【良観不雨御書】
■出筆時期:文永九年(1272年) 五十一歳御作。
■出筆場所:佐渡 一の谷入道の屋敷と思われます。
■出筆の経緯:本抄は五行の断簡が伝えられておりますが、前後が不明のため対告衆の詳細は不明ですが、おそらく佐渡から鎌倉の信徒に宛てた消息であると推察されます。
大聖人は本書で降雨対決に破れた極楽寺良観が当初の約束を守らず日蓮に帰依せず逃げていることを「良観上人は身口は仏の弟子に似るといえども、心は一闡提の人為るか」と断じておられます。
■ご真筆:神奈川県 本化妙宗連盟(断簡)所蔵。
【良観不雨御書 本文】
[原文]
人二百五十戒諸僧集数十万人
読八万法蔵何不下一雨龍王
慳貪欤 諸仏妄語欤良観上人
身口雖似仏弟子心為一闡提人
欤
[訓読文]
人、二百五十戒、諸僧数十万人を集め、
八万法蔵を読むと雖も何ぞ一雨も下らざる。
龍王の慳貪(けんどん)か、諸仏の妄語か。
良観上人は身口は仏の弟子に似るといえども、心は一闡提の人為るか。