2015年 07月 15日
第二十四段 二乗、法華の深恩を報ずべきを明かす
一 季札等文。 此の下は次に正しく疑を立つ、亦二あり。初めに二乗の守護なき疑を立て、次に「又諸大菩薩」の下は菩薩等の守護なき疑を立つ。初めの文に亦二あり。初めに二乗、法華の深恩を報ずべきを明かし、次に「水すまば」の下は意を結するなり。初文に亦三あり。初めに道理、次に「されば四大」の下は引証、三に「諸の声聞」等の下は昔に対して弁ずるなり。初めの道理に亦三あり。謂く、況顕、例顕、反顕なり。 一 除君が塚にかく等文。 季礼は呉の太伯二十世の孫なり。史記三十一初に云云。 一 王尹等文。 祈祷抄に云く「王寿は衣を梅に掛け、王尹は銭を水に投ぐ」(取意)等云云。十六・四十三。 一 況や舎利弗文。 此の下の三句は且く三賢に配すべし。謂く、無我・無律の者すら尚約束を差えず、況や持戒・持律の聖者をや。一毫未断の者すら尚少恩を報ず、況や見思已断の大聖をや。辺鄙の家臣すら尚恩の為に命を捨つ、況や諸天の導師、衆生の眼目たる大聖をや。故に況顕というなり。 一 いまだ八相をとなえず等文。 一義に云く、同文故来(文に同じ故に来る)云云。一義に云く、且く世情に准じて程近き義を顕すなりと。 一 毛宝が亀等文。 本拠に二説あり。若し晋書列伝の意は、毛宝が軍士の報いを得るなり。若し瑯邪代酔の意は、毛宝が直ちに報を得るなり。 「あをの恩」とは音義に云く「往の字なり。『あを』『おう』共に通ずるなり」と。語式に云く「御直書に襖の恩」と云云。毛宝は亀を得て、襖の下に置いて養えるか云云。啓蒙に云く「『あをの恩』とは漁父に衣裳を与えて亀を助けたる義なるべし。伝説に木綿の衣裳を『あを』というなり。近き人の句に、墨染の衣をあをの上にきて云云。縦い襖の字なりと雖も、只これ衣類の事なり」云云。 「時雨する稲荷の山の薄紅葉 あをかりしより思い染めてき」云云、沙石に云云。 一 昆明池の大魚文。 啓蒙に諸文を引き、註に勧善書を引く。 一 桀紂等文。 啓蒙に貞観政要を引く、これ高家無徳の例にして二乗弾呵の例には非ざるなり。朝抄は不可なり。一義に云く、世上に人を「きゃつ」と云うは桀紂という事なりと。一義に云く、関東の言なり。人のあしく云うを聞いて、貴辺は人を「けっちゅう」にめさるかと云云。此の一段は是れ例顕なり。「諸の声聞」等の下は反顕なり。 一 梟鳥が母を食う等文。 「梟鳥」は塊を付って児と為し、「破鏡」は毒樹の菓を以て抱いて其の子と為し、子の成ずれば父母皆食わるるなり。釈要六十四に云く「破鏡は是れ獣にして鳥に非ず。梟鳥は母を食い、破鏡は貙の如く虎眼にして父を食う」と文。 一 されば四大声聞等文。 此の下は引証なり。第十六巻四十一云云。 一 応に供養を受くべし文。 名疏の四・五十一に云く「則ち羅漢の三義なし。彼の外道と何等の異りあらんや。法華に至って方に顕わる、故に四大声聞の歎じて云く、我等今は真に阿羅漢なり、諸の世間に於て応に供養を受くべしと。此れ方に昔の浄名の弾斥を悟るなり」と已上。「昔の浄名の弾斥」とは、即ち「汝に供養する者は三悪道に堕す」の文なり。 一 世尊は大恩等文。 此に十恩あり。第一に慈悲逗物の恩、第二に最初下種の恩、第三に中間随逐の恩、第四に隠徳示拙の恩、第五に鹿苑施小の恩、第六に恥小慕大の恩、第七に領地家業の恩、第八に父子決定の恩、第九に快得安穏の恩、第十に還用利多の恩なり。文六、記六、御義上三十に云云。 啓運抄二十二・六十八に祈祷経口決を引いて云く「外道の邪師に対すれば、小乗三蔵の仏を以て大恩教主と名づくるも、権大乗の仏に望むれば、是れ大恩に非ず。実大乗・法華迹門の教主に望むれば、又大恩に非ず。本門寿量の教主に望むれば、迹門の仏も又大恩に非ず」と文。当に知るべし、若し一代聖教の浅深を暁れば、則ち教主の恩徳の軽重を知ることを。 一 牛頭栴檀文。 若し華厳経には「苦山より出離す」云云。正法念経には「高山より出でたり」等云云。常には摩利山より出でたりと云云。栴檀を身に塗れば、火も焼くこと能わず。刀に傷わるるに、之を塗れば即ち癒ゆ云云。百縁経に「一両の直、十万銭」と云云。記六、甫記、補註等に云云。 一 宝衣を地に布き文。 今時の仏前の打敷、之を思え。
by johsei1129
| 2015-07-15 21:42
| 日寛上人 御書文段
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