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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 11月 30日

能く是の経典を受持すること有らん者<略>一切衆生の中に於て亦これ第一なりと説いた【富木殿御返事】

【富木殿御返事】
■出筆時期:弘安四年(西暦1281)十一月二十九日 六十歳御作。
■出筆場所:身延山中 館にて。
■出筆の経緯:本抄は富木常忍が、身延の館で毎月11月24日に行われていた大師講(天台大師の摩訶止観等の講義)へ鵞目一結(銭一結)を供養されたことへの返書となっております。大聖人は法華経法師品第十、薬王第二十三、を引いて「法華最第一なり」と説くとともに、常忍の妻の病状について「此の尼ごぜんは法華経の行者をやしなう事、灯(ともしび)に油をそへ、木の根に土をかさぬるがごとし、願くは日月天、其の命にかわり給へと申し候なり」と記し、常忍を支える信仰心を称えるとともに「我身一身の上とをもひ候へば昼夜に天に申し候なり」と励まされています。
尚、文中の「いよ房」は尼ごぜの連れ子で、再婚し常忍の養子となり、後に六老僧の一人日頂上人となります。
 富木尼は大聖人の祈りにより二十数年の寿命を延ばし、常忍亡き後は故郷の富士に帰り、日興上人、我が子日頂上人のもとで生涯を全うしております。
■ご真筆: 中山法華経寺 所蔵(重要文化財)
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[富木殿御返事 本文]

 鵞目一結(がもく・ひとゆい)天台大師の御宝前を荘厳(そうごん)し候い了んぬ。
 経に云く「法華最第一なり」と。又云く「能く是の経典を受持すること有らん者も亦復是の如し。一切衆生の中に於て亦これ第一なり」と。又云く「其の福・復彼れに過ぐ」。妙楽云く「若し悩乱する者は頭(こうべ)七分に破れ、供養すること有らん者は福十号に過ぐ」伝教大師も「讃むる者は福を安明(あんみょう)に積み、謗者は罪を無間に開く」等云云。
 記の十に云く「方便の極位に居る菩薩、猶尚(なお)第五十人に及ばず」等云云。 華厳経の法慧(ほうえ)功徳林・大日経の金剛薩埵(さった)等、尚法華経の博地(はくじ)に及ばず。何に況んや其の宗の元祖等、法蔵・善無畏等に於てをや。是れは且(しばら)く之を置く。

 尼ごぜんの御所労の御事、我が身一身の上とをもひ候へば昼夜に天に申し候なり、此の尼ごぜんは法華経の行者をやしなう事、灯(ともしび)に油をそ(添)へ、木の根に土をかさ(培)ぬるがごとし。願くは日月天・其の命にかわり給へと申し候なり。

 又をもい・わするる事もやと・いよ(伊予)房に申しつけて候ぞ。たのもしと・をぼしめせ、恐恐。
       
 十一月二十九日            日 蓮 花押

 富木殿御返事


法師品 第十
薬王今告汝 我所説諸経 而於此経中 法華最第一
(和訳)
薬王よ、今汝に告げる。我(釈尊)がこれまで説いた諸々の経があるが、その中で法華こそが最第一の経である。

薬王菩薩本事品 第二十三
有能受持。是経典者。亦復如是。於一切衆生中。亦為第一。
(和訳)
能くこの教典を受持するも、またかくの如し。一切衆生の中に於いて、またこれ第一なり。




by johsei1129 | 2019-11-30 22:17 | 富木常忍・尼御前 | Trackback | Comments(0)


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