2015年 08月 24日
普賢観経に云く「此の大乗経典は諸仏の宝蔵なり。十方三世の諸仏の眼目なり。三世の諸の如来を出生する種なり」云云。薬王品に云く「若し復人有って七宝を以て三千大千世界を満てて、仏、及び大菩薩、辟支仏、阿羅漢に供養せん。是の人の所得の功徳も、此の法華経の、乃至、一四句偈を受持する、其の福の最も多きには如かじ」等云云。 文の十に云く「七宝を四聖に奉るは一偈を持つに如かず。法は是れ聖の師、能生・能成・能栄、法に過ぎたるは莫し。故に人は軽く法は重し」等云云。妙楽云く「四不同と雖も、法を以て本と為す」等云云。籤の八・二十五に云く「父母に非ざれば以て生ずること無く、師長に非ざれば以て成ずること無く、君主に非ざれば以て栄うること無し」等云云。其の外是れを略す。此等の文に准ずるに法は是れ諸仏の主師親なり。豈勝劣天地に非ずや。 方便品に云く「法を聞いて歓喜し讃めて乃至一言をも発せば則ち為れ已に一切三世の仏を供義するなり」と云云。 宝塔品に云く「其れ能く此の経法を護ること有らん者は則ち為れ我及び多宝を供養するなり」云云。陀羅尼品に云く「八百万億那由佗恒河沙等の諸仏を供養せん。乃至能く是の経に於て、乃至一四句偈を受持せん、功徳甚だ多し」と云云。 善住天子経に云く「法を聞いて謗を生じ、地獄に堕つとも恒沙の仏を供養するに勝る」と云云。 名疏の十に云く「実相は是れ三世の諸仏の母なり。乃至、仏母の実相を供養せば即ち三世十方の仏所に於て倶に功徳を得」等云云。余の文は之を略す。豈供養の功徳水火に非ずや。 答う、所引の経釈は皆文上熟脱の人法に約す、故に勝劣有り。若し文底下種の本尊は人の外に法なく、法の外に人無し。人全く是れ法、法全く是れ人。人法の名は殊なれども、其の体は恒に一なり。今亦明文を引いて須く汝が疑網を断ずべし。 法師品に云く「若しは経巻所住の処、此の中には、已に如来の全身有す」と云云。天台云く「此の経は是れ法身の舎利」等云云。今「法身」とは是れ自受用身なり。宝塔品に云く「若し能く持つこと有らば則ち仏身を持つなり」云云。観普賢経に云く「此の経を持つ者は則ち仏身を持つ」云云。文の第十に云く「法を持つは即ち仏身を持つ」と云云。 又涅槃経には如来行を宣べ、今経には安楽行と云う。天台会して云く「如来は是れ人、安楽は是れ法。如来は是れ安楽の人、安楽は是れ如来の法。総じて之を言わば其の義異ならず」云云。妙楽の云く「如来と涅槃と人法の名殊なれども大理は別ならず。人即法の故に」と云云。 会疏の十三に云く「如来は即ち是れ人の醍醐、一実諦は是れ法の醍醐。醍醐の人、醍醐の法を説く。醍醐の法、醍醐の人と成る。人と法と一にして二無し」等云云。略法華経に云く「六万九千三八四、一一文文是れ真仏」と云云。此等の文意、実には下種の本尊、人法体一の深旨を顕すなり。経に云く「一心に仏を見たてまつらんと欲して、自ら身命を惜しまず。時に我及び衆僧、倶に霊鷲山に出ず」云云。此の文正しく人法体一を顕す。之を思え、之を思え。 四明の釈に云く「十界互具方に円仏と名づく」云云。伝教大師、秘密荘厳論に云く「一念三千即自受用身」等云云。 問う、今「寿量の仏」及び「此の仏像」等と云うは、応に是れ本門寿量の教主釈尊の色相荘厳の画像・木像なるべし。何となれば一代聖教を以て正像末に配するに、正像は是れ小権迹の時なり。末法今時は是れ本門の時なり。故に正像に於ては、既に小権迹の仏を造り画いて以て本尊と為す。故に末法に於ては応に須く本門寿量の教主釈尊を造り画き、以て本尊と為すべき故なり。何が故に爾らざるや。 答う、実に所問の如し。末法今時は本門の時なり。 然るに宗祖云く「本門に於て亦二の意あり。一には在世の衆生の為、二には滅後末法の為なり」云云。 故に今日寿量の教主、色相荘厳の仏は在世脱益の本尊なり。文底下種の本仏は滅後末法の本尊なり。故に三時の相配、是れ相違に非ざるなり。又「仏像」の言は木画に限るに非ず。故に天台云く「燃燈仏の時に、縁熟すれば仏像を以て之を化す」と云云。況や復正像には「造り画く」と云い、末法には「出現」と云う、深く之を思うべし。 下の文に云く「此の時地涌の菩薩始めて世に出現し」等云云。救護本尊に云く「上行菩薩世に出現し始めて之を弘宣す」と云云。三処の「出現」、三処の「始」の字、之を思い合すべし。
by johsei1129
| 2015-08-24 23:10
| 日寛上人 御書文段
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