2015年 08月 11日
此の下は次に種を弁じて父を顕す、亦三あり。初めに種子の法体を弁じ、二に種子の徳用を弁じ、三には種子の依経を弁ず。弁とは即ち弁別なり。別して謂く、別して今昔の有無を弁え別つなり。 問う、既に日本顕密の言端あり、何ぞ細科となさん。況や化導の始終は正しく迹門の法門なり。何ぞ但本門の下に属せん。況や破文の中に二乗作仏・久遠実成と云うをや。何ぞ但本門の意とせんや。 答う、「伝教大師は日本顕密」の言は是れ上の「妙楽大師は唐の末」等の文に対するなり。何ぞ是れ発端の言ならんや。又玄文の化導の始終は迹門に約すと雖も、疏一の種熟脱は又本門の意に約す、何ぞ只迹門に限らんや。又破文の中に二乗作仏・久遠実成とは、是れ顕本後の意に約して、通じて之を言うなり。故に本門の下に属するなり。 一 一分仏母の義ありと雖も等文。 諸部の円理も、小分は能生の義ある故なり。妙楽の三の上二九に云く「所生と曰うと雖も、義は能を兼ねたり」とは是れなり。 一 然も但愛のみ有つて厳の義を闕く文。 「厳愛」とは、只是れ外典の言を借用するなり。謂く、愛は是れ母の徳、厳は是れ父の徳なり。孝経大義二十七、註千字文中初、往いて見よ。此の厳愛の義は今の所用に非ず。今の意は、厳愛の言を借りて但父母の二義を顕すに在るのみ。 一 天台法華宗は厳愛の義を具す文。 即ち是れ法華経には父母の二徳を具足するなり。当に知るべし、父母に二意を含む、一には境智和合の意、二には能生の意なり。能生は即ち是れ種子の徳なり。故に普賢観に云く「此の大乗経典は三世の諸の如来を出生する種なり」と云云。妙楽の記四末に云く「種とは生の義」等云云。然れば則ち本地難思の境智の妙法は、即ち是れ種子の法体なり。故に「厳愛の義を具す」と云うなり。爾前の諸経は都て此の義を明かさず、但法華経にのみ此の義を明かすなり。種子の法体を弁ずとは、即ち此の事なり。 一 及び菩薩心を発せる者の父文。 問う、何ぞ此の文を引いて父母の義を証せんや。 答う、経に「父」と云うと雖も自ら母の義は随うか、記の十・六十八に此の経文を釈して云く「文に学・無学等と云うは、三教の菩薩を指して発菩薩心の者と為す。今経は彼が為の父母なり、能く彼を生ずるが故なり」等云云。 一 真言・華厳等の経経文。 此の下は二に種子の徳用を弁ずるなり。 一 種熟脱の名字すら猶無し何に況や其の義をや文。 問う、種熟脱の名字とは如何。 答う、私志の二・二十八に云く「種とは謂く、下種なり。即ち是れ最初に此の妙道了因の種子を下す。熟とは謂く、長養成就なり。其の初めの種をして増長成就せしむ。脱は謂く、度脱なり。生死の此岸を脱離して涅槃の彼岸に渡り到るなり」云云。籤の二・三十四に云く「聞法を種と為し、発心を芽と為す。賢に在るは熟の如く、聖に入るは脱の如し」等云云。「聞法を種と為し」とは即ち是れ聞法下種、「発心を芽と為す」は即ち是れ発心下種。聞法・発心倶に是れ名字即の位なり。「賢に在るは熟の如く」とは、観行・相似なり、「聖に入るは脱の如し」とは分証・究竟なり云云。 問う、種熟脱の其の義、如何。 答う、即ち是れ化導の始終なり。玄文の第一に大通に約して之を明かす。文句第一には四節に約して之を釈す。文の一・七に云く「衆生久遠に仏の善巧を以て仏道の因縁を種しむるを蒙りて、中間に相値いて更に異の方便を以て第一義を助顕し、而して之を成熟す。今日雨華動地して如来の滅度を以て、而して之を度脱したもう。復次に久遠を種と為し、過去を熟と為し、近世を脱と為す。地涌等是なり云云。復次に中間を種と為し、四味を熟と為し、王城を脱と為す。今の開示悟入の者是なり。復次に今世を種と為し、次世を熟と為し、後世を脱と為す。未来得度の者是れなり」云云。記の一の本三十六に云く「第一、第二、本の因果に種し」等云云。斯くの如きの化導の始終は法華已前には是れを明かさず。故に「名字すら猶無し。何に況や其の義をや」と云うなり。
by johsei1129
| 2015-08-11 22:52
| 日寛上人 御書文段
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