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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 10月 23日

南条時光が供養した麦を、今の麦は法華経の文字なりと説いた【南条殿御返事】

【南条殿御返事(白麦御書)】
■出筆時期:建治元年(西暦1275年)七月二日 五十四歳御作。
■出筆場所:身延山中 草庵にて。
■出筆の経緯:本書は南条時光が白麦一俵などをご供養したことへの返書となっております。本書で大聖人は釈迦の弟子迦葉尊者が、飢えたる世に麦の飯を一杯供養した因縁で「釈迦仏に値いまいらせ、僧の中の第一とならせ給い、法華経にて光明如来と名をさづけられ」と記し「今のだんな(時光)の白麦は、いやしくて仏にならず候べきか」と時光の志を迦葉尊者にも匹敵すると讃えられておられます。
さらに「在世の月は今も月、在世の花は今も花<中略>山中にうえしにゆべき法華経の行者なり<中略>山河をこえわたり、をくりたびて候御心ざしは、麦にはあらず金なり、金にはあらず法華経の文字なり」と記し、釈尊在世の月も、末法の今の月も変わらないように、飢えに苦しむ日蓮を哀れんで白麦を供養することは釈迦在世の供養と等しく、この麦は法華経の文字なりと断じ、大聖人自身が末法の本仏であることを示唆しております。
■ご真筆:東京都師子王文庫(第五紙)蔵、富士大石寺(第二~四紙)蔵。古写本:日興上人筆(富士大石寺蔵)
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[真筆箇所本文:守護神となりて弓箭の第一の名をとるべし、南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経、恐恐謹言
七月二日 日蓮 花押 南条殿御返事]

[南条殿御返事(白麦御書) 本文]

 白麦一俵・小白麦一俵・河のり五でふ、送り給び了んぬ。

 仏の御弟子に阿那律尊者と申せし人は・をさなくしての御名をば如意と申す。如意と申すは心のおもひのたから(宝)を・ふらししゆへなり。
 このよしを仏にとひまいらせ給いしかば、昔うえたるよに縁覚と申す聖人をひゑ(稗)のはん(飯)をもつて供養しまいらせしゆへと答えさせ給う。
 迦葉尊者と申せし人は仏についでも閻浮提第一の僧なり。俗にてをはせし時は長者にて・から(犂)を六十・そのくら(蔵)に金を百四十こく(石)づつ入れさせ給う。それより外のたから申すばかりなし。この人のせんじやう(先生)の御事を仏にとひまいらせさせ給いしかば、むかしうえ(飢)たるよに・むぎのはんを一ぱい(盃)供養したりしゆへに・忉利天(とうりてん)に千反(べん)生れて今釈迦仏に値いまいらせ、僧の中の第一とならせ給い、法華経にて光明如来と名をさづけられさせ給うと天台大師・文句の第一にしるされて候。

 かれをもつて此れをあんずるに、迦葉尊者の麦のはんはいみじくて光明如来とならせ給う。今のだんなの白麦はいやしくて仏にならず候べきか。在世の月は今も月、在世の花は今も花、むかしの功徳は今の功徳なり。その上・上一人より下万民までに・にくまれて、山中にうえし(飢死)にゆべき法華経の行者なり。これをふびんとをぼして山河をこえわたり、をくりたびて候御心ざしは、麦にはあらず金(こがね)なり、金にはあらず法華経の文字なり。我等が眼にはむぎなり、十らせつ(羅刹)には此のむぎをば仏のたねとこそ御らん候らめ。
 阿那律がひゑのはんは・へんじてうさぎとなる。うさぎ・へんじて死人となる。死人へんじて金となる。指をぬきてう(売)りしかば又いできたりぬ。王のせめのありし時は死人となる。かくのごとく・つきずして九十一劫なり。釈まなん(摩男)と申せし人の石をとりしかば金となりき。金ぞく(粟)王はいさご(沙)を金となし給いき。

 今のむぎは法華経のもんじなり。又は女人の御ためにはかがみ(鏡)となり、身のかざりとなるべし。男のためにはよろひ(甲)となり、かぶと(冑)となるべし。守護神となりて弓箭(ゆみや)の第一の名をとるべし、南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経、恐恐謹言。

 七月二日 日蓮 花押

 南条殿御返事

 追伸
 このよの中は・いみじかりし時は何事かあるべきとみえしかども、当時はことにあぶなげに・みえ候ぞ。いかなる事ありとも・なげかせ給うべからず。ふつと・おもひきりて・そりやう(所領)なんどもたがふ事あらば、いよいよ悦びとこそおもひて・うちうそぶきて・これへわたらせ給へ。所地しらぬ人もあまりにすぎ候ぞ。当時つくしへ・むかひて・なげく人人は、いかばかりとか・おぼす。これは皆日蓮を・かみの・あなづらせ給いしゆへなり。




by johsei1129 | 2019-10-23 07:24 | 南条時光(上野殿) | Trackback | Comments(0)


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