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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 10月 21日

主君に此の法門を耳にふれさせ進せけるこそ有り難く候へ、 と四条金吾を称えた【主君耳入此法門免与同罪事】

【主君耳入此法門免与同罪事】
■出筆時期:文永十一年(西暦1274年)九月二十六日 五十三歳御作。
■出筆場所:身延山中 草庵にて。
■出筆の経緯:本抄は、四条金吾が主君の江馬氏に対し「大聖人の法門を説いて法華経の信仰を勧めた」と報告があったことへの返書となっております。
 大聖人は本書で「主君に此の法門を耳にふれさせ進(まい)らせけるこそ、ありがたく候へ。今は御用いなくもあれ・殿の御失(おんとが)は脱れ給ひぬ」と説いて、念仏信者の主君に仕えている金吾の立場は「主君に法華経を説いた事で与同罪を免れるのだから、以後は口を慎んで用心しなさい」と、諭されております。
 尚、本抄は、大聖人が身延山中に草庵をこの年の六月十七日に設けてから、程なくしてしたためられておられます。
■ご真筆: 現存していない。

[主君耳入此法門免与同罪事 本文]

 銭二貫文・給び畢んぬ。
 有情の第一の財(たから)は命にすぎず。此れを奪う者は必ず三途(さんず)に堕つ。然れば輪王は十善の始めには不殺生、仏の小乗経の始めには五戒、其の始めには不殺生。大乗・梵網経の十重禁の始めには不殺生。法華経の寿量品は釈迦如来の不殺生戒の功徳に当たつて候品ぞかし。

 されば殺生をなす者は三世の諸仏にすてられ、六欲天も是を守る事なし。此の由は世間の学者も知れり。日蓮もあらあら意得て候。但し殺生に子細あり。彼の殺さるる者の失(とが)に軽重あり。我が父母・主君・我が師匠を殺せる者をかへりて害せば、同じつみなれども重罪かへりて軽罪となるべし。

 此れ世間の学者知れる処なり。但し法華経の御かたきをば大慈大悲の菩薩も供養すれば・必ず無間地獄に堕つ。五逆の罪人も彼を怨とすれば・必ず人天に生を受く。

 仙予国王・有徳(うとく)国王は五百無量の法華経のかたきを打ちて今は釈迦仏となり給う。其の御弟子、迦葉・阿難・舎利弗・目連等の無量の眷属は彼の時に先を懸け・陣をやぶり、或は殺し・或は害し、或は随喜せし人人なり。覚徳比丘は迦葉仏なり。彼の時に、此の王王を勧めて法華経のかたきをば父母・宿世・叛逆の者の如くせし大慈・大悲の法華経の行者なり。

 今の世は彼の世に当れり。国主・日蓮が申す事を用ゆるならば彼がごとく・なるべきに、用いざる上・かへりて彼が・かたうど(方人)となり、一国こぞりて日蓮をかへりて・せ(責)む。
 上一人より下万民にいたるまで・皆五逆に過ぎたる謗法の人となりぬ。されば各各も彼が方ぞかし。心は日蓮に同意なれども・身は別なれば、与同罪のがれがたきの御事に候に、主君に此の法門を耳にふれさせ進(まい)らせけるこそ・ありがたく候へ。今は御用いなくもあれ、殿の御失(とが)は脱れ給ひぬ。此れより後には口をつつみて・おはすべし。又天も一定(いちじょう)・殿をば守らせ給うらん。此れよりも申すなり。

 かまへて・かまへて御用心候べし。いよいよ・にくむ人人ねらひ候らん。御さかもり・夜は一向に止め給へ。只女房と酒うち飲んでなにの御不足あるべき。他人のひるの御さかもり・おこたるべからず。酒を離れて・ねらうひま有るべからず。返す返す。恐恐謹言。

 九月二十六日        日 蓮  花押

 左衛門尉殿御返事




by johsei1129 | 2019-10-21 17:30 | 四条金吾・日眼女 | Trackback | Comments(0)


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