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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 11月 29日

撰時抄愚記 下一六 他国侵逼難の兼知符合を説く


  第三十二段 
聖人(しょうにん)たるを広く釈す

 

一 外典(げてん)に云わく等

 此の下は広釈、三あり。初めに釈名、次に「()に三度」の下は正釈、三に「問うて云く第二」の下は(かん)(もん)なり。

一 未萌(みぼう)をしるを是れ聖人と云う

()二末九十三に云く「(ぜい)(えん)に云く、(ぼう)(ちょう)(いま)だ現れざるに存亡の機を見るを名づけて聖臣と為す」云云。文選(もんぜん)四十四に云く「明者は(あやう)きを無形と見、智者は福を未萌に(はか)る」云云。良曰く「(ぼう)は初生なり」と。善曰く「太公金匱(きんき)に曰く、明者は未萌を見る」文。

三沢抄十九・二十二に云く「聖人は未萌(みぼう)を知ると申して三世の中に未来の事を知るを・ま()との聖人とは申すなり」等云云。二十八巻八の聖人知三世抄()いて見よ。

一 ()に三度の高名(こうみょう)あり等

  此の下は正釈、又二あり。兼知(けんち)未萌(みぼう)を明かすに(おのずか)ら三あり、見るべし。

一 最明寺(さいみょうじ)殿等

  釈書十七・二十、王代一覧五・二十九、鎌倉志三・四十六。

一 宿()の入道に向かって云く等

  (のち)蓮師に帰し、光則寺(こうそくじ)を立つるなり。啓蒙の一・三、往いて見よ。

一 禅宗と念仏宗とを(うしな)い給うべし

  問う、安国論には(ただ)法然のみを破す。今何ぞ「禅宗」と云うや。

 答う、彼の論の現文は但法然のみを破すと(いえど)も、意は諸宗に通ずるなり。(つぶさ)には安国論愚記の如し。諸宗の中に於ても禅宗は別して鎌倉殿帰依(きえ)の宗なり。故に宿屋に向って「禅宗と念仏宗」等と云うなり。報恩抄に云く「国主は禅宗を尊む、日蓮は天魔の所為(しょい)と云うゆへに我と(まね)ける・わ()わひなれば」と云云。

一 此の一門より事()こりて他国に()めらせ給うべし等

 次上(つぎかみ)の二十六紙を往いて見よ。

 問う、兼知符合(ふごう)は如何。

 答う、種種御振舞抄二十三・三十九に云く「()ぬる文永五年(のち)の正月十八日、西戎(せいじゅう)大蒙古国より日本国を(おそ)うべきの由(ちょう)(じょう)を渡す。日蓮が()ぬる文応元年(たい)(さい)庚申(かのえさる)立正安国論に(かんが)えたるが如く、今に少しも(たが)わず符合(ふごう)しぬ。此の書は(はく)楽天(らくてん)楽府(がふ)にも越え、仏の未来記にも劣らず、末代の不思議、何事か是れに過ぎん。賢王・聖主の御代(みよ)ならば日本第一の権状(けんじょう)にも行われ、現身に大師号あるべしと思いしに()の義なし」(取意)等云云。

「白楽天の楽府にも越え」とは安国論愚記(ごと)し。

「仏の未来記にも劣らず」とは、顕立正意抄十三・二十五に云く「立正安国論に云く、乃至朝に賢人(けんじん)有らば(これ)(あやし)む可し」等云云。

()(とく)外道(げどう)涅槃(ねはん)経三十一・八の如し。瞻婆(せんば)長者は涅槃経二十八・七の如し。「()って後三月」の文は()(げん)観経に出ず。()の外、六十年の()田地(でんち)、一百年の(きょう)比丘(びく)及び阿育(あそか)大王、六百年の馬鳴(めみょう)、七百年の竜樹(りゅうじゅ)、皆仏記(ぶっき)の如く(しゅう)(ごう)(たが)わず。蓮祖の兼知(また)(また)()くの如し、故に「仏の未来記にも劣らず」と云うなり。

  

 つづく


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by johsei1129 | 2015-11-29 17:12 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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