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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 08月 31日

法華経二十八品の中に勝れてめでたきは方便品と寿量品であると説いた書【月水御書】三

[月水御書 本文]その三  英語版

 予が愚見をもつて近来の世間を見るに、多くは在家・出家・誹謗の者のみあり。但し御不審の事、法華経は何れの品も先に申しつる様に愚かならねども、殊に二十八品の中に勝れて・めでたきは方便品と寿量品にて侍り。余品は皆枝葉にて候なり。されば常の御所作には方便品の長行と寿量品の長行とを習い読ませ給い候へ。又別に書き出しても・あそばし候べく候。余の二十六品は身に影の随ひ、玉に財(たから)の備わるが如し。寿量品・方便品をよみ候へば・自然に余品はよみ候はねども備はり候なり。薬王品・提婆品は女人の成仏往生を説かれて候品にては候へども、提婆品は方便品の枝葉、薬王品は方便品と寿量品の枝葉にて候。されば常には此の方便品・寿量品の二品をあそばし候て余の品をば時時・御いとまの・ひまに・あそばすべく候

 又御消息の状に云く、日ごとに三度づつ七つの文字を拝しまいらせ候事と、南無一乗妙典と一万遍申し候事とをば日ごとにし候が、例の事に成つて候程は・御経をばよみまいらせ候はず。拝しまいらせ候事も一乗妙典と申し候事も、そらにし候は苦しかるまじくや候らん。それも例の事の日数の程は叶うまじくや候らん。いく日ばかりにて・よみまいらせ候はんずる等と云云。
 此の段は一切の女人ごとの御不審に常に問せ給い候御事にて侍り。又古へも女人の御不審に付いて申したる人も多く候へども、一代聖教にさして説かれたる処のなきかの故に証文分明に出したる人もおはせず。日蓮粗聖教を見候にも酒肉・五辛 ・婬事なんどの様に不浄を分明に月日をさして禁めたる様に、月水をいみたる経論を未だ勘へず候なり。在世の時、多く盛んの女人・尼になり仏法を行ぜしかども、月水の時と申して嫌はれたる事なし。是をもつて推し量り侍るに、月水と申す物は外より来れる不浄にもあらず。只女人のくせかたわ、生死の種を継ぐべき理(ことわり)にや。又長病の様なる物なり。例せば屎尿(しにょう)なんどは人の身より出れども、能く浄(きよ)くなしぬれば別にいみもなし。是体に侍る事か。
 されば印度・尸那なんどにも・いたくいむよしも聞えず。但し日本国は神国なり。此の国の習として仏・菩薩の垂迹不思議に経論にあひにぬ事も多く侍るに、是をそむけば現に当罰あり。委細に経論を勘へ見るに、仏法の中に随方毘尼(ずいほうびに)と申す戒の法門は是に当れり。此の戒の心はいたう事かけざる事をば少少仏教にたがふとも・其の国の風俗に違うべからざるよし、仏一つの戒を説き給へり。此の由を知ざる智者共、神は鬼神なれば敬ふべからずなんど申す強義を申して・多くの檀那を損ずる事ありと見えて候なり。若し然らば此の国の明神・多分は此の月水をいませ給へり。生を此の国にうけん人人は大に忌み給うべきか。
 但し女人の日の所作は苦しかるべからずと覚え候か。元より法華経を信ぜざる様なる人人が経をいかにしても云いうとめんと思うが、さすがに・ただちに経を捨てよとは云いえずして、身の不浄なんどにつけて法華経を遠ざからしめんと思う程に、又不浄の時・此れを行ずれば経を愚かにしまいらする・なんど・おどして罪を得させ候なり。此の事をば一切御心得候て・月水の御時は七日までも其の気の有らん程は御経をば・よませ給はずして暗(そら)に南無妙法蓮華経と唱えさせ給い候へ。礼拝をも経にむかはせ給はずして拝せさせ給うべし。又不慮に臨終なんどの近づき候はんには、魚鳥なんどを服せさせ給うても候へ。よみぬべくば経をもよみ及び南無妙法蓮華経とも唱えさせ給い候べし。又月水なんどは申すに及び候はず。
 又南無一乗妙典と唱えさせ給う事、是れ同じ事には侍れども、天親菩薩・天台大師等の唱えさせ給い候しが如く、只南無妙法蓮華経と唱えさせ給うべきか。是れ子細ありてかくの如くは申し候なり。穴賢穴賢。

 文永元年甲子四月十七日      日蓮 花押

 大学三郎殿御内御報

[月水御書 本文] 完




by johsei1129 | 2019-08-31 20:11 | 弟子・信徒その他への消息 | Trackback | Comments(0)


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