【除病御書】
■出筆時期:建治元年(1275) 五十四歳御作。
■出筆場所:身延山中の草庵にて。
■出筆の経緯:本抄は前半部分が伝えられておらず、正確な著作日等不明ですが、建治元年、大田乗明に与えられた消息と思われます。
内容は大田乗明が病に倒れた事を知らされた大聖人は、大田乗明のために法華経(御本尊)に過去世・今世の謗法の積もった罪障消滅を祈った所、今日無事に除病したと聞いて「喜悦何事か之に過ぎん。事事・見参を期せん」と喜ばれるととともに、身延に見参するよう指導されておられます。
尚、大聖人は御遷化なされる半年前に、本門の戒壇建立の御遺命を記された
『三大秘法禀承事』を大田乗明に送られており、門下の中で最も大聖人の法門に理解のある信徒であると認められておられたと推察されます。
大田乗明はこのあと八年間寿命を延ばし、大聖人御遷化の翌年弘安六年四月二十六日、大聖人に随順した尊い七十六歳の生涯を終えられます。
■ご真筆:現存しておりません。
【除病御書 本文】
其の上日蓮の身並びに弟子又過去謗法の重罪未だ尽きざるの上、現在多年の間・謗法の者と為り、亦謗法の国に生る。
当時信心深からざらんか、豈之を脱れんや。
但し貴辺此の病を受くるの理(ことわり)、或人之を告ぐ。
予(日蓮大聖人)日夜朝暮に法華経に申し上げ朝暮に青天に訴う。除病の由・今日之を聞く。喜悦・何事か之に過ぎん。
事事見参を期せん。恐恐。