説くと謂(い)わん。
 濁劫悪世の中には多く諸の恐怖(くふ)有らん。悪鬼其の身に入つて我を罵詈し毀辱(きにく)せん。濁世の悪比丘は仏の方便・随宜所説の法を知らず。悪口して顰蹙(ひんしゅく)し数数・擯出(しばしば・ひんずい)せられん」已上。

国家諌暁(信仰の誤りを正す)の書『立正安国論』 その②_f0301354_1365510.jpg

<立正安国論 ご真筆 巻頭部分:中山法華経寺所蔵>

③に続く




by johsei1129 | 2014-01-10 01:45 | 立正安国論(御書五大部) | Trackback | Comments(0)


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